「声かけ」

 春麗はるうららと呼ぶにふさわしい晴模様。私は新芽が出てきた本柚子ほんゆずの木にホースで水を撒いていた。


「ちゃんと実って下さいねー」

「植物に声をかけるのか?」

「わっ!? びっくりさせないで下さい」

「ふん、この程度で騒ぐでないわ。で、何故声をかける?」

「えーっと、なんとなくその方が美味しくなってくれそう、だから?」

「ふむ」


 1つ頷いた彼女は、何故か私に。


「美味しくなれよ」


 と言って頭をなでてきた。私、植物じゃないんですけど。

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