ヒーローからの挑戦状


「ん…ふあ〜…」


朝だ〜、よく休めた…。

ツクヤはよく寝れたのかな?


「起きたか、ヨウ。」

「あっ、ツクヤ〜」


ツクヤは部屋に置かれた椅子に座って、お父さんが置いておいてくれた本を読んでいた。


「よく寝れた?」

「…ああ。」


ツクヤは本を読みながら静かに頷いた。


「ケイスケおじさんが、そろそろ朝食ができるって。」

「そっか、楽しみだね〜」


昨日のカレーもそうだけど…過去のお父さんとはいえ、お父さんの手料理が食べられるのは嬉しいね。


「…と言ったのも数分前だしもう呼ばれるだろうな。」


とツクヤが言うと、下の階からお父さんの声がした。


「おーいよい子たち、ご飯の時間だぜー?」

「やっぱりな、行こうか。」

「うんっ」


僕たちは階段をとてとて降りて一階に行った。

お父さんは朝ご飯をテーブルに並べて待っていた。


「よーう、おはよう!よく寝れたか?」

「おはようおt…ケイスケ!」


あぶなーい…!

あぶないあぶない…


「どうした?」

「いや?なんでもないよ!」


お父さんは不思議そうな顔で箸を並べた。


「朝食はシャケと白米と味噌汁だ、2人とも箸は使えるか?」

「「もちろん」」

「そうか…未来でもその辺の文化は同じみたいだな、よかったよかった。」


未来…といっても親と子だから文化的にはそう変わらないかもね〜…?


「それにしても…流石だ、バランスが良くて栄養が取れそうだ。」

「そうかー?ははっ、ありがとな。」


ツクヤもすごく感心してる、ツクヤにとって僕のお父さんは料理の先生だったらしいね。

僕たち3人、お父さんが全部の準備を終わった後それぞれ椅子に座って朝ご飯を食べた。


「・・・。」モグモグ


ゴクリ「それで2人とも、飯食べたら家の前のガレージに来てくれるか?」


お父さんは食べる時は静かに食べて、しゃべる時は全部飲み込んでから喋った。

割と当たり前なことかもしれないけど…大雑把に見えるお父さんだけど所々に繊細な振る舞いをするんだな、と思った。かっこいいね?


「…聞いてるか〜?」

「あっ、ごめんごめん…ガレージね?」

「家の前にあったアレだな。」


そういえば家の前にもう一つ小さな建物があったね、あれがガレージかな。


〜数分後〜


「ふう、食った食った…さて、案内するぜ。」

「「うん。」」


バランスのいいご飯を食べれて元気いっぱい、お父さんは食器を片付けて洗ってから僕たちを家の前のガレージに案内した。


真っ暗なガレージだったけど、お父さんがぱちっと電気をつけると見たことない道具や難しそうな機械が綺麗に置いてあった。


お父さんってやっぱり整頓上手い…?


「これは…?」


一番目立つ机の上には、いろいろとコードに繋がれた機械にはめられた銃と剣が置かれていた。


「この銃は『ジーンショック』、銃として使うのはもちろんシールドを出したり2種類のゲノムカプセルの能力を混ぜて放つこともできる…時々ハズレが出てくるが。」


少し注射器を意識したデザインの白い銃、すごくかっこいい!

名前にはどんな意味があるんだろう?


「どうしてこの名前にしたの?」

「ああ、腕時計に似た名前のやつがあって…それをもじって遺伝子という意味の『ジーン』と合わせた名前だ。」


へー!すごい…

二つの言葉のかけ合わせかー、いいね〜


「で、こっちの剣は『E・デンスラッシャー』…

ジーンショックやベルトと遺伝子情報を共有させることができる。」


遺伝子のようにうねうねとした模様の入った剣だ、こっちもかっこいいや。

イーデンっていうと…遺伝ってこと?


