第118話 夏休みの宿題
「ちゅ、しよ?」
「しませんよ? ここ学校の図書室。周りも人がいるし。ていうかセンパイが変な事いうから一気に視線が集まってるけど?」
「まあ冗談として――」
「図書委員の人ー、ここの痴女煩いんで追い出してもらえますか?」
「ちょっと、いや悪ふざけだから!」
「一言悪ふざけの冗談言って、周りの視線集めて? 悪質だわー」
「はい、すいません、もうそんな事は『言わない』ので、はい、はい……」
「やーい怒られてやんのー」
「煽り方、小学生か!」
「まあ冗談ではなく、暇なら帰ったらどうです? 俺はずっと宿題を続けるつもりですので構って上げませんよ」
「はあ? 何ちょっとその上から目線――、あ、はい。すいません声出しません」
「宿題多いほうではないのであれですけど。遅れてはないけど進んでもいないかなって。2週間ぐらいは余裕を持って終わらせたいです」
「……アサガオの観察は終わらないでしょ」
「いやそんなものないですけど」
「!? え? 去年やらされたけど? それこそ『小学生か』って思ったけど?」
「じゃあ今年から無くなったんですかね」
「むしろ小学生でもやらないような宿題をやらされた私たちって……」
「まあ『毎日同じ時間に変化を記録する』という意味では理系な経験では?」
「キミ、文系だよね。今すっごく適当な事言ったよね」
「はい。これからも宿題終わるまでずっと適当な事しか言わないんで、話かけないでもらえます?」
「……わかった。これは独り言ね。だから周りにも聞かれてるはずがないの」
「……」
「夏祭楽しかったよねえ。ちょっとあれな所もあったけど、それは来年一緒に、ね?」
「…………」
「この前のお泊りもよかったよね。パパとも会ってもらえたし」
「………………」
「箱根――」
「はいすいません。えっと、きっと煩くなるんで、退室で」
「え、ちょっ。急に手掴まないで? 図書室出てどこに行くの?」
「ばーか!」
「え、なんで急に!?」
「何度も言いますけどね、俺は男なんですよ。だからさ、そういうの思い出すような事言われると、その、わかる!?」
「んー? ちゅーしたくなった?」
「ええ、まあ、そうっすね。そうっすよ。悪いか!!」
「私から誘ってるんだよ? したいなら、したらいいじゃん」
「……そういうの、誰かがいる場でして欲しくないっす。せめてこの屋上ぐらい誰もいないところで」
「お互いの部屋か屋上ぐらいしか人がいない場所ってなくない?」
「だから! だから……、お互いの部屋か、屋上以外でセンパイとキスしないって宣言します」
「そっか……じゃあ、毎日16時屋上に集合。来れないとか遅れる場合は必ず連絡すること、おっけー?」
「おっけー? いやそういうことじゃなく――」
「んんっ。もっと、力抜いてよ。舌がキミの中に入らないじゃん」
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