第13話 その十三

 崖の下に降りると、総一が見るも無惨になっている光景が目に飛び込んだ。

自分の目に涙がたまっていくのを感じながら、急いで駆け寄って総一を抱きすくめる。

「死んじゃいやよ……」

 泣いているのか、懇願しているのか、氣持ちが喉からもれでた。

 着ていた白い服が血の色に染まっていく。

 お願い治って。

 光に二人は包まれる。

 総一の傷がみるみると治っていった。

 目を開ける総一。

 良かった。

 口を開く。

「君は誰だい」

 私は時間が止まったかのように身動きをとれなくなった。

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