第4話 その四
かわいそうに、誰も死にたくはないよね……
しょうがなく、ギュッと目をつむり口づけをした。
光が二人を包んだ。
とてもあたたかく、ここちが良い。
氣持ちいい。
少し目を開けてみる。
男の子の傷が癒えていく。
向こうの目が開いた。
二人の視線が合う。
なぜだろうかあんなに嫌だったのに。今はなぜだか悪くない氣持ち。
胸も高鳴っていた。
くちびるが離れる。血の糸がひいた。
その時、胸の奥から何かが生えるように出てきた。
意識がはっきりしなかった。
この目の前にいる女の子はだれだろうか。
僕は飛影に乗って逃げていたはずだけど。
あれ?
あの男の人に捕まって、そして……
「坊や!抜きなさい」
女の人の声が聞こえる。
総一は声の主を見た。
「ぬくって?」
状況が全くわからない。
あの女の人だれだ?
「その子の胸から出てるのを引き抜くの!」
目の前の女の子を見ると剣の柄が胸に刺さっている様に見える。しかし女の子は痛がっている様子はない。
総一は何が何だかよくわからなかったが言われるがままに両手で柄を握り、勢いよく引き抜いた。
「んっあ」
目の前の女の子は剣を引き抜かれた衝撃で声を出す。
短い剣だったが美しく、総一は剣に魅せられていた。
じっと眺める。
なぜだか目の前の女の子は顔を真っ赤にしていた。
「きれいだ」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます