第28話 続・鎌倉良い所ぜひおいで※平日に

 佐助稲荷神社を後にし、センパイの手を握りながら階段を下りた。

 そしてついでに下社に寄って軽く参拝した後、そのまま銭洗弁天に寄った。

 

 ここは金運があがるらしいが、お互い特にお金に困ってないので、なんとなく財布のお札と小銭を清めておいた。

 一応調べてみたところ、クレジットカードやキャッシュカードとか、そういったものもご利益があるらしい。

 あと本当にご利益に預かりたいなら百円ぐらいで線香とかの一式がもらえるらしい。

 ご利益はお互いどうでもよかったんでスルーしたけど。




「金運っていうと、なんかちょっとあれかなって思ったけど、凄く綺麗なところだったね」


「金欲しいイコール意地汚いってイメージは、まあ仕方ないんすけど、それを差し置いても綺麗でいい所でしょ?」


「うん。奥宮が意外と薄暗くて、なんかちょっと怖かったけど、同じぐらい神々しい場所って感じだった」


「ところでセンパイ、さっき清めたお金って全部ですか?」


「え? まあ一応」


「じゃあ、昼飯はここでは食えないっすね。俺も全部清めちゃったんで。ここで清めたお金をここで使うのダメなんすよ」


「出店すっごいあるし、良い匂いするし、お腹空いてるのに?」


「あとそうだな。一時間ぐらい我慢できます?」


「そのぐらいなら。お腹空いてるって言ったけど、何か食べないと動けませんってほどじゃないしね。てかまだ11時前だし」


「んじゃ、昼飯食いに行きますか」




「いただきます」

「……いただきます」


「平日っていいっすね。ほんとお昼って時間にとびっちょきたら、結構待つのにするっと入れてラッキーですね」


「一応、ほんと念のためだけど、キミ、今まで彼女いたことないんだよね?」


「はい? そりゃもちろん」


「マジかー。ここまで完璧だとちょっとへこむねー」




 鎌倉でランチだと、鎌倉らしさがあるところはちょっと高い。

 とはいえ、その辺のありふれた所でってのも折角の外出が勿体無い。

 なので俺とセンパイは鎌倉から江ノ島鉄道を使い江ノ島まで足を運んだ。

 路面電車ってなんかワクワクするよね。



 

 しらす丼で有名なとびっちょが、本当に運よくすぐに入れたのでここで昼食を取った。

 まあ別にここじゃなくてもしらす丼の店は沢山あるんだけど、生卵乗せてるの俺嫌いなんだよね。

 しかも今日のとびっちょは生しらすが入荷できた日らしく、俺とセンパイはお互い生しらす丼を注文した。

 

 


「おいしい! しらす丼ってなんとなーくイメージはしてたけど、しらすだけじゃないんだね」


「しらすと白米だけだったらいくらでも自作できるだろ。いくらなんでもそのイメージはやめてください」


「もはや海鮮丼だよね」


「もはやどころか海鮮丼です。その上で、しらす丼なんで」


「お味噌汁も美味しい」


「きちんと出汁を取ってますからね。魚介類から取ってると思います。一般家庭だと中々作れない味ですね」


「おいしい!」


「よかったです。鎌倉と言えば江ノ島、江ノ島といえば鎌倉。わかってもらいました?」


「えっ? それは全然わかんないけど」


「いいから食え。さっさとメシ食え! 鎌倉江ノ島の良さ絶対理解させるからな!!」

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