第24話 ピアス? いいえイヤリングです

「そういやセンパイって、ピアスしてたんすね」


「えっ、してないけど?」


「いやいや、この前うちに来た時に付けてたじゃないっすか」


「あー。あれはイヤリング。ピアスじゃないよ」


「逆に珍しいっすね、イヤリングなんて。耳になんか付けるなら、男女関係なくピアスってイメージでした」


「ピアスって、耳に穴空けるんでしょ? 私には信じられない。自分の体に自分の意思で傷つけるとか。空けるのは処女膜だけでいいでしょ」


「こらー、さらっと下ネタ言わないでー。ここ屋上だから誰にも聞かれてないからいいけど? 他の場だったら笑いどころか凍りつくからな?」


「いや私も華の女子高生だし」


「華の女子高生は男子に下ネタ振らないから。多分、きっと」


「いいじゃん、私が男嫌いなのみんな知ってるから友達とはあんま男絡みの話とか避けられている……、言い方悪かったかな、ちょっと遠慮してもらってるっぽくてさ」


「だから相手が俺っておかしいっすよね。そのノリで女子の友人と話せばいいじゃないっすか」


「本気の下ネタになって、男子と付き合ってあるある話とかが盛り上がると逆にしんどい」


「めんどくせえなこいつ」


「面倒くさくない人間なんていないの。キミだって十分めんどくさい」


「へえ、まあそれは自覚あるんで反論できねえっすね」


「んで話を戻すと」


「ああ、あのイヤリングなんですけど――」


「男ってつい女の胸に目が行くってほんと? 大きいと余計に?」


「戻すのは下ネタのほうかよ! 知らねえよ! 基本俺、人に視線送らないで話してるし」


「それは直そうよ。そういえば確かに、キミって基本真正面見てるよね。今も横並びなのに上の空って感じ」


「相手の目を見て話せとか、仕草とかで察しろとか、いわゆる空気読めってのが俺はちょっとイヤなんすよ。発した言葉とトーンが全てじゃないのって。言ってる事と心内が違うって、それはそれで怖いなあって」


「わからないでもないかな。でも、こっち見て」


 センパイを俺の顔をぐっと曲げた。

 視界には……、まあ、いつもと同じ。屋上から見える空の景色が見えるだけだ。

 センパイと俺の身長差は頭一つ分ぐらいはある。

 確かセンパイって170ちょいって言ってたから、10cm以上は俺のほうが高い。


「コッチヲミロ」


「何故カタコト」


 チラッと視線を降ろすと、センパイの綺麗な顔と、あとどうしても角度的にセンパイの豊満な乳が目に入った。


「あくまで俺の意見、というかこの状況に限った話ですけど。この距離でセンパイの顔見たら嫌でも乳が視界に入りますね。まあセンパイは身長高いですし、男相手でも目線合わせたら自然と乳も見られるって事少ないんじゃないっすかね」


「乳連呼すんな恥ずかしい!」


「見ろって言ったのセンパイっすよ。いや乳見ろとは言われてないっすけど、物理的に仕方ないっす」


「……で、どうよ」


「やっぱセンパイって綺麗な顔してますよね。まつ毛長いし、肌も白くて綺麗だし。確か化粧してなかったすよね。あとやっぱその猫目が印象的です」


「ンッッッ!! そうじゃない! 褒められて嬉しいけど、そうじゃないの!! ああ、でもいいや、キミはそうだよね。そういう子だよね!!」

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