才能、ユーノウ

僕にとってかっこいい父親でありヒーローであるお父さんは僕たち2人に武器をくれた、そして僕たち2人の力を試すべくちからくらべをした。

僕たちは負けちゃったけど、お父さんに力を認めてもらったみたいだ…よかった!


で、今はお昼ご飯!


「ふー…お腹いっぱい。」

「しゃけが入っていた、美味しかった。」


外に出るとお父さんは何やら箱みたいなものを運んでいた。

普通の箱もあったけど、その中のいくつかは『JAPARI PARCジャパリパーク』と書かれた箱で綺麗な色をしていた。


「この箱はなにー?」

「ああ、配達の仕事の荷物だ!

これが今日の俺の仕事だ。」


お父さんは家の裏から箱を持ってきて運びながら答えた。


「じゃあこっちの派手な箱は?」

「そっちか?そっちは探検隊宛だ!探検隊への招待に応じたフレンズからの返事の品が入ってるんだ。」


へー…これは探検隊のとこに行くのかぁ


「さて、これで全部だ。

さあ出発しようぜよい子たち。」

「行こ、ツクヤ?」「うん。」


僕はツクヤと一緒に車の後ろの席に座った。

さらに後ろの席には荷物が積まれている。


「俺の仕事は基本パークの何でも屋みたいなものだ。

こういう配達の仕事をするときもあるし飼育員や研究員などの専門スタッフのアシスタントをするときもある。

あとはイベントの時の店番とか?」


車の中では、お父さんの仕事について色々と教えてくれた。

ツクヤも色々と思い返しながら小声で呟いていた。


「懐かしい、フレンズとの関わり合いについて悩んだ飼育員の人にフレンズの好みの調査を依頼されてたっけな…」

「いろいろやるんだね…」


車でしばらく行くと家がたくさん建っている場所にやってきた。

住宅地ってところみたいだね。


「おとぉ…ケイスケ〜、ここはー?」


うおっあぶない、お父さんって呼ぶところだった。


「居住エリアの一つだな〜

このエリアには住み込みで働く飼育員やその家族が暮らしてる。目的地の家まではもうすぐだぞ?」



すごい!人があっちこっちにいるよ?

あ、公園だ…楽しそうだな〜


「よし、着いたぞ。」

「おお〜」「降りようか。」


並んで建ってる家のうち一つの前で車が止まって、お父さんが降りて行った。

そしてドアの前に立ってピンポーンと鳴らした。


「こんにちは、暁ですー。

オオノさん居ますか〜?」

「はーい、お〜暁さんどうも!」


お父さんが呼ぶと、家の中から男の人が出てきた。

私服だったけどどうやらパークのスタッフさんのようだ。


「じゃ、これ荷物ね?」

「いつもありがとうな暁さん。」


お父さんはオオノさんと呼ばれた人に荷物を渡した。


「ついでと言っては何だが何か困ってることはないか?」

「あー、そうだなぁ…じゃ、家の中にどうぞ?

…おやそっちの子たちは?君たちも入る?」

「この子たちは…うん、社会見学だ。よし2人ともおいで?」


お父さんに手招きされて、僕たちはスタッフさんのお家の中に入っていった。

ゆったりした空間で落ち着けそうな場所だった。


「最近テレビの映りが悪くてね、そろそろ電気屋さんにでも頼もうかと思ったけど…暁さんできそう?」

「うーむ、よしわかった。」


お父さんはそう言うと、テレビを数分調べたあとにベランダの方に出ていった。


「なるほど、これはアンテナの向きの問題だな。」

「わかるのか?」

「すごい!」


お父さんはサーバルカプセルをスタンプ注射みたいに体に押すと、それをしまって家の壁をよじのぼってアンテナを直しに行った。


「えっ!?」

「おー、暁さんナイス。」


スタッフさんは全然驚いてない、え?どういうこと?

ツクヤは『なるほど…』みたいな顔して見てるし…


「…今のは?」

「ん?ああ、変身しなくてもカプセルの中の遺伝子をちょびっと体に入れると僅かだが力を使えるんだよ。」


うーん、注射みたいな感じ…?

どっちかっていうとスタンプを押すみたいに軽かった感じはしたけどね。


「ありがとう、またよろしく頼むよ。配達頑張ってね?」

「ありがとう!おお、これは有難い。」

「君たちも飲むかい?」


僕たちは差し入れのお茶を三本貰った、冷たくて美味しい!


