♂♀火山は人気の穴場スポット?
ドシンッ!
な、なんだ!?
物凄く大きな音にリョウマはびっくりして飛び起きた。
周りを見回すが特に異常はないようだ。
一体なんだ今の音??
「ミュー!今の音何?」
あれ?
ミューがいない。
確かに隣のベットで寝ていたはず・・・・・・。
トイレかな?
あの音なんだったのかな?
部屋の外を見てみようとベッドから降りた。
むぎゃ!
うぉーーーー!?
・・・・・・謎が解けた。
ミューがベッドから落ちて床の上で寝ている。
俺はそれを踏んでしまった・・・・・・。
さっきの大きな音はミューがベッドから落ちた音だったようだ。
床に落ちても寝てるなんて、さすがハイエルフ!
「踏みつけるなんて酷いですよぉ・・・」
目を擦りながら起き上がる。
「いやいやまさか床に転がってるなんて思わないでしょ!」
「床?私ベッドで寝てましたよぉ・・・・・・」
「ベッドから落ちるって寝相悪すぎですよ!それに落ちても気づかず寝てるってのもある意味すごい」
ふわぁーーー
ミューは伸びながら大きなあくびをしてる。
そしてそのままベッドに倒れ込む。
ボフッ!
スースー・・・
また寝るのか・・・・・・。
「もう朝ですよー」
ムニャムニャ・・・・・・
寝起きが悪いな・・・・・・
ちょっとイタズラしようかな・・・・・・
リョウマはミューのほっぺたにペンで猫のヒゲを書いた。
そして起こす為におでこにデコピンをかました。
ペチン!
はうぅぅ・・・・・・
「痛いです・・・とても痛いですぅ・・・・・・」
ミューはおでこが痛くて鏡を見る。
おでこに赤い跡が・・・・・・。
「ねこーーーーー!」
猫のヒゲが生えてることにものすごく驚いた。
「リョウマさん!私の猫のヒゲが生えましたよ!かわいい!」
なにか予想と違う反応だ。
怒るどころか喜んでる・・・・・・。
「とりあえず朝なんで出発の準備始めましょう」
リョウマは歯と顔をあらい着替える。
ミューも寝ぼけながら着替える。
「ミュー!ここで着替えるの?」
「うぅん?ひゃっ!み、見ないでください!恥ずかしいです!」
「もぅ・・・・・・ちょっとガード甘いですよ。後ろ向いてるからさっさと着替えてください」
「は、はい・・・すいません・・・」
ミューはササッと着替えた。
「お、終わりました」
「はいはい。普通洗面所とか見えないところで着替えません?」
「うぅぅ・・・すいません」
「まぁそれだけ心許してくれてるってのは、ある意味嬉しいですけどね」
「あぅぅ・・・恥ずかしいのでもう言わないでください」
「へいへい」
「食堂にご飯食べに行きましょう」
「はい!」
リョウマは新天地の冒険に少しウキウキしている。
まるで遠足当日の朝のようだ。
2人は朝食を済ませ宿を出た。
「まずはエリクサーをゲットしに道具屋へ向かいましよう」
「金貨10枚か・・・・・・」
リョウマは悲しそうな顔をしている。
「やっぱり船にします?」
「あ、いや、船はもっと嫌です・・・」
「なら早速行きましょう!」
道具屋につくとちょうど開店のタイミングだった。
「すいませーん、エリクサーありますか?」
「えぇ!?お嬢ちゃんが買うのかい?」
「そうでーす。1個くださいな!」
店主は驚いてタジタジしている。
「ごめんね、代金もってるのかな?」
「大丈夫です!財布はあちらなんで。いくらになりますかー?」
「エリクサーは貴重品なんで値引きは出来ないんだ。金貨8枚になるんだけど・・・っていない」
ミューは店の中をクルット見て回っている。
「リョウマさんのヒールポーションとキュアポーションも、買っておきましょう。あと、いくつかいりそうなものも買っときますね」
「あ、ああ・・・控えめにな・・・」
ミューはいくつか薬を集めてきた。
「エリクサーとこれくださいなー」
「あ、沢山ありがとうね。全部で金貨10枚と銀貨2枚、銅貨4枚になりますけど・・・」
「銅貨の分だけお勉強出来ませんかー?」
ミューは得意のエンジェルフェイスでおねだりした。
「お嬢ちゃんには叶わないな・・・金貨10枚でいいよ」
「やったー!ありがと!」
ミューはお礼を言いながら店主の両手を握ってぴょんぴょん飛び跳ねた。
「リョウマ、金貨10枚だって」
「ヘイヘイ・・・」
「毎度あり!」
「買うもの買ったし行きましょうか?」
「そうですね、他に用事もないですし」
「では人目につかない所・・・・・・公園辺りに行きましょう」
リョウマは新天地が楽しみで足取り軽く早足で歩いていく。
