「春雨」

 縁側。しとしと軒を濡らす雨は、別名花散らしの雨というらしい。


「春雨か、鬱陶しいことよな」

「情緒のかけらもありませんね」

「貴様は鬱陶しいと思わんのか」

「まぁ、多少は」

「ほれみよ」


 ふんと鼻を鳴らして、それでもしとしとと降る雨を静かに見つめる彼女が嫌で。


「春雨、花散らしと掛けまして」

「大喜利か?」

「今日のお昼は春雨スープと海鮮ちらしとときます」

「さぁもんはあるか!?」

「もちろんです」


 ね、春雨。私の勝ち。

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