「鯛」

 台所にて。


「骨は後で骨煎餅にしましょう」

「つまみか?」


 ひょこっと顔をのぞかせた彼女に思わずびびる。酒か? 酒? と嬉しげな彼女には悪いが。


「今からお昼ですよ。鯛の煮つけ、刺身、春キャベツと鯛のご飯です」


 と言えば途端に目が輝きだすから愛しい。彼女は「食べる」という行為が好きだ。

 そんな彼女に。


「骨煎餅は後でおつまみとしてお出ししますからお楽しみに」


 と告げれば。首の骨を折らんばかりに抱きつかれた。死にそう。

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