「お察しかもしれないが『遺伝』から『イーデンスラッシャー』としてるが…」

「「してるが?」」

「ナオはどうも『Eデンスラッシャー』にしたかったらしい。」


ツクヤのお父さんはそういう風に読みたいんだね〜


「なるほど、ローマ字読みか。」

「そういうことだな。

ということでどっちとも読めるようにアルファベットにした。」


ちょっと面白いかも、その由来…


「アイツ結構武器にうるさいんだよな、性能だけでなく見た目や名前も大事にしたいらしくて…気持ちはわかるけど。」


へー、意外だなぁ

この時代に来るまで硬派な先生って感じのイメージだったよ。


「それで…ケイスケ?」

「ん、なんだ?」


ツクヤが何かを思ったようにお父さんに話しかけた。

お父さんは椅子に腰掛けながらツクヤの方を向いた。


「君はこの武器のことをよく知ってるようだな、やっぱり自分で扱う分にはよく知るタイプなのか?」

「ははっ、よく知ってんのは当たり前さ。

だってこれ、俺が作ったんだから。」


へーそれは凄いなぁ…え??

今なんて言った…?


「なん…て…?」


ツクヤも固まっちゃったよ…。


「おう、だから俺が作ったんだって。」

「「えええーーーっ!?!?」」


つくったーー!?!?

どういう事なの……


「ベルトの設計図を元にして俺が作った。」


いやいやいや、凄すぎるって…


「いや…その、そんなことができるのか…?」

「大丈夫、俺資格マニアだから。」

「そういう問題じゃない…。」


びっくりしすぎて固まってるツクヤに、お父さんはにやっとして答えた。


「…おっといけない。お前たち二人を呼んだ目的を忘れるところだった。」


目的を思い出したようにお父さんはテーブルの近くにある入れ物をゴソゴソと弄り始めた。


「ヨウ…お前はあの時瓦礫を使ったジャンプでコウモリ野郎バットイビルズを叩き落とした、そうだな?」

「う…うん。」


陰から隠れて不意打ちしようとした怪物を僕はほっとけなかった。

あのまま行かせていたらお父さんが危なかったかもしれないから。


「お前ならこの試作品を扱えるんじゃないかってな…それにこれ以上丸腰で無茶はさせらんねーよ。」


そこにあったのは色の塗られていない黒い武器たちだった。

いろいろな形をした武器が綺麗に並べられていた。


「好きなの選びな、それと…ツクヤ、お前もな。」

「俺…?俺は特に何も…」


ツクヤは少し目を逸らすように否定したが、お父さんに肩を優しくぽんとされた。


「お前からもヨウと同じ只者じゃない匂いがするんだよ、なんとなくな?」

「そうか…そうなのか…?」

「そうだよ!ツクヤも強いよ〜?」


さすが、お父さんにはなんでもお見通しなんだね〜…

なんでも?あれ、なんでもじゃ僕らの正体がバレて困るかも…!?


「よーし、じゃあ好きなの選べ?使えるように調整して使い方教えてやるよ。」


よーし、どれにしようかな?

ツクヤも色々と手に取りながら考えてる。


「俺はこれと、これかな。」

「おっ、そいつか?」


ツクヤが決めたのは小型の銃と小ぶりなナイフ型の剣のペアになっている武器だった。


「そいつは試作品の中でいちばん軽いやつだな。

銃はモデルガン並みの軽さだが低反動で扱いやすいぞ?」

「なぜこれは没に?」

「ああ、俺には軽すぎたんだよな…。」


なるほどねー…

没になるのにも色々と訳があるんだね。

僕も話を聞きながらだけど決めたよ!


「ヨウも決めたか?」

「決めたよ〜、これ!」


僕が選んだのはこの大きな剣、ちょっと重いけどすごく強そうだよ?


「おー、そいつはE・デンスラッシャーの原型になったいわば『零式』みたいなもんだ。

まあ、今はただの大剣としてしか使えないけどな…」

「なんで没にしたの〜?カッコいいじゃん!」

「俺も上出来だと思ったんだよ、でも実際使ってみたら武器単体で遺伝子情報を扱うには制御に難ありでねぇ…結果、機能もハズしたんだ。」


へー…そんな事情が…!?

機械って難しいなぁ…


「でもその失敗のおかげでベルトと連動させて制御するという方法を発見したんだ。ブレスとベルトの関係からの拡張だ。」

「どういうこと?」

「元々ベルトはブレスで注入するゲノムの制御装置なんだよ。随分派手な音楽が流れる制御装置だわ。

その制御システムを武器にもリンクさせたってわけ、その過程で小型化して今の片手剣型の完成品になったんだ。」


機械って…難しいけど面白いね?


「さてそれは置いておいて、それとそれでいいんだな?

