第22話 好きになるってなんだろ。好きってなあに?

「毎日同じ事の繰り返し。俺、生きてるって気がしないよ」


「元ネタわかるけどスルーするね。普通の人間そんなもんじゃない?」


「でも俺、彼女欲しいっす。だから前にセンパイが言ってくれたように、好きな人作ろうってがんばってます。……一日一分ぐらい」


「それ全然がんばってないね!?」


「頑張る気も起きなくなるんすよ。クラスの女子はギャハギャハ笑いながら短いスカートなのに股開いてるし、恥ずかしくないの? もしわざと見せ付けられても嬉しくないっすよ?」


「つまり、ガチガチのギャルは好みじゃないと」


「あとは男受けしそうな清楚系。むしろ男にチヤホヤされたい感ですぎて無理」


「ああ、そう。キミにはそう見えるのね」


「ちょっと地味な子は、話しかけるなオーラが凄い。無理話しかけるの」


「えっ、じゃあもうキミ彼女できなくない?」


「人って、どうやって誰かを好きになるんすかね。結局、運?」


「そうね、否定はしないよ。切っ掛けは運だよ。キミの言った子たちが、切っ掛け一つで好きになる可能性はゼロじゃないよ」


「スマホゲのガチャかよ。人類いつか消費者庁に訴えられろよ」


「まあ、気分変えてさ。私と一緒に『横須賀線ゲーム』をしよう」


「は? え、急に何それ」


「せーの『鎌倉』」


「『横浜』」


「手堅いね。『横須賀』」


「そりゃ横須賀線だからな、横須賀行くわな。えっと『久里浜』」


「終点を選ぶの、悪くないね。『逗子』」


「そっちも終点じゃねえか! 『戸塚』」


「『東戸塚』」


「せこいっすよ!? 『東京』」


「『新橋』」


「『品川』」


「横須賀線の意味あんまなくなってきたね。それじゃ『大船』」


「『武蔵小杉』」


「くっ、『新川崎』」


「『大崎』」


「はいアウトー! それは湘南新宿ラインです。アウト、アウト!」


「ああ、はい負けました。で、ケーキでも奢ればいいんす?」


「週末、鎌倉に一緒に行こう。鎌倉デート!!」


「土日祝は混むんで、来週の創立記念日でいいっすか。実質平日なんで気楽に遊びに行けますよ?」


「じゃあそれはそれ。土日は……」


「またうちにに来ます? 泊まりはなしで」


「ンッッ! よ、よくてよ? 今週は映画見て、創立記念日は鎌倉だから」


「なんでキャラブレしてるんすか」


「うっさい! 今回はお泊りなしだけど、遊びに行くし、鎌倉にも行くから!」


「うっす。両親に『また嵐のようなセンパイが来る』って言っておきます」


「失礼だぞ、嵐って。あっ、今度はお昼にオムライス食べたい」


「へい。食べたいもの言ってくれると準備しやすいんで嬉しいっす」


「ねえ、急にでなんだけど、場合によってはどうでもいいかもしれないけど。彼女ができたらどうするの」


「………さあ? できたら考えます」


「キミに彼女できるの無理じゃない?」

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