第67話 プレゼント
「これ、この前看病してもらったお礼です」
「……、いや、えっと、嬉しいし嫌じゃないけど。流石に受け取れないかなあ」
「好みじゃなかったすか? じゃあ今度一緒にセンパイ好みのを探しに――」
「あのね、普通ね? 風邪引いた子の面倒を見たぐらいでネックレスとか普通渡さないからね!?」
「すんません。センパイに何かお礼がしたいって思ったんすけど。親友にも相談したけど、なんかどうしていいかわからなくて」
「私、来週誕生日」
「え? ああ、なんか聞き覚えがありますね」
「その時ちょうだい。あ、でも土曜だったか……。うちの誕生日会来てくれる?」
「センパイが嫌じゃないなら。けど、ご家族とかご友人もいるのでは?」
「いるよ? それでも、来てくれるの?って話」
「いいですよ。センパイの誕生日ですもん。祝いたいです」
「んで、その時に皆に見られながら、そのネックレスをプレゼントして」
「……? いいですけど。それはそれとして看病のお礼はどうしたら」
「ほんとこの子は鈍感すぎ。まあいいけど、そこが可愛いんだけど。まあ、キスしてくれたらいいよ」
「前もしましたよね」
「何度されてもいいの。ほれ、はよ」
「んっ。これでいいっすか」
「右の頬にキスしたら?」
「左もっすね」
「色々あって、来週の誕生日会。例の彼来るから」
「ごほっ! 人がジュース飲んでる時に爆弾発言しないで! えっ、ほんと!? てか良く誘えたね!?」
「最近なんとなーくだけど、あの子って、素直すぎて直球で誘うと普通にオッケーしてくれるんだよね」
「いやちょっと前に『デートに誘ったらオッケーしてもらえるかな!?』とか毎日のように騒いでたじゃないの!!」
「考えるだけ無駄だったんだよね。誘って良いなら良い。ダメならダメって素直に言う子だから。なんかうじうじ考えるほうが無駄だったよ」
「ついに桜の『噂の彼氏』、そして『チャンピオン』で『パスケ部エースのライバル』を間近で見れるのね……。感慨深いよ」
「結構普通の子だから、あんまり期待しないでね。いやとっても良い子だけど、ほんと普通の子だからさ」
「桜のお気に入り、てかもう彼氏っていうか恋人同然の男子が普通とか思えるわけないんですけど」
「ああ、それなんだけど。あくまで私と彼は『付き合ってる噂はあるけど実際どうなの』って事は忘れないでね。実際付き合ってないし、彼も噂を気にしてるし」
「桜は、それでいいの?」
「良くないけど、でも良いかなって。別にさ、付き合ってますってお互い認識しても、今とあまり変わらないと思うんだよね。けど、そんな些細な所を拘ると、今の関係が崩れそうで」
「はいはい恋する乙女。お幸せに」
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