第76話 親友から見た客観的な感想
「桜さ、アピールが過ぎるっていうか、やりすぎじゃない?」
「ん? 何のこと?」
「一昨日、桜の誕生会で後輩君とのイチャつきを見せ付けられて、最初はびっくりしたけど途中から慣れてしまった私からの意見。多分ね、後輩君は桜の事をあんま異性として見てないじゃないかな」
「……薄々気づいてたけど、やっぱりかあ。何がいけないんだろ」
「正直に言うね。ほとんど桜の所為だと思う。後輩君って面と向かって接したのが初めてだけど、私にも結構紳士的に扱ってくれてたし。んで、私の結論。桜が後輩君に甘えすぎ。後輩君は桜の為に色々してあげてるようだけど、桜に対して何かして欲しいって事ないでしょ」
「そうは言っても、そうしないとほんとにただの先輩と後輩になっちゃうんだよ」
「まあ後輩君が桜みたいな女に色々されて欲情しない時点で色々詰みな気もするけど。とはいえ彼が桜に対して積極的にスキンシップを取りたいっていう、後輩君側の欲求がなさすぎた」
「でも、一昨日はいつもより頭撫でてくれたし、『頬ちゅっ』も結構してくれたし!」
「全部、桜の為って感じだった。まあ桜を喜ばせたいっていうのが後輩君の望みなら、まあ……でもなあ」
「ていうかさ、あの子が私に対して、そういう、その、それが無いって言い切れるのさ」
「半年前に初めての彼氏ができて今も付き合ってる私の個人的な経験かな。男は全員、なんてざっくり言う気はないけど、やっぱ『してくれる』と『したい』はなんとなく違うんだよねえ。行動一つでも全然違うって案外わかるもんだよ」
「くっ、経験者の意見は痛いっ! じゃあどうすればいいのさ。あの子にそういう風に思われるのって、もはや私から襲うしか――」
「その前に『普通に告白する』って選択肢がなぜないの!?」
「私、好きになった人には告白されるまで努力して待つタイプ」
「昔からよく言われる言葉に『惚れたほうが負け』ってあるでしょ? 桜と後輩君とだって、まだまだ先なようで、でも卒業でお別れしちゃうんだからさ」
「あ、それは大丈夫。卒業もあの子の受験に影響が無ければいつでも誘って良いって言われてる。あと私の進学先を受験してくれるって。もし同じ大学になったら、ルームシェア誘ってみようかな」
「それって同棲……、いや後輩君の感じから、なんか普通に『ルームシェアっすか。大学から近くて家賃割り勘ならお互いメリットっすね』とか言いそう」
「でしょ? ほんと、あの子ってわかりやすいよね」
「そのわかりやすい致命的な思考回路が桜が後輩君に告白されない理由なんだけどさ」
「惚気だし、私の勘違いかもだけどさ。こういうのでいいのかなって。付き合うとか恋人とかじゃないけど、少なくても『あの子なりに私を大事にしてもらえてる』って思ってるの。先に進みたい気持ちもあるけど、これもあの子なりの『私への愛し方』なのかなって」
「ところで桜ちゃん、年頃並の好奇心とか性欲はないのかね」
「めっちゃあるわ! 好きな子に色々してもらって、こうもっとって思わない人間いるの!?」
「我慢できるの? 多分ここが一番の問題じゃない?」
「だから最終的には襲ってでも――」
「その前に普通に告白なさい!」
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