「おやつもあるけど…君たちどう?」

「わっ、嬉しい!」

「ありがとうございます。」

「じゃ…先にエンジンかけてるわ、お前たちはおやつ貰ってな?」


お父さんが先に車に戻っていく、そのあとオオノさんがテレビをつけた。

テレビには凄そうな乗り物の前に立つ男の人が写っていた。


『本日はこのパークのスポンサー、九龍カンパニーの社長である九龍兆治くりゅうちょうじさんより最新の発表があります。』

『皆さま、こんにちは。』

「あれっ、この人は!?」

「たしか昨日…」


マイクを持った男の人から紹介されたのは、クレープを持った子どもとぶつかっていたあのおじさんだった。


「お、この人に会ったことがあるんだね?

この人は九龍兆治さん、このパークのスポンサーである九龍カンパニーの社長さんだよ。いくつもの会社の会長でもあるね。」


へー、すごい人だ…


「あ、でも暁さんにはあまり話さないほうがいいかもしれない。」

「どうして?」

「あの人、ああいう高級品フル装備みたいな人あんまりすぎじゃないみたいだから…」


へぇ…そうなのか、気をつけた方がいいかもね?

僕もツクヤもおやつを食べながらその話を聞いていた。

テレビでは社長さんが新しい技術?の話をしていたみたい。


「ごちそうさま〜」

「ありがとうございました、オオノさん。」

「いやいや、こちらこそありがとうね?」


オオノさんにお礼を言うと、お父さんが待つ車まで戻って車に乗り込んだ。

そして車は次の配達先に走っていく。


「おやつは美味しかったか?よし、いくぞ!」


配達した後、お父さんは必ず何か困ったことはないかと訊いていた。

ある場所では水道の詰まり、ある場所ではご近所問題の解決なんかもしていた。

みんな親しげにお父さんを出迎えては困ったことを相談する…すごく信頼されてるんだね?


「よし、次はこのあたりだな…この辺は事務員や清掃担当、そしてその家族が住んでいる地域だ。」


お父さんは一軒のお家の前で止まると車を降りた、僕たちも例によって降りて行く。



「どうもどうも奥さん、お届けものだ。」

「あ〜こんにちは暁さん、ちょっと相談があるんですけど…」

「ん?何だ?ああ、今月一歳になったって…」


出てきた女の人はスタッフの奥さんらしい、ドアを開けているけど後ろから何か聞こえてくる…


「赤ちゃんの声だな、ヨウ…」

「ん、たしかに言われてみれば…」


よく聞くと大きな声で赤ちゃんが泣いている、困ってる事ってこれのことなんだね〜…

僕たちはお家の中に招かれて、中に入っていった。


「ふぎゃあ…ふぎゃあ!!」

「ミルクもあげてオムツも替えたんですけどね…なかなか機嫌を直してくれなくて…」

「ふーむ…」


家の中では赤ちゃんが大きな声で泣いていた。

お父さんがスタッフさんの奥さんに渡されて赤ちゃんを抱っこする。


「ぎゃーー!!!」

「よーしよしよし…うおっ暴れる暴れる…」

「親でも泣き止まないとなると流石に難しいのか…?」


ツクヤが僕に小声で声をかける、僕は黙って頷きながら見ていた…何かを思い出しそうな感覚を感じながら。


「流石の暁さんでも難しそうですか?無茶言ってすみません…」

「いや、謝ることはない…子は宝だ。」


僕はその様子を見ていると、自然に足が動いて2人の前に立った。


「その子、ちょっとだけ僕に任せて欲しいな。」

「ヨウ?できるのか?」

「わからない…でも、なんか行ける気がする。」


赤ちゃんのお母さんにも許しを貰って、僕が赤ちゃんを抱っこすることになった。


「よし、よし…とんとんとん…

だいじょうぶだいじょうぶ…」

「ぐすっ…ぐすっ…」


ゆっくりゆっくり、僕の耳で聴いた心臓のリズムに合わせて…


「…?気のせいか…?」


お父さんが何か呟くのが聞こえたけど、集中している僕にはあまりわからなかった。


「ねんね、ねんね…」

「う…う…」

「お?おおお…!?」


赤ちゃんの声がだんだん小さくなってきた、僕は最後まで優しくとんとんとする。


「すやすや…」

「ね…寝た…?」

「おやすみ…。」


僕は優しく赤ちゃんをベッドに寝かせた、そしてふっと集中が解けると自分でもびっくりした。


「…できちゃった…!」

「おまっ…すごいな!?」

「すごいなヨウ、大活躍だ…」

「キミ、ありがとう…!凄かったよ!」


すごく集中してたから…うん、自分でもほんとにできるとは思わなかったよ…

よかった、よかった…


「まるで母ちゃんだな?」

「ああ…母親みたいだ。」

「もーーそこはお父さんでしょ!!」


何でお母さんなのさ〜、僕は男だよー?