じゃ調整して使い方のレクチャーだな。」


お父さんは僕たちが選んだ武器を研いだり機械に繋いでキーボードを操作したりしたあと、大まかな使い方を教えてくれた。


〜15分後〜


「よーし、いいぞ!2人が飲み込みが早くて助かるぜ。」

「ふふーっ」「ありがとう」


ひと通りのレクチャーをしてもらった後、お茶をもらって休憩している。


「さて…じゃ、一戦しようか。」

「「え??」」


お父さんは立ち上がってそれぞれの武器を手渡して、自分は変身するために要るものを持ってきた。


「待って、どういうことだ?」

「んー?ま、いわゆる『力比べ』だよ。

お前たちの実力を確認したいんでね…」


なんと…お父さんが実践相手かぁ…


「相手にとって不足なし…ってやつかな…!」

「ふふっ、いい目してんな?戦うやつの目だ。」

「ちょっと…二人とも、そんな張り切ってるけど身の安全はどうするんだ!?」


お父さんも奮い立って気合いを入れている。

その反面ツクヤは心配事からかなり焦って僕たちを止めた。


「そう焦るなって…大丈夫だ、ほら二人とも。」


そう言ってお父さんが手渡したのはポケットに入るくらいの大きさの機械だった。


「なんだ?」「なにこれ?」

「パーク運営から支給されてた支給品、『インスタントバリア』だ。」


いんす…?何だって?


「インスタント…即席のバリアってことか?」

「そういうことだな?

起動させればフレンズのちからくらべの時のバリアと似たバリアを展開できる、ただし一度しか使えないしバリアが壊れたら使い物にならないがな。」

「なるほど、使い捨てなのか。」


うーん?要するに一回だけフレンズさんと同じバリアを出せる機械ってことかぁ、科学の力ってすごいなぁ。


「ふむふむ、普通の人間にはラッキーのバリアは使えないからな。」

「そうなの?」

「そうなんだ。それにしても、そんな貴重なものを…いいのか?」


たしかに、ツクヤの言う通りそんな大事なものを僕たちにあげていいのかな?すごい技術でできた機械だし…


「元は有事の時に人間が活動しにくいところでも安全に動けるようにするためのだが俺にはコレデオキシがあるからな?」


なるほど!お父さんにはバリアよりすごいものがあったんだった!


「さて…お喋りはいい加減にして、そろそろ始めるか?

ルールは簡単、俺が2人のバリアを壊せば俺の勝ち。8分間…このタイマーが鳴るまでにバリアを壊されなかったらお前らの勝ちだ。」


8分?短いような気もするけど…

1人1人相手ならそれくらいなのかな?


「加減はいらん、まとめて相手してやるぜ?」


え〜!?

2人まとめて…って!?

フレンズとしての力が使えないとはいえそれはやりすぎじゃない?


「大丈夫なの?そんな…」

「気にすんな、その程度で怪我するような鍛え方はしてない。」

「そういう問題か…?」


2対1…か…

でも有利だと感じられないのはお父さんのオーラ的なものなのかな?


「さあ始めるぞ、位置につけ?」


お父さんは僕たちを位置につかせると、ラッキーを呼んだ。


「ヘイラッキー?俺が変身したらタイマー起動してくれ?」

「わかったヨ。」


ラッキーはぴこぴこと音を鳴らしてスタンバイし始めた。

そして…


「お前たちの力、試させてもらうぞ?変身!!」


腕につけた機械ゲノムブレスにカプセルをつけて自分に注入して、変身をした。


「…ヨウ、今度の練習相手は間違いなく過去最強クラスだ、油断するなよ…?」

「うん…!わかってる!」


僕らの目の前には最強の練習相手、僕の永遠のヒーローお父さんが立ちはだかっている。

僕ら2人も機械のスイッチを押してバリアを出した。


「行くぜ!!」


お父さんはサーバルキャットの力を持った基本の姿で来た。


「サーバルフォーム、デオキシの基本の姿ではあるが総合的なスペックで見れば最も強い姿でもある。油断するな?」


ツクヤは僕にそう忠告して、武器の軽さを活かして身軽にお父さんへ攻撃を仕掛けた。


「せいやっ!!」

「甘いぜ!」


ツクヤはお父さんの防御が及ばない距離まで詰めて攻撃を仕掛ける、それにお父さんは持ち前のジャンプ力で距離を離した。


「そらっ、今度はそっちだ!」

「なっ!?気をつけろ、ヨウ!」

「わっ!?わ!?」


お父さんはツクヤの身長よりも高く飛んでツクヤの真上を飛び越えると僕の方に向かってきた。

右手に剣、左手に銃を構えて攻撃体制だ。


「お前も向かって来い!勝負勝負ゥ!」

「お父っ…と…ケイスケぐいぐい来すぎだよ〜!?

