僕の宝物



「ふあ〜…朝かぁ」


目が覚めて、ふかふかのベッドから起きあがった。


「身だしなみは気をつけないとね、ツクヤったら厳しいんだから〜。」


寝癖をちょいちょいっと直して寝巻きからいつもの服に着替えた。

そして机に置かれたお守り…

伝説のフレンズ(本人談)、ラーが宿った首飾りお守りを首にかけた。


「おはよう、気分はどうだ?」


後ろからラーの声が聞こえて、僕は振り向かずに返事をした。


「おはよ〜、今日も元気だよー

…ん?」


え?後ろから?

…いつもは頭の中に直接聞こえてる感じなのに…?


おそるおそる振り向くと…


「うわぁ!?」

「…驚いたか?」


後ろにはラーが、お守りの中で話した時の姿で立っていた。

ちょっと違うところを挙げれば、脚から下が透けて見えなくなっていることだった。


「私は魂だけの姿からこの姿になれるようになったみたいだ、これでお前も私が話しかけていることに気が付きやすいだろう。」


うーん、なんというか…


「なんか幽霊みたいだね〜…あれ、前から話しかけてたの?」

「幽霊って言うな!!…たまに気まぐれに話しかけてみたりするのだが、なかなか上手くコンタクト出来てなかったな。

ピンチの時ぐらいしかまともに話せなかった。」


そっか…なんか、ごめんね…。


「そんな申し訳なさそうな顔をするな、ほらみんなの所に行くぞ。」


そして僕はラーと一緒にみんながいる広い部屋へ向かっていった。




「おはよ〜、みんな!」

「ああ、おはy…なっ!?」


ツクヤは僕を見るなりビックリしたような顔をした。

一体どうしたんだろう?


「なになに?僕の顔に何かついてる?」

「顔…というか、あの…後ろに…」


ツクヤはちょっと震え気味に後ろを指さした。

その先にいたのはラーだった。


「お…お前、私が見えるのか?」

「あ…足が透けてる…幽霊!?」

「幽霊じゃない、神のフレンズだ!」


ツクヤとラーが会話してる…僕以外の人にも見えるようになったって事?


「もしかして他のみんなにも見えるのかな?」

「よ…ヨウ、アイツお前の知り合いなのか…?」

「ラーって言うんだ。僕の友達だよ!」

「ラーってあの…エジプト神話の太陽の神じゃないか…!?」


ラーって太陽の神様だったんだ…!?相性抜群かな?

僕の後ろで話を聞いていたラーは誇らしげにしていた。


「とりあえず、食事にしよう。

ラーも食べるか?」

「いや、私は無理だ…ほら。」


そう言って、ラーは僕の肩に手を出した。

そうすると手は僕の肩を突き抜けた。


「やっぱりツクヤの言う通り幽r…」

「怒るぞ。」

「ごめん!」


てへ、怒られちゃった。

幽霊と言われるのは嫌みたいだ。




〜30分後〜


ご飯を食べた後、みんなラーの周りに集まって興味津々でラーを眺めていた。


「おばけみたいですね…」

「伝説のフレンズって?」

「興味が尽きないな…!」


「これは…事実は小説より奇なり、だね…」

「そうですね…

(ねえねえ、ジーンズは正月よりいきなりって何?)」

「(事実は小説より奇なりですよアミメキリンさん)不思議な方ですね…。」


「興味を持ってもらうのは嬉しいが…なんか、なんか照れくさいな…。」


ラーはちょっと照れていたけど、みんなと友達になれて嬉しいみたい。

僕も嬉しいよ!


「さて、そろそろ私たちは部屋に戻るよ。」

「おおっ、もしや最新話を描くのですか!?」


タイリク先生とアミメさんは部屋に戻るみたいだ、僕もそろそろロッジのお手伝いに…


「あ、ヨウさん…今日は一日、お手伝いはお休みでいいですよ!」

「えっ?いいの?