まあいいや…問題が解決できてよかった。


「あともう一つ…」

「なんだ?」

「最近向かいの家のコウダさんの家がやけに電気がついてなくて、行方不明なんじゃと…」

「…ああ、雑用のスタッフさんだったか?配達に行ったことはないな、でもどっかで聞いたことがあるような…」


あれ?それってナオトさんの友達って人と同じ苗字じゃない?

うーん、でも違うかなぁ…?


「よし、何かわかったら連絡するよ。じゃ、俺たちはこれで。」

「ありがとうございます…」


僕たちはまた車に乗り込んだ、次の目的地は…探検隊の拠点だって!

ポストに派手な箱を入れる仕事みたいだ。


「道のり長めだから暇かもしれん、寝ててもいいぞ?」

「うーん、どうしようかな?」

「俺はもっと周りが見てみたい、起きてるよ。」


僕はさっきのことを考えていた、どうして僕は赤ちゃんをあやせたんだろう?

一種の才能なのかな、それとも昔やり方を知っていた?


「ん…?」


ぼーっと考えていると、急に体がむずむずした。

すると…


「えっ?え?」


急に胸の辺から虹色の光が浮き出てきた…

これはなに?


「どうしたヨウ?んっ!?それは…輝きだな?」

「輝き…まさか、記憶か?」


まさか!ドットもいないこの時代で…?


「ケイスケ、奪われた輝きが復元することってあるのか?」

「あー、あるが…てかヨウお前、セルリアンに輝きを取られてたのか?」

「まあ…うん、記憶という輝きって感じ?」


今僕の中で印象に残った出来事が輝きを取り戻す鍵になって出てきたってこと?

あ、というか…思い出すってことは…


「大丈夫だヨウ、こっちに倒れてきていいぞ。」

「ん、なんだ2人とも…どういうことだ?」

「しばらく意識がなくなるからな、誰かが受けてやらないと…」

「なるほどな?じゃ、頼むわ。」


そう言われてツクヤのそばに倒れて、記憶を見るための準備をした。

う…意識がー…


〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


「ここは…家?」


周りを見渡すとどこかの家の中のようだった。

…いつも気になるのは僕の記憶なのになんで昔の僕から見た感じじゃないのかな?夢と同じってことなのかな…


「あれは…僕?ちっちゃい…」


おもちゃで遊んでる小さな子…あれが僕かな、こんな昔の記憶まで戻ってくるんだ…2歳くらいかな?


「ぎゃあー!ぎゃあ〜っ!!」


あっちで泣いてるのはツクヤ?

この僕が2歳ってことは1歳か、まだ赤ちゃんだ…


「困ったな…」

「これは久しぶりにご機嫌ななめだね〜?」

「うーん、どうしようかしら…」


お父さんとお母さん、そしてツクヤのお母さんだ…みんななかなか泣き止まないツクヤにおろおろしてる様子だった。


ん…?もう1人別の場所にいる気がする…ナオトさんかな?


「パパは仕事だし、寂しいのかしらね…」


…違う…?じゃあ誰なのかな?

と考えているとその気配が近づいてきた。


「ふー、洗濯終わった終わった…あーらツクヤちゃんご機嫌ななめなの〜?」


女の人?ちょっと歳を取った女の人が外からやってきた…なんだか見覚えが…?


「ああ、ヒミコさん…洗濯物任せてごめんなさい。」

「いいのいいの、貴方達夫婦も息子娘みたいなものだから!」


ヒミコさん…?

…って誰?と思ってるとお父さんが笑って言い出した。


「お袋、相変わらずの俺以上のお節介だからなぁ?余計な世話ばっかしてごめんな?ははは」


お袋?…お母さん…ってコトは?

…僕のおばあちゃんってコト…??