でも…負けないよ!!」


僕も剣を両手で持ってブンブンと振る、僕が攻撃を仕掛けるとツクヤも後ろから走ってくる。


「おっと、これは挟み撃ちか?フンッ!」

「ええっ!?」


お父さんはツクヤを回し蹴りで牽制して、僕の剣を蹴りつつ後ろに宙返りして僕とツクヤの前に立った。


「さーて、お次はこれだ!!」バンバンバン


お父さんは左手の銃からビームを撃ってきた。

それはツクヤが持ってたサンドスターの塊みたいにキラキラしてた。


「ツクヤ!!」

「任せた!」


僕は大きな剣を使ってビームを防ぐ、ツクヤはそれを盾にして後ろから銃で撃ち返す。


「阿吽の呼吸…お互いの意図を汲み取った素晴らしいチームワークだ、いいコンビだなお前ら!」

「当然だ!」「そうだよ!」


ん?アウンって何だろう?

お父さんは難しい言葉を知ってるね〜


「ねえ!」

「なんだー?」

「アウンの呼吸ってなんかの技?」

「アウンの呼吸〜イチの型…っておい!息がピッタリって意味だよ!」

「2人とも漫才やってる場合か!!!真面目にやれっ」


撃ち合いしながらこんな会話してる人たちって僕たちしか居ないよきっと、ツクヤごめん!


「ま、楽しくやるのは大事だよな?っと!」


お父さんは喋りながらも弾が飛んで来にくいところを見極めていたみたいで、弾を剣で弾くとそこに向かってダッシュしてきた。


「なにっ!?」

「ツクヤ危ない!」


僕がそれを剣を使って食い止める、その隙にツクヤが後ろから攻撃をする。


「くっ、離れろ!」

「はっはっは、元気がいいな?」


お父さんは僕の剣をけって飛び上がり、ツクヤのバリアに向かってキックを浴びせた。


「なんの!」


ツクヤも負けじと反撃して体制を立て直す、その後僕とツクヤは一旦お父さんからはなれた。


「ツクヤ…ヤバいよお父さん…」

「ああ、フレンズの力が使えないとはいえ二人相手に全く譲る気配がない…」

「作戦会議かー?あと4分だ、俺的にはそんな暇はないぜ!」


お父さんはもう一度銃と剣を持って向かってきた。

するとツクヤが…


「ヨウ!交換だ!」

「えっ、うん!?」


ツクヤは僕の剣を、僕はツクヤの剣と銃をお互いに持ってお父さんを迎え撃つ。


「ぬああああ!!!」

「なにっ!交換したのか!」

「ごめんねっ!」


ツクヤは自分の力の最大限をもって剣を振り回す、僕は自分の人間としての足の速さを活かしてお父さんの後ろに翔ける。


「ぐぬっ!?ほほお、なかなかやるじゃねぇか!」

「戻ろう。」「よし!」


お互いに武器を投げ渡し元に戻すと、僕らは最後の追撃と言わないばかりにお父さんに向かっていった。


「だが、甘いぜ?」

『ジーンショック!』


お父さんが銃を構えて撃つ、するとツクヤは体制を崩して地面に転がった。

そのうちにお父さんはカプセルを取り出すと、銃にセットした。


『ホエール!』

「何かしてくる!?ツクヤを守らなきゃ!」


僕はツクヤの前に立ち、お父さんの動きに警戒した。


「いくぜーー!」

『ホエール!サーバル!キメラティック・バスター!』


銃から猛獣の牙のような形になった水の柱が発射された。

あれをまともにくらったら間違いなく脱落する…なら!


「うおおお!!こんな攻撃、斬ってやるぅ!!」


僕はいちかばちか、水の柱に剣の刃を入れた。

無茶でもいい、ツクヤを守るんだ!


「ぐぬぬぬぬ…いっ…けぇ!!!」

『バシャーン!!』


水の柱は真っ二つに斬れた、ちょっとだけフレンズの力を使ってしまったかもしれない…?