最近七日に二、三回くらいしかやってない気がするけど…」

「やっぱり、ヨウさんもお客さんなので〜…毎日お手伝いしてもらうのは申し訳ないのです…。」

「そっかぁ…じゃあ今日はカードの整理でもしようかな〜。」


ということで今日はカードの整理でもして過ごそうかな?と思った。



〜〜


「さてさて…うーん、この辺欠けちゃったの気になるよね…」


ドットが盗っていったところが不自然に抜けて、なんだかちょっと変な感じがする…。


「うーん…。」


一人でカードファイルを睨んでると、ラーが話しかけてきた。


「そういえば…このカードたち、一体いくつ持ってるんだ?」

「うーん、数えたことないなぁ…。」

「そうかぁ…」


ラーは僕がカードファイルのページをめくるたびにふむふむ言いながらカードを眺めていた。


「興味あるの?」

「ああ、何故かはわからないがなんだか見ていて面白い。」


そしてラーは僕のカードを眺めていた。


〜15分後〜


「さて、整理おしまい。」

「おや…もう終わったのか、じゃあ私は少し寝るとするか…。」

「えーっいきなりですねぇ」


僕がカードの整理を終わると、ラーは僕の首に下げているお守りの中に戻っていった。

偉い神様系のキャラ性格を想像してたけど、かなりマイペースなフレンズさんだなぁ…。



ラーが寝た後、部屋のドアがノックされた。


『コンコンコン…』

「ヨウ、居るか?」

「はーい?どうしたの?」ガチャ


ドアをノックしたのはツクヤだった。

後ろにはスナネコもついてきていた。


「これ、クエネオから届いたんだ。

セルリアンハンターから、だって…。」


クエネオさん…絶滅した爬虫類のフレンズさんだね、前にロッジで会った…。


「わっ、これ…」


ツクヤから手渡されたのは、無くなったカードの一部だった。

どれも前に戦ったセルリアンのモデルになったモンスターのカードだった。


「これは…!?」

「セルリアンの隠れ家になっていた洞窟から見つかったものらしい…」


なるほど…


「もしかしたらもう要らなくなったからなのかな?

一度使ったものばっかりだし…」

「その可能性もあるかもな…

話では、かなり綺麗に置かれていたらしい…大切に扱おうという気持ちもコピーしているのかもしれないな?」

「かも?」


僕とツクヤが戻ってきたカードを見ながら話していると、スナネコが後ろからツクヤの肩を揺すって不満そうにしていた。


「ふーたーりーとーもー、ボクをほったらかしにしていつまで話してるんですかぁ??」

「ああ、ごめんね〜…」

「じゃ、隣失礼しますよ。」


スナネコは僕の方に来ると、カードを興味深々で覗き込んでた。


「それにしても…前から気になってたんですけど、それって戦いに使うものなんですかぁ?」

「戦いだけじゃなくてゲームにも使えるよ!…というかそれがホントの使い方なんだけど

これを何枚か集めて二人で対戦をして遊ぶこともできるんだ!」

「たいせん?」


スナネコは首をかしげていた。

まあ、初めて聞く言葉だよね〜…


「うーん…簡単に言えば、カード同士のちからくらべ…みたいな?」

「なるほど…?

ボクもやってみたいです、遊び方教えてください。」

「いいよ!」


スナネコと話していると、ツクヤが僕の肩をぽんぽんして話しかけた。


「俺はやることがあるから一旦席を外す、たくさん教えてあげてくれ。」

「はーいっ」


そして僕は、スナネコにゲームを教えてあげることにした。

文字の読み方も一緒に覚えれていいんじゃない!?




〜〜ツクヤ視点〜〜


ヨウがスナネコにゲームを教えると言って2時間は経ったか…ちょっと様子を見に行こう。


「ヨウ、調子はどうだー?」

「あっ!ツクヤ、聞いてよー!」


ヨウは俺の顔を見るとすごくわくわくした顔で駆け寄ってきた、どうしたんだ?