見た感じおばあちゃんってか…おばさんだよね。


「ケイちゃん!余計なこと言わない!」

「おーい、ケイちゃんはやめろって言ってるだろ!?」


と会話するとまたお父さんとおばあちゃんの2人は笑って流した。

おばあちゃんは赤ちゃんツクヤのベッドの前にくるといないないばーっとした後


「ツクヤちゃん、ちょっとだけ任せてくれない?」


と言ったから、ツクヤのお母さんがツクヤを抱っこして渡した。


「わかったわ…よいしょ…」

「びーー!びぇーー!」


おばあちゃんはツクヤを抱っこすると、僕がさっきやったみたいにとんとんとしだした。


「とんとんとん、だいじょうぶだいじょうぶ…」

「ひぐっ…ひぐっ…」


するとツクヤはどんどん泣き止んで、やがてすやすやと眠っていた。

昔の僕はそれを、おもちゃで遊ぶ手を止めてじーっと見ていた。


「ああよかった…ありがとうございます、ヒミコさん。」

「ああほんとによかったよ、いいっていいって!ツクヤちゃんも孫みたいなものだから、ね〜?」

「くー…くー…」


おばあちゃんは気さくに笑うとツクヤをとんとんして毛布をかけてあげていた。

僕はこれを見て自然と覚えたってこと…なのかな?


「…時間みたいだ。」


記憶の映像はここで終わった。



〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜・〜


「うーん、はっ!」

「気がついたか、どんな記憶だった?」


ツクヤは起き上がろうとした僕を見て起きるのを手伝った。


「赤ちゃんをあやせた理由につながること…かな?」

「うん?」

「ちょっとお父さんに聞いてみるね。(小声)」


ツクヤに耳打ちしたあと、お父さんに僕のおばあちゃんのことを聞いた。


「記憶ってなんだったんだ?」

「うーん、お母さんの事かな?

…それでちょっとケイスケのお母さんについても気になったんだ。」


僕はちょっとだけ嘘をつきながらお父さんに僕のおばあちゃんのことをきいた。


「ヨウのお袋…もとい母さんか…気になるけど歴史に関わっちゃまずいから聞かないでおくか。」


お父さんはラッキーに話しかけて、オートアシスト?をつけて運転をしながら話し始めた。


「俺の母さんは暁ヒミコってんだ。」

「卑弥呼?歴史に出てくる?」


一緒に聞いていたツクヤが質問すると、ちょっと考えてから話しだした。


「あー、それにあやかってるらしいが字は違う。

日を観る子と書いて日観子ヒミコらしい。」


歴史?はよくわからないけどなんかかっこいい名前だね?


「ヨウには話したが俺は母さんと二人暮らしだったんだ。

外の仕事と内職を掛け持ちして生計を立ててくれて…ありがたかったよ。」


ふむふむ…


「だけどまあ、なんというか俺以上のお節介だ。

近所で問題があったら絶対に助けに行ってたし、アドバイスなんかもしてたっけな。

それが災いして一部のヤツからウザがられてたらしいが…まあそうなるよな…」


親切にしちゃダメなこともあるの?

そりゃそうなる、か…ちょっと怖いな…


「そんな悲しい顔をするな、ごめんな…もちろんそのお節介に救われる人も多かったようだ、近所の人からはよく頼りにされていたよ。俺はそんな母親を心から尊敬していた。」

「他には?他には?」


僕は…まだまだ気になるな!


「後か?後は…ゲームが恐ろしく強かったことだな。」

「「ゲーム?」」

「格闘ゲームをやらせればコンボの繋がりがエグいしシューティング系をやらせればほぼ確実に相手に当たる…おお恐ろしい。」


ゲームが上手いのか〜…すごいな、おばあちゃん…元気すぎるじゃん?


「あとはまあ…武術にも精通してて間違いなく俺より強いって事だな。」

「「えー…!?」」


やっぱ元気すぎじゃない?


「お袋が幼い頃からじーちゃんに指南されてたみたいだぞ、俺を産むまでの職については聞いたことがないが…多分なにがしかのスポーツだろうな。」


うーん、この親子すごすぎる…

とりあえず僕のおばあちゃんについては一通りわかったかな?


「ん、話してるうちに探検隊の拠点が見えてきたな」

「あ、ほんとだ。」

「俺たちも降りる準備をしよう。」


僕たちがこの時代に来てから2回目だね、ここにくるのは…

何度見ても新鮮さを懐かしさを同時に感じる。


「よし、車を止めるぞ。気をつけて降りろ?」

「「はーい」」


探検隊の拠点に着いて、僕たちは車から降りて積まれていた荷物をおろした。

僕たちが荷物を下ろすと、たくさんあった荷物も全部なくなった。


「ここで最後なんだね?」

「いや、まだもう一軒…面倒なのがあるな…。」


お父さんはちょっと呆れた声色で『面倒』という言葉を使って言った。

お父さんがそういう言葉を使う印象がそんなになかったからそんなに困ったところなのかな?