「はぁはぁ・・・リョウマさん、少し早いですよぉ~」
ミューはやや息が切れている。
「ごめんごめん。なんか楽しみで楽しみでつい」
「気持ちは分かりますけどね・・・もう少し女の子をいたわって下さい・・・」
「うっ・・・。本当にごめん」
「ハイハイ・・・」
などと言ってるうちに近くの公園についた。
公園につくとミューはリョウマの胸に御札みたいなものを貼り付けた。
「これは?」
「人に気づかれなくなる簡易結界の呪符です」
ミューは"トレーサーマップ"の呪文で場所の確認をしている。
「えーっと、ドワーフ村の近くだと誰が見てるか分かりませんので、少し離れたところに・・・・・・火山がありますね。そこに洞窟があるみたいなので、そこに出口を作りますね」
「はい!よく分からないんでお任せします」
ミューは呪文を唱え始めた・・・。
"クロノスドアー"
「さぁ行きましょう!」
「はい!」
2人はドアをくぐった
ドアをくぐった瞬間ミューはしゃがみ込んだ。
リョウマはドアを出た瞬間フリーズしていた。
正面に魔界の門が現れレーティアとクラリアスが魔界の門から出てきたのだ。
!!!!
!!!!
リョウマとレーティアはお互いを指さし、驚きのあまり声が出ず口をパクパクさせていた。
「リョウマさん、エリクサー飲みますので少し待ってくださいね」
「勇者ー!!貴様がなぜここに!?」
クラリアスが叫ぶ。
が、次の瞬間リョウマはレーティアを抱きしめた。
そしてレーティアの耳元で呟いた「逢いたかった・・・」と。
"ドクンッ!"
それを聞いた瞬間レーティアの中で何かが大きく鼓動した。
ミューはその声に驚いて顔を上げると見覚えのある顔に驚き一気にエリクサーを飲み干した。
クラリアスはレーティアを守るため魔法を放った。
"アイススパイク"
氷のつららがリョウマに向かって襲いかかる。
"アイスシールド"
氷の盾は氷のつららを防いだ。
「さすがエルフやりますね」
「間一髪間に合いました」
「ミュー、ちょっとそいつ頼むよ!俺レーティアと、みゆと話がしたい」
「はい、かしこまりました」
「勝手な事は許しませんよ!」
クラリアスは戦闘態勢をとった。
「そこの人!ちょっとだけど時間をくれ!話がしたいだけなんだ」
「人間の言う事など聞く耳持たん!それに、私の名はクラリアス、そこの人などと、人間呼ばわりされる覚えはない!」
"アイスエレメント・ソルジャー"
クラリアスがそう唱えると氷で出来た戦士が数体現れた。
"フリージングインパクト"
ミューが唱えると氷の戦士達に衝撃が走り、はしから全身にヒビが入り砕け散った。
「邪魔をするな!」
「リョウマさんに相手をしろと頼まれましたので少し付き合って頂きますよ」
"アイシクルブレード"
クラリアスは氷の剣を作りミューに斬り掛る。
「あわわわ、私、肉弾戦はちょっと・・・・・・」
"アイスロック"
クラリアスの足に氷の枷をかけた。
クラリアスは両足を固定され前のめりに倒れそうになるが、くるっと体をひねり体制を立て直した。
「くそっ!鬱陶しい!直接殺ってやる!」
"コールドブレイズ"
リョウマの足元から青白い炎のような冷気が舞い上がる。
『馬鹿野郎!!レーティアが巻き込まれるだろ!!』
そう言うと、リョウマはレーティアを自分から離し突き飛ばした。
「えっ・・・?」
レーティアは突き飛ばされた衝撃で我に返る。
リョウマの体は胸の辺りまでこおりついている。
それを見たレーティアは考えるより先に体が動いていた。
自ら炎を纏いリョウマを抱きしめて氷を溶かしていた。
「姫!」「リョウマさん!」
2人は同時に叫んだ。
「ありがとう・・・レーティア・・・」
極度の冷気はリョウマの意識を朦朧とさせる。
魔力のないリョウマは魔法の抵抗力も無いのでその効果は一瞬で現れた。
「クラリアス止めて!」
クラリアスは魔法を解除する。
「おい勇者!しっかりしろ!」
「・・・レーティア・・・いや、みゆ・・・俺もうダメだ・・・意識がなくなってきた・・・」
「おい、起きろ!目を覚ませ!」
レーティアはリョウマの両肩を揺さぶる。
「もう氷は溶けてるぞ!おい!しっかりしろ!」
「みゆ・・・・・・ごめん・・・」
そう言うとリョウマは全身の力が抜けたようにガクンとなった。
その感触を感じたレーティアは自分の中で何かが弾けた。
『かずきーーー!!』
レーティアは無意識にその名を叫びながら無意識に自分の生命力をリョウマに分け与えていた。
!?
