「春雷」

 轟音と共に辺りが一瞬白く染まる。


「ひゃっ」


 縁側で震えた私の肩を温かい腕が抱き寄せる。


「家畜、何をしておるか」

「すみません、雷苦手なんです」


 そう告げれば、彼女が固まった。抱き寄せてくれたまま腕の中で震えていると。


「では何でこんな所におるか」

「だって、黒い雷はあなたの来訪の証ですから」


 まだ来てないと思って待ってたんです。と言えば、目を覆った彼女が。


春雷しゅんらいに感謝だな」


 と呟いた。

 彼女は玄関から来たらしい。

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