第13話 自称硬派君の華麗なる休日
「キミって普段、休みの日ってどう過ごしてる?」
「家で映画見てますね」
「そっか。映画好きなんだ。じゃあ今度の土曜にさ、一緒に映画見に行こうよ。ちょっと見たい映画あったんだよね」
「絶対話通じてないから、あえて言いますけど、俺は映画は好きだけど映画館嫌いなんで」
「え、その違いって何なのよ。むしろ映画館のほうが迫力あっていいじゃん」
「ポップコーンがさがさする奴と上映中にスマホいじる奴とエンドロール始まった瞬間帰る奴が嫌いなんで」
「あー、うん。わかるよ。でもさ、映画館のほうがおっきな画面ですっごい音響で見れるし、話題の新作もすぐ見れるでしょ?」
「俺の考え、俺の親も同じ考えなんで家にそれなりのホームシアターがあるんで。上映より遅くなりますけど、さっき言ったイライラ我慢するより配信サイトでの公開待ったほうがマシです」
「ホームシアター!? 聞いた事あるけど、どういうのなの?」
「映画見るためだけの部屋があって、60インチぐらいのテレビと5.1チャンネルのスピーカーがあります。他の家具はソファーとガラステーブルぐらいっすね。本当になんか映画とかドラマ見るためだけの部屋っす」
「遊びに行っていい?」
「センパイの見たい映画は俺の家じゃ見れないんで、一人で映画館に行ってください」
「いや午前中に映画館でキミと最新作見て、一緒にランチした後キミの家に行くだけだから」
「話本当に聞いてます? 聞いていてこの会話ならほんとヤバいってレベルの話じゃないでしょ。俺は映画館嫌いなのに連れ出されて土曜のランチタイムとかいうクッソ混む時間に大して美味くもない飯を結構な金額払って食って、さらに俺の家に来るの? バカじゃないの?」
「そうだね、ちょっとずうずうしかった。折衷案としてキミの家でキミが作った美味しいお昼ご飯食べた後に映画見ようよ。映画館には連れて行かないよ?」
「まあ、俺の作る飯が美味いかは置いといて、それぐらいなら」
「えっ、いいの!? ほんとに!?」
「昼飯ぐらいなら、量とか好みとか考えなければ前に話したかもしれないのと逆ですけど、1人分増えても問題ないですから。俺は結構食うほうだけど、両親あんま食わないから残したの俺が食うぐらいなんで」
「ん? え? 遊びに行ったらキミのご両親いるの?」
「なんできょとんとしてるかわからないですけど、いくらうちの親が普段忙しくても土日祝ぐらい普通に家でゴロゴロしてますよ」
「想定外。ご両親忙しいって言うから土曜も仕事なされると思っていた……」
「何をどう想定外かわからんすけど、明日ぐらいにには俺の見たい映画何本か決めちゃうんで、その前にセンパイが見たい映画言ってくれれば調整しますよ」
「その日の気分レベルじゃなくて!? え、どうしよ、急に言われても」
「んじゃ、一応土曜は空けておくし、見たい映画も決めておかないんで。昼前っていうと11時ぐらいっすかね。いや俺の家知らないすもんね、10時ぐらいに横浜のJR南口改札で」
「え、あ、うん。はい。え? えっ!?」
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