第5話 朝日

俺達3人はラーメン朝日でラーメンを食べている。俺が1番好きなラーメンである。しかし喧嘩後に食べるラーメンはきつい、口の中が切れているのでラーメンの汁が傷口に染みるのである。

「そうや俺らで潰した事になるんかな松原グループ。」と祐飛がいう。

「頭の松原やったんやけん潰れたも同然やな」と和磨が言う。

「あいつ結構強かった。さすが頭やと俺は思う。やけど祐飛、和磨お前ら幹部倒したんか?」と俺は2人に尋ねる。

「幹部?矢口だけやない?他にもおるん?」と祐飛が頭に?を浮かべている。

「確かにグループに幹部1人なわけないなあと3人はおりそう」とひらめいたように和磨が言う。

「つまり松原グループはまだ潰れていないってことや祐飛らが倒した奴ら何人くらいおったん?」

「7人やな」と祐飛が言う。

あれで半分か。まだまだおる言うことやなと俺は思う。

「おぉーお前ら」といきなり後ろから肩に手が回される。

うん?と俺は後ろを振り返る。そこにさ八坂さんがいた。

「そう構えるなよ春樹。また喧嘩したんか。さすがやなお前ら3人は」と俺の頭を八坂さんはゴシゴシする。

「八坂さん聞いてくださいよ。さっき俺ら松原グループに襲われたんです。」と和磨が八坂さんに言う。

「なんやとほんまか。やられたんか」と八坂さんが驚いた顔で聞いてくる。

祐飛が自慢気に答える。

「返り討ちにしたりましたよ。しかも春樹が松原倒したんすよ。すごないすか」

八坂さんは目を見開いて俺を見つめる。

「ほんまにやったんか春樹。あいつ顔に似合わず喧嘩強いけんな」

「はい」と俺は正直に八坂さんに伝える。

「春樹うちのグループに入らんか?あの守屋やるほどの実力の持ち主や是非うちに来てくれ頼む」と八坂さんは俺に頭を下げる。

「八坂さん頭あげて下さい。俺なんかに頭下げないでくださいよ。分かりました。こんな俺ですがよろしくお願いします。」と俺は逆に頭を下げる。

よーしと八坂さんは何かを決意したかのように俺ら3人のほうを見つめ言い放つ。

「今日のラーメン代俺が奢ったる」

「マジすか。ありがとうございます!」

先表出たけと俺らは言われたので表に出ようとすると八坂さんが俺を呼び止めた。

「春樹ちょいこい話があるねん」

「なんすか」俺はなんだろうと思いながら八坂さんに近づく。八坂さんは俺の耳に口を近づけて言う

「あいつらとはぐれたらまたここにこい。話があるねん。いいな」

「分かりました」俺は了承して和磨らがいる駐車場に向かった。2人は駐車場で煙草を吸っていた。

「八坂さんとなん話よったん?」と和磨が俺に聞いてくる。

「秘密」と俺はニコニコしながら言う。

「えぇー教えてやぁ」と祐飛が顔を近づけてくる。

「明日言うけんお楽しみや」と俺が言うと2人はしゃーよと言ってくれた。

3人でくたびれた商店街を歩き出す。商店街は昔は栄えていたのだろう。今はほとんどシャッターがかかっている。小学校の時によく行ってたゲーセンはもう潰れている。

「そうや和磨、祐飛先帰っとって俺、おとんに頼まれとったことあったん忘れとった。」

「了解。ほなまた明日なぁ」と2人は手を振りながら帰っていく。

俺は2人が見えなくなるまで手を振り続けた。そして見えなくなると俺は踵を返しラーメン朝日に戻る。入り口の扉を開けると

「いらっしゃいませ」と店員さんが言う。

八坂さんを探すと八坂さんはカウンター端で1人でラーメンを食べていた。俺は八坂さんの隣が空いていたのでそこに座る。八坂さんは俺をみてと言った。

「早かったななんか食うか?」

「さっきラーメン食うたのでお腹いっぱいっす。」と俺は返事をする。

そうかと八坂さんはラーメンをすする。

「あの話ってなんですか?」と俺は八坂さんに質問する。

八坂さんは、ラーメンをすするのをやめて俺を見つめる。そして真剣な顔でこう言った。

「春樹うちのグループに入ってくれんか?」

「いやその……」と俺は考える。

「松原グループの幹部矢口そしえ頭の松原をやったお前の実力やったらウチのグループの幹部として俺から守谷に推薦する。頼む。この通りや。」と八坂さんは頭を下げる。

先輩が頭を下げてまで俺を誘うか。祐飛らも入っとるしなぁ。ここで断ったら先輩の顔に泥を塗る事になる。俺は覚悟を決めた。

「先輩、頭上げてください。俺、今日から守屋グループとして頑張りますんでよろしくお願いします。」と俺は八坂さんに頭を下げる。

「ほんまか。ありがとな」と八坂さんはとても嬉しそうである。

俺も明日から守屋グループか、祐飛らもおるし八坂さんええ人やし大丈夫かな。









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