「ま、今はここの仕事だ。さあ、アレがポストだぞ。」


お父さんが指差した先には、僕らの身長と比べると若干大きいポストが立っていた。


「これがポスト…なのか!?」

「わ〜…すごいや。」

「さて、蓋を開けるぞ。この中に置くんだ。」


お父さんはポストを開けるとそこに綺麗な箱を置いた。

僕たちも一つずつ持っている箱を置いて、お父さんはポストを閉めた。


「それとこれだな。」


蓋を閉めたあとお父さんは7枚の封筒をポストの穴に入れた。


「今入れたのは?」

「アレは『フォト』だ、いわば写真だな。

探検隊の招待に応じられないフレンズは自分が持っているフォトを送るんだ。」


なるほどなるほど…

この時代にいると新しい発見の連続で面白いね。


「フォトに込められた輝きは時にフレンズの力になるとも言われているな、そこはよくわからないが。」


思い出っていいものだからね、輝きの力もきっと強いんだろうなー…


「さて、そろそろ最後の場所に…ん?おーい!」


僕たちが車に向かうとお父さんは何かを見つけて空に向かって手を振った。

それはお父さんに気がつくと空から降りてきた。


「Hi!ケイスケじゃない!」

「よーうキャプテン!今日もジャスティスしてんな!」


空から降りてきたのは鳥のフレンズさん、白っぽい姿でカッコいい!


「彼女はハクトウワシ、探検隊の一員で通称『キャプテン・ハクトウワシ』だ。」

『ハクトウワシ、翼を広げると2mを上回る大型のワシで肩から頭にかけての部分が白くなっているのが大きな特徴となっているヨ。』


お父さんが紹介すると、車の中から歩いてきたラッキーがハクトウワシさんの解説をした。


「この子たちはGuestかしら?」

「いんや、未来から来た迷子だ。」

「ああ!この子たちがドールの言ってた未来人ね!Nice to meet you会えて嬉しいわ!」


おおすごいっ、英語で喋ってるよ…!

そういうとこもかっこいいフレンズさんだね。


「ケイスケはこれからどうするの?」

「アイツんとこ行ってくるんだよ、アイツが頼む限りはしょうがない。」

「ああ、あの子ね…悪い子じゃないから仲良くしてあげて?」

「あいよ、わかってるよ。」


ハクトウワシさんには何か通じているみたいで納得したように返していた。

お父さんがそんなにめんどくさがるってよっぽどな気がした。


「じゃ、行くぞよい子たち?」

「うん!」「わかった。」

「二人ともSee youまたね?気をつけていってらっしゃい!」


ハクトウワシさんに手を振りながら僕たちはその最後の目的地を目指していった。


〜〜〜

「森の中に入ってきた、こんなところに住んでいる人がいるの?」

「ま、人じゃないわな。」

「フレンズか、君がそんなに面倒がるのはどうしてなんだ?」


ツクヤはお父さんにその理由を聞いていた、お父さんは少し唸って答えた。


「うーむ…

ま…すぐにわかるさ、すぐにな。」


お父さんがそう答えると、周りの草むらがガサガサと揺れた。

すると…


『ガタンッ!!』


屋根の上に何か乗っかってきた大きな音がした。

僕とツクヤはすごくビックリしたけど、お父さんはやれやれといった顔をしていた。


「言っただろ?」


お父さんはそう苦笑いしながらドアを開けて出ていった。

僕たちも急いで降りると、屋根の上にフレンズさんが乗っていた。


とても見覚えのあるフレンズさんが…。


「ヨウ…あのフレンズって…」

「エカル…さん…!?」


薄い茶色の髪やもみあげから牙みたいに垂れた白い髪、間違いなくその姿はエカルさんだった。

だけどそのエカルさんは喋ると印象は大きく違っていた。


「遅かったじゃない、暇すぎて雑魚セルリアンを50匹は狩ったわ?」


えええ〜っ!?