「スナネコさ、僕がちょっと文字の読み方やルール、それとカード能力の扱い方を覚えたらすぐに覚えたんだ!」


そう言われてスナネコのプレイマットを見てみると、初心者の括りで言ってもかなり筋のある盤面だった。


「へぇ、強いな…スナネコ?」

「ボク上手いみたいですねぇ、うれしいです〜」

「手札ゼロ枚で能力が使えるカードがなかなか通じないんだよね〜、僕これが1番お気に入りなんだけど。」


手札ゼロ枚か、おじさんの得意な戦法だな…。

昔、俺もよくヨウとおじさんとでやったもので…。


それはそうと、スナネコはゲームをとても気に入っているようだ。


「ふふ、これ面白いですね〜。」

「気に入ってくれた?嬉しいなぁ!」

「よかったなヨウ、このゲーム難しいところがあるから心配だったんだ。」


そしてスナネコはヨウの使っていたカードを眺めて言った


「ボク、ヨウと同じでこのカードたちがお気に入りかもしれないです〜。」


手札ゼロ戦法カード…なかなかマニアックなとこ気に入ったな?


「そう?よかった〜!

欲しいならあげるよ!」

「良いんですか?」

「もちろん!」


なんと、ヨウは自分が1番気に入っているカードたちをスナネコにプレゼントした…。

ヨウはこう言うやさしい奴なんだ。


「ありがとうです、ヨウ♪」


スナネコは、図書館でもらった小さなバッグに大切にしまった。

今度小さな箱を作ってあげないとな。


その後スナネコは、ヨウのカードファイルを見ていた。


「そういえば、ヨウはこのいっぱいあるカードをどこで手に入れたんですかぁ?」

「うーん…その辺まだ思い出してないんだよね。」


ヨウは自分のカードとどこで出会ったかまでは思い出してなかったようだ、なので…


「よかったら説明しようか?」

「「よろしく!!」」


なんと息ぴったり…それじゃあ…。


「このカードの殆どは、ヨウの父さんおじさんのものだったんだ。」

「へぇ!そうなんだ…」


「そのほか、おじさんが譲ってくれたもの以外は俺とヨウとおじさんでパークの外まで行って手に入れたものもある…うーん、懐かしい…。」

「パークの外!なんかワクワクするね〜?」

「スゴイですね〜三人とも」


そうだ、少し幼い頃のことを思い出した。


「小さい頃はよく、『大切にされたカードには意思が宿るから、大切にするんだぞ?』なんて言ってたっけな…

そのおかげだろうな、カードにシワが全然ない。」

「へー、僕のお父さんって面白いね!」


そう、その通り。


「おじさんは面白くてすごい人だった…おじさんのやる事に何にでも興味を持ってた俺たちに色んなことを教えてくれたんだ…。」


思い返すと懐かしい、小さい頃から何でも興味が湧いてそのたびに教えてもらったんだ。


「本当に色々教えてもらったなぁ…

釣り、木工、機械の扱い…それと…」

「「それと?」」


これは2人とも驚くだろうな…


「料理、だな。」

「えーっ!?」「びっくりですね…。」

「料理が1番、長いこと教えてもらっていた…それにおじさんの周辺の料理のできるフレンズは大体おじさん直伝だったな。」


本当にすごい。

おじさんは父さんと同じくらい尊敬している人だ…。




〜〜ヨウ視点〜〜


僕は今、ものすごくびっくりしている…だって…

僕のお父さんがツクヤの料理の師匠だったなんて!


「お父さんすごすぎ!!」


そんなすごいお父さんがいて、僕はなんだか誇らしかった…!

そして…このカードたちはお父さんから貰ったもの、だったら尚更大切にしなくちゃね!


「ツクヤ…僕、このカードたちのこともっと大切にするよ!」

「そうしよう、きっとおじさんも喜ぶ…!」

「親子…なんだか良いですね、興味出てきました。」


そっかスナネコ、だったら色々思い出した後いっぱい教えてあげなくちゃなぁ…!

話を聞いて記憶のピース集めがまた一段と楽しみになったよ、頑張らなくっちゃね!


〜次回へ続く〜



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