「水陽炎」

 よく晴れた日の縁側で。お茶を飲んでなんくれともなくのんびりしていると。

 池の向こうにある大きな門が、池越しに見るとゆらゆら揺れているように見えた。

 春の終わりかけの日射しに陽炎がのぼってるのか。いや、あれは。


「池ですから水陽炎ですかね」


 そんなことを呟いていると、その揺らめきの中から入ってくる彼女の金髪が映って。

 今日は歩きで来たんだなと思いながらも。出迎えるために、湯飲みを置いて正座を崩し立ち上がった。

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