いや、でもフェネックという動物はそんなに力が強いわけではなかったような…?


「マジかよ!すげぇな?」

「…昔を思い出す、力持ちだな?」

「…そうなの…?」


今の全部僕の人間の力だけだったのかな…え、それ凄くない?

なんて戸惑っていると、お父さんがまた何かしようとしているのがみえた。


「いいね、お前たち!…あと2分か、じゃあ面白いものを見せてやる!」


お父さんは銃からカプセルを取り出すと、銃をホルダーに収めてからブレスレットにカプセルを付け替えた。


「ホエールカプセル、セット!」


『ホエール!

D!N!A!(ダダダン‼︎)

D!N!A!(ダダダン!!)』


ベルトからはサーバルの時の応援するような音とは違う、まるで軍隊がやってくるかのような音楽が流れていた。


「まるで軍歌だな…」

「トランスフォーム!!」


そして、「トランスフォーム」の掛け声と共にベルトのスイッチを押した。

するとバシャーン!と水飛沫のような大きな音が聞こえ、『デオキシ』の姿を変えた。



『ホエール!ホエーール!!

Dominate the sea大海を制す!!

ザ・パーン!!!』

「仮面フレンズデオキシ…ホエールフォーム!

ビッグウェーブに乗ってみな!」


その姿はまるで軍艦の司令官、そして大きなクジラのようにも見えた。


「シロナガスクジラの力か…!」

「ふっ、覚悟しな?」

『E・デンスラッシャー!』


お父さんは持っていた剣をブレスにかざした、すると剣の姿がみるみる変わっていった。


『ゲットザワイルド!メタモルフォオオォゼッ!』


剣からテンションの高い声が出ると、剣はクジラのひれの形をした矛のような武器になった。


「オーシャンバッシャー!!」


「ツクヤ!」

「あと一分か…逃げるという手もあるだろう、だがそんなものは認めてくれないだろうし俺だってそんな勝ち方は嫌だ…。」

「…そうだね…!」

「「うおおおおお!!!」」


僕たちはそびえたつ海の王者ホエールフォームに真正面から向かっていった。

もちろん、最後まで立ち向かい勝つために…!

だけど…


「逃げなかったのはよし!だがここまでだぜ!

オラァァァァッ!!!」


お父さんがオーシャンバッシャーを一振りすると、さっきの水の柱なんて比べ物にならないくらいの水が押し寄せてきた。

そのまま僕たちは薙ぎ払われて…


『バリーン!』『パリンッ!』

「「うっ…」」


二人同時にバリアが壊れて、二人一緒にその場に倒れてしまった。


「残り15秒…か、二人ともよく戦った!」

「…僕たち、負けちゃった〜…」

「この訓練は勝ち負けじゃないんだ、あくまでお前らの戦いのセンスと覚悟を試すものだからな!」


お父さんは変身を解いてニカッと笑うと僕たちの手を引っ張って起こす手伝いをしてくた。


「それで、俺たちの戦いはどう映ったんだ?」

「ああ…最高にイカしてたぜ!合格だ!」


その言葉を聞いて、僕とツクヤはグータッチで喜んだ。

二人の力が認められたよ、やったね!

お父さんは僕たちのどろんこの服の代わりになる着替えを持ってくるとある提案をした。


「さてと、昼飯を食ったら俺の仕事の見学でもしないか?もし興味があればだが。」

「えっ!見たい!」「じゃあ俺も一緒に行こう。」


僕は少しカラフルな青と赤のジャケットを借りて、ツクヤは作家さんみたいな黒いジャケットを借りた。


「さっき着てたのは元々着てた服と一緒に洗濯しておくからな?

それはさておき、景気良くでっかいおにぎりでも食おうぜ。」


そう言ってお父さんが渡したのはバクダンみたいにおおきなおにぎりだった。

僕たちは地味にびっくりしてちょっと黙ったが、一口食べるとその味は本当に美味しかった。


「それ食うまで準備はかかりそうだし、ゆっくり食いな?俺はもう食った。」

「「はーーい。」」


おおきなおにぎりを2人でもぐもぐと食べて、お父さんはそのうちに仕事の準備をしていた。

あれ、お父さん食べるの早くない?


〜次回に続く〜

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