「伊予柑」
「よーし、じゃあズィークいきますよ」
「いつでもどうぞ、マスター!」
私が長い麺棒のような棒を伊予柑の枝の間に入れて、木枝をゆする。そうするとぼろぼろ落ちてくる伊予柑の実をズィークが瞬間移動して取る。
「……何をやっておる?」
心底不思議そうな顔で彼女が訪ねてくるから。上の方に生っている実を取っているのだと言うと。
「……獣神には浮遊の術があったと思ったが」
「「あ」」
「忘れておったか」
ちょっと損した気分だ。
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