!?
クラリアスとミューは今の叫び声に反応した。
「かずき?」「かずき・・・だと?」
「ん・・・・・・いき・・・てる?」
「気がついたか!」
「レーティア?」
「ああ、私だレーティアだ・・・いやみゆ・・・か?」
「無事ならどっちでもいいよ・・・よかった」
「何がよかっただ、無事じゃないのはお前の方だろ・・・・・・。でも、ありがとう・・・」
レーティアはリョウマの頭を膝の上に置いた。
ミューは笑顔で質問する。
「クラリアスさんでしたっけ?まだやりますか?」
「・・・・・・興がさめましたね。姫も大丈夫そうなのでこの辺にしときましょうか」
「ひとつお尋ねしてもいいでしょうか?」
「なんだ?」
「人間族恨んでますか?」
「愚問だな」
「彼、正式な勇者じゃないんです」
「どういう事だ!?」
冷静沈着がうりのクラリアスが少し驚きを見せた。
「リョウマさんは、レーティアさんが転生した時にある制約が働き無理やりこの世界に連れてこられたんです」
「・・・・・・」
「人間族が呼び出した勇者と言う訳では無いのですよ」
「よく分からんな・・・」
「詳しいし事情は割愛しますが、このリョウマさんは以前の勇者と違って、魔族と仲良くしたいと考えているのです」
クラリアスは鼻で笑った。
「何を世迷い言を」
「私達は人間が魔族にした真の事実を知りました。謝って許されるものではありませんが、ほんのわずかでも歩み寄ることはできないものでしょうか?」
「ありえないな。1歩たりとて歩み寄る道理がない」
「それは魔族の総意ですか?それともクラリアス様の意ですか?」
「・・・・・・・・・。確かに姫は多少なり勇者に興味がおありだ。魔族の総意では無い・・・」
「では1度魔王様に、対話の機会を頂けないかご相談願えないでしょうか?レーティア姫の為に・・・・・・」
「姫の為に・・・・・・」
「・・・・・・分かった。この件私には判断致し兼ねるゆえ1度持ち帰らせて頂く。ここで突っぱねて姫を不幸にしては私の立つ瀬がなくなってしまう」
「クラリアス様のご温情に感謝申し上げます」
「つまらん。そんな口上の感謝など嬉しくもない。では姫と戻らせて貰う」
「待って下さい。もう少し2人に時間を上げては頂けないでしょうか?」
ふぅーー。
クラリアスはため息をついた。
「どうせ姫の為にという腹でしょう・・・・・・」
クスクス
「バレちゃいましたか」
「ところで貴様は一体何者だ?」
「私はエルフ族、ハイエルフの長ミューステアと申します」
やはりハイエルフかそれもそのトップか・・・・・・道理で手強いわけだ・・・・・・
オマケに頭も切れるし冷静だ。
しかし嘘を言う感じは全くないな。
「わかった貴殿の申し出によりもう暫く帰還を待つことにします」
「感謝します」
わすかな沈黙の末、レーティアの方から口を開いた。
「おい勇者、私は聞きたい事が山ほどある」
「なんだい?」
「まずお前は何者だ?」
「俺は・・・誰かわからない。記憶喪失で本当の名前が分からないんだ。今はリョウマと仮の名前を付けている」
「そうか、リョウマだな」
この時レーティアは無意識にリョウマの頭を撫でていた。
リョウマもその心地良さに違和感なく身を任せていた。
「リョウマは、私の事を知っているのか?」
「うーん・・・。半分・・・かな」
「どういう事だ?」
「それを答えるには1つこちら質問に答えて貰う必要がある」
「なんだ?」
「以前勇者の島で会った時"私は転生によりこの世界に舞い戻った魔王の娘"と言ったのは本当なのか?」
「・・・・・・」
「それが私にも分からない・・・。転生すると記憶障害が起きてしまうようで、頭の中ではそうだったような、そうではなかったような感覚なんだ・・・」
「レーティア、まだ警戒してる?」
「あっ・・・・・・」
「ごめんなさい、つい・・・」
「周りの魔族達は復活おめでとうと言って祝ってくれたりしました」
「という事はやっぱり舞い戻った説が有力なのか・・・・・・」
「はい。魔族にも色々と事情があって私を死なすわけにはいかなかったようで、魔力ごと魂を異世界転生させ、魔力の無くなった体を魔王が守り続けてくれたようです。そして再びこの体に異世界転生を行い魂をこの体に戻したと・・・・・・」
