第3話 春喧

バキッ!ガキッ!と骨と骨が当たりあう音が聞こえる。そして俺、川島春樹は2年で番を張っているという矢口広正と現在タイマンをしている。矢口はフラフラしながらかろうじて立っている。俺は矢口に言う。

「あんた中々やるなぁ。さすが八木中で2年の番張っとるだけあるな」

「くそ。バケモンがぁ」と矢口は俺を殴ろうとした。が矢口にはもう力が残っておらず俺の目の前で倒れて気絶している。

「さすが春樹やな2年の番やるなんてよ」祐飛は誇らしげに言う。

「祐飛、本当やったらお前がやらなアカンやろがほんま。俺の喧嘩今日で最後やけん。和磨と祐飛頑張れよ。」と俺は2人に言う。

「任しとけ八木小三人衆の俺ら2人で八木中トップなったらわ。なぁ和磨?」祐飛が和磨に問いかける。

「さやなトップとるかほんで卒業までに全中制覇や!」和磨がニコニコしながら言う。

俺も2人みたいに喧嘩したいけど母さんは許してくれないんやろなぁと心の中で残念そうに思った。

「はーるーき何しけた面しとんねんはよいこや」と祐飛が言う。

「小学校みたいに3人で祐飛ん家でゲームしよや」和磨が俺の肩に腕を乗せて言う。

「そうやな!久しぶりに祐飛ん家でゲームしよー」母さんごめん今日はこの2人と遊びます

遅くなっても怒らないでくださいと春樹は空に願った。

中学に入学して2日目

和磨はヘッドホンを耳につけて歩き、祐飛はタバコを吸いながら歩いている。俺は、こいつらマジかよと思いながら少し距離を置いて歩いている。

「昨日の春樹すごかったなぁさすが八木小の番長」と祐飛が俺のことを称賛している。

「うるせぇもう喧嘩せんわい」あん時喧嘩するんやなかったと今はものすごく後悔している。絶対あいつら仕返しに来るやろ。

と俺は思った。

しばらく歩いていると学校の近くにある◯ーソンに不良が溜まっていた。

ガラ悪いな絶対八木中やろ。自分達の地元の八木市には中学校が5つあるそのうち八木中だけが学ランなのである。他の4つの中学はブレザーなので一目瞭然である。

「おい」と低い声が聞こえてきた。

「和磨、祐飛なんか言うた?」と2人に顔を向け聞く。

「なんもいうとらんよどした?」と2人は

顔を横に振っている。

「おいコラ待たんかいそこの3人」その声は後ろから聞こえてきた。

振り向くと先ほど◯ーソンでたむろした奴らだった。

「お前らやろ?昨日広正らやったの?」と学ランの下にヒョウ柄のシャツを着ている男が言う。

今時ツーブロの横流しかよ横めっちゃ短いやん。1(1mm)あるんかな。

「せやけどなんや?まさか昨日のやつの仲間か」と和磨がヘッドホンを首に下ろして構える。

「まぁまぁ待たんかい。俺ら守谷グループやけん。矢口とは敵対しとんねん」と横流しの男が言う。

「なんや守谷グループって」と祐飛が言う。

「お前ら八木中やのにグループも知らんのか。」とめんどくさそうに横流しが語り出す。

「八木中には5つのグループがあるんや。1グループはだいだい20人くらいおる。それぞれ勢力を争っておるんや。お前らがやった矢口は3年の松原が仕切っとる松原グループの幹部なんや。そんでうちは守谷グループ。俺は守谷グループの幹部で八坂言うねん。ほんで他には八神グループに大西グループそして岩田グループこの5つや。」と淡々と話した。

八木中って複雑やなと俺は思った。

「そこでお前らに話があるねん。お前ら3人守谷グループに入らんか?」と八坂と名乗る男が言う。

「なんで俺らがグループに入らなあかんねん」と祐飛が反論する。

「お前ら3人は松原グループの幹部、矢口そして他のメンバーにも手え出しとる。松原はお前らに仕返しにくる」と八坂が言う。

「せやからお前ら3人うちに入れば悪いようにはせん。それに松原グループも仕返しにこん悪い話やないやろ?」と八坂が念を押して聞いてくる。

確かに悪い話ではない。しかしグループに入ると言うことは上の命令は絶対である。身の程は保証されるが俺は縛られるのが嫌いである。

祐飛と和磨は松原グループに入ることを了承したようだ。

「春樹入らんのん?」と和磨が俺に問う。

「入らん俺、喧嘩嫌いやけん」と俺は1人学校に行く。この後あんな事になるなんて予想だにしなかった。








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