あの気弱だけど優しい喋り方とは全然違う、強くて勝ち気な喋り方をしていた。


よく見るとエプロンはあちこちが破けていて巻き方も雑だった。


「で、今日は届けてくれるのかしら?この私の勝利をね!」


この時代のエカルさんはそういうと牙の双剣を呼び出してお父さんに襲い掛かってきた。


「残念だが…今回届けるのも敗北だ!」


お父さんはそういうと襲ってきたエカルさんの手首を掴んでそのまま背負い投げをした。

変身をするまでも無くカウンターでエカルさんを倒すと、引っ張り起こして埃を払ってあげていた。


「はっ、また一本取れなかったな?」

「くそぅ、車の上から飛び込む作戦は完璧だったはずなのに!」

「自分から目立ちに行ってたら終わりだろ?」


お父さんとエカルさんはジャパリまんを食べながら謎の反省会を始めていた。

僕たちは状況が飲み込めずにポカーンとしている。


「ああ、完全に置いてけぼりだったな。

こいつはエカル、探検隊のルーキーだ。」

「ルーキーって?(小声)」「新人だな。」

「可愛い子たちね、狩り甲斐はなさそうだけど?」


この時代のエカルさんは僕たちを交互に見つつフン、と鼻で息をしていた。


「おー、ナメならいかんぞ?

変身した俺といい感じに渡り合ってたんだからな。」

「マジなの?へぇ〜、それは失礼。」


エカルさんはそう言いながらもジャパリまんをガツガツ食べていた。だいぶ甘く見てるみたいだ。


「すまんな二人とも、エカルは強いやつを狩るのが趣味の根っからの狩人なんだ。」


それにしても…本当に印象が違いすぎる…

いやー、マジで…


「ツクヤ、どうなってるのかなこれ…?(小声)」

「個体差…というべきか、性格や話し方が大きく違うフレンズもいるんだ。この時代のナミちーも話し方が違っていた。(小声)」


へー、そういうものなんだ…

うーん、お父さんがめんどくさがる理由はなんとなくわかったかな…?


「ねえケイスケ、さっきの雑魚じゃ狩り足りないのよねぇ…貴方が戦ってる怪物、私にも狩らせてよぉ。」

「ばか、ヤツらは俺とナオがとどめを刺さないと倒せないんだよ。」

「ちぇ、なーんだ。」


エカルさんは不服そうにしながらジャパリまんを平らげた、お父さんはめちゃくちゃ呆れている。


「帰るぞ、俺。」

「また機会があったら呼ぶわー、今度は一本取ってやるんだから。」

「もうやめてくれや、俺も暇じゃないんだ。」


と言いながらちゃんと来てくれるお父さん…さすが優しいね…!


「さて、用事は済んだぜよい子たち。

早いとこおさらばしちまおう。」

「あ、うん。」「ああ…」


エカルさんはたくさん食べてお腹いっぱいになったのか昼寝を始めた。

本当に自由な子なんだね〜…

その間にお父さんはそそくさと車に乗って車を走らせた。


「すまんな二人とも。アイツもアイツなりに信条を貫いてるだけなんだけどな…。なんとかなんねーもんか…」


ちょっと呆れ気味にしながらもお父さんはエカルさんのことを嫌っているわけではなかった。

なんか安心したかもしれない。


「さて、二人ともご苦労さん。寝てていいぞ?」


そのあと、お父さんの家に帰ってご飯やお風呂を済ませたあとに1日を終えた。


〜翌日〜


朝ご飯を食べたあと、お父さんの家の電話に電話がかかってきた。


「もしもし?ナオ、どうした?」


ツクヤのお父さん、ナオトさんから電話があったみたいだ。

なにかあったのかな?


「何、ああわかった。

すぐに支度する。」


そう言って電話を切ると僕たちは二人を呼んだ。


「二人とも、どうやらヒーローの出番のようだ。」

「何があったんだ?」


ツクヤに聞かれるとお父さんは何があったのか説明した。


「どうやらコブラとイーグルの潜んでいる拠点の場所がわかったようだ。まずはコブラだ、すぐに向かうぞ。」

「「!!」」


僕たちは急いで車に乗り込む、お父さんはラッキーを乗せて何か話しかけていた。


「もしもし、緊急ルート使用の許可を。」

『はい、ただちに解放します。』


そういうとお父さんの家の近所にある噴水が持ち上がり、そこには地下の道路があるのが見えた。


「えっ!?何あれ…!?」

「遠くの場所にも楽に行けるようになる道だ。

特別な事情でしか使えないがな。」


お父さんがそういうと車は出発して、地下通路に入ると昨日とは比べ物にならないスピードで走りだした。


「ちーと爆速するぞ、気をつけろよ!!!」


その姿はまさに秘密の基地から出動するヒーローだった…


〜次回に続く〜

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