そう言うと、レーティアは人間の変身を解き魔族の体に戻った。
「こ、これがレーティアの本当の姿・・・・・・」
「そう、リョウマの言う、みゆと言う人間じゃない」
「・・・・・・」
「さっきの質問の答えだけど、やっばり俺はレーティアの事、半分しか分からない。俺が話してあげられるのはレーティアに戻る前・・・・・・人間だった頃のレーティア、つまりみゆの話だけだ。それ以前の事は分からない」
「私が人間だった・・・・・・?」
「ああ。レーティアに転生する前は"源優希"という名の人間だった。そして俺と結婚の約束事をしていたんだ」
「結婚?」
レーティアはその言葉の意味が分からないが、聞いたらとても大切で幸せな気持ちになる気がした。
「結婚とはなんだ?」
改めて聞かれると説明が難しいな・・・。
「結婚ってのは、お互い想い合う男女が、嬉しい時も辛い時もお互い傍にいよう、死ぬまで一緒にいようと言う誓いの儀式・・・かな?」
「誓の儀式・・・・・・私はお前とその誓を立てたのか?」
「あ、いや、それはまだなんだけど、その1歩手前かな。婚約って言うんだ。結婚は一生に1度しかない大切な儀式なんで、儀式を行うタイミングがあるんだよ。俺たちはその約束をしていたんだ」
「婚約・・・・・・なら私たちは結婚と言うのをしないといけないのか?」
リョウマは少しだけ困った顔で答えた。
「″しないといけない″と言ってする物じゃないよ。お互いが好きで好きで離れたくない、一緒にいたいって言う想いが重なったらするものだよ」
「私はお前の事を魔族の仇だと思っている・・・一緒にいたいなんて・・・・・・」
リョウマは優しい顔で答えた。
「でも、今は一緒にいるよ。レーティアの膝の上!」
「な・・・・・・」
言われてふと気がついたが、レーティアは自分でも何故こうなったのかわかっていない。
「それに約束の期限までは、まだ2年と10ヶ月ある」
「約束の期限?」
「俺たち2人は、元の世界で″神様の泉″って所である誓をしたんだ。たとえ死んでも来世で、また一緒になれますようにって」
「・・・・・・」
--------------------
リョウマはレーティアに神様の泉の話をした。
「リョウマはそんなにみゆって女の事が好きなのですか?」
「違うよお互いがだよ。俺だけが好きなわけじゃない」
「結婚出来なかったらお前たちは・・・・・・」
「ああ、そうだな。永遠に会えなくなる」
「そんな事ある訳ないよ!信じてるんですか?なんなんです神様の泉って!?」
「でも、その力のおかげで俺は、異世界転生で呼び戻されたみゆとレーティアと同じこの世界にこれたんだ。みゆに手が届くこの場所に」
「・・・・・・・・・」
ザッザッザッ・・・・・・
「む!?人間か?」
「入口の方から誰かきますね」
「なんか強い魔力反応があったから見てこいと言うご命令だ」
「俺たち魔力なんて感じ取れないのに行っても意味あるんですか?」
「まぁこんな火山に何かいるって事は無いだろうから地脈に異変があって精霊の力が乱れてるとかじゃないのか?」
「まずいな、おいエルフ、俺たちは一旦魔界へ戻る」
「はい、私達も出直した方が良さそうです」
「方法は分からんが返事は必ずする」
「クラリアスさんって真面目な方なんですね」
フンッ
「では失礼する」
「あ、クラリアスさん少し待ってください」
「なんだ?」
ミューはクラリアスのそばにいきクンクンした。
「な、なんだいきなり」
「あ、いえ、クラリアスさんの魔力の匂い覚えておけば連絡取りやすいかと思いもして」
「好きにしろ」
クンクン、クンクン・・・
「では行く」
「ありがとうございます」
「姫、何者かがこちらにやっまてきます。1度魔界へ戻りましょう」
「あ、で、でも、今お話を・・・」
「申し訳ありませんが、今はそのような悠長な事を言っておられません」
そう言うとレーティアを無理やり抱き抱え魔界に連れ帰った。
「リョウマ・・・・・・」
「レーティア、また今度な」
「リョウマさん、私達も状況は同じです1度戻りましょう」
「あ、ああ・・・・・・」
2人は来た魔法の扉からもといた場所に戻った。
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