第28話 その二十八
堀、壕、濠、湟、隍、堭が巡らされていた。
つちへんのものは空ぼり、氵編のものは水ぼりを意味する。壕または濠と書くのが正しく、堀とするのは本来は誤りである。
山の上に、天守閣が見える。本丸御殿、二の丸、三の丸と続いていた。
そのぐるりを高い壁が、そして門がある。
天守には鯱が屋根に乗っている。壁は白い。石垣は石を四角く削って隙間なく美しい。人が通る道は石畳だった。
火事に見舞われた建物は十年近くたった今、綺麗に直されていた。
城を目の前にして綾子はあの場所だと思った。
手が震えている。
けれども、みんなと一緒だから大丈夫だと自分に言い聞かせた。
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