新しい思い出①
昨日はツクヤのこと、もっと知れて嬉しかった。
まさか昔から一緒に居たなんてね、なんとなく初めて会った気はしなかったけど…
しばらく横になっていると、誰かが小声で起こしに来た。
「
まあ、このパークの中で男の声がする人なんてツクヤと僕しか居ないんですけどね。
「んー、おはようツクヤ…」
「あのなぁ…?」
ツクヤはものすごく呆れた感じでこっちを見ていた。
僕なんかやっちゃいました?
「覚えてないのかぁ…?ヨウ、めちゃくちゃ寝相悪かったぞ…」
「マジで!?」
「マジだ、お前の足が俺の…ん、なんだ…
急所に当たった。」
あちゃー、そりゃめっちゃ痛いやつだ。
これはツクヤに謝らなきゃいけない。
「ごめんっ、本当ごめん…」
「ん、いいんだ…」
いいんだったら別に報告しなくていいような…
うーん、まあいっか!
気づくとツクヤは、部屋から出て行くところだった。
「ヨウも来い、今日も腕によりをかけて作ったからな。」
「オーケー、すぐ行くね。」
とりあえず服装を整えて、僕も部屋から出て行った。
楽しみだなぁ、ツクヤの作るご飯は毎日美味しいからね。
みんなが集まってる部屋…「だんわしつ」って言うのかな?
今僕たちは、そこにみんなで集まっている。
「「なーにかな♫なーにかな♫」」
僕とナミちーはノリが同じ感じで、よくこんな風にツクヤの料理を待っている。
「「今日のご飯は…これ!」」
と二人で出てきた料理に指をさすまでが流れ。
結構楽しいけど、これをやってると時々スナネコが耳を引っ張ってくる。
何がいけないって言うんだー!?
やっぱり食べ物に指をさすのってダメなの?
「今日も楽しそうだな、ヨウ…今日の朝食はジャパリパンとスクランブルエッグ、そしてベーコンだ。
ちなみに人工肉だから難しいことは気にするな。」
「おおっ、おいしそう!」
ジャパリパンは割と何にでも合うからねー、食パン感覚で色々塗っても美味しいんだよ!
「「いただきまーす!」」
みんなが思い思いに食べ物を手に取っている時、僕はちょっと気になることを思いついた。
「そういえば…この食べ物ってどこから来るのかな?」
「言われてみれば…いつもラッキーに頼めば持ってきてくれているからな…」
「あーそれ私も気になる!」「何かヒトの手掛かりに関係するかもしれんな…」
みんなこの話には興味があるみたい、一人を除いて。
「でもまあ…どこから来ようと、ボクは別に〜…」
「ありゃりゃ…」
全くマイペースなんだから、スナネコらしいや!
「食材の出所…ラッキーに聞けばわかるんじゃないか?」
「だね!…Hey!ラッキー!いる?」
僕がラッキーを呼ぶとどこからともなくピョコピョコと足音が聞こえて、ラッキーが歩いてきた。
「どうしたんだイ、ヨウ。」
「ツクヤが使ってる食材ってどこから来てるの?」
「遊園地の近くニ食糧庫があるヨ。食材はそこから来ているんダ。」
ほほー、なるほど…
んんっ?
「遊園地!?」✨
「ヨウ…?そこにがっつくのか…」
いやいやがっつくでしょ!
ジャパリパークって遊園地もあったんだ!
「行きたい!行きたーい!」
「…わかった!食事が終わったら連れて行こう!
ついでに食料庫も見に行くか…」
「やった!」
遊園地…どんなものがあるんだろ?
ワクワクするねぇ〜…
「よーし、これ早く食べちゃおう!」
「ヨウ!?喉詰まらせるなよ…!?」
〜食事終了〜
「えー、それじゃあ…いつものメンバー集合!」
「はーい」「はい。」「ああ。」「おう」
よし、全員いるね。
僕たちはいつもの5人で集まって、スタッフカーに乗り込んだ。
「みなさん、いってらっしゃい!」
「楽しんで…♫ところであそこにはこんな話が…」
「はいはい先生、それはまた今度にしましょう!?」
ロッジの3人に見送られて、車は遊園地へと向かって走っていった。
いやーホントに楽しみ…
〜移動中〜
車で移動中、ツクヤが遊園地について話をしていた。
「遊園地…博士たちによると、かばんさんはそこの付近にある港から旅に出たそうだ。」
「ほうほう、またかばんさん関連来たね?」
かばんさんが何者かはわからないけど、とにかく色々活躍した人なのかな?
「かばんさんって、一人で旅に行ったの?」
「いや、仲のいい3人のフレンズが同行して行ったそうだ。」
「おおー、どんなフレンズか知ってる?」
ツクヤはしばらく考え込むと、思い出したらしく話した。
「確か…サーバルキャットと…」
「サーバルキャット…聞いたことあるなぁ…」
「アライグマ…そしてフェネックだと聞いた。」
「アライ…グマ…?フェネック…?
ん?フェネックって…」
フェネック…僕がスナネコと出会った日に聞いた名前だ。
そういや結局会えなかったけど、そりゃ会えないよね…島の外にいるんだもん。
「知ってるのか?」
「いや、スナネコが話してたなーって。」
それにしても何か感じる…
スナネコが話してた時には感じなかった何かを…でもまあ、気にするほどでもないよね。
「うーん、気のせいだな!」
「何がだ?」
「いやーこっちの話、なんでもない!」
なんてことを話していると、ラッキーがピコピコと鳴いて(鳴って?)食料庫の前に止まった。
「ここが食料庫ダヨ。」
「へえー、地下室にある感じなのかな?」
「そうみたいだな…こんなところに…」
食料庫は木や草で隠してあって、誰かに荒らされないようにしっかりと守られていた。
「それにしても…いつからあったのか分からないけど、よく腐らないよね。」
「サンドスターには物の劣化を急激に遅らせる力があると言われている、だからパークの食べ物は腐らないんだ。」
「へえー!便利だね!」
それなら牛乳をうっかり置きっぱにしてダメにしちゃう事もないんだね!
いや、腐らなくても気分的に飲みたくないかそんなもの…
「さて遊園地行くか。」「まんぞく…」
「お前たちもう飽きたのか…」
だってメインは遊園地ですしぃ…
食べ物が置いてあるところを見ても面白くはないかな…?
「さーて、ツチノコも早く…ってあれ?」
僕がツチノコを呼ぼうと探したけど返事がなかった。
「ツチノコどこ行ったの?」
「なんか、『りふと』が食べ物を運んでいるのをずっと眺めてましたよ〜…」
「いつのまに中入ってたの君たち!?」
僕も中に入ってツチノコに話をしに行った。
中はそんなにごちゃごちゃしてなかったからすぐにツチノコを見つけられた。
「おーい、ツチノコ!」
「うおおおまだヒトはこんな施設を隠し持って…ってヴァハァ!?」
ツチノコは独特な叫び声をあげて返事をした。
ヒトの作ったものを見るのが好きなのかな。
「えーお取り込み中失礼、そろそろ遊園地に向かおうと思うんだけど…」
「あー、オレはここに残る。」
「えっ!?」
これは予想外…
絶対遊園地の方が楽しいのに。
「もう少しここを見ていたいからな…それに遊園地は割と見慣れてきたし…」
「ツチノコって遊園地来たことあったの!?
すごいね〜!」
「まあ…そういうこった…だからオマエ達で楽しんでこいっ!」
ツチノコは僕を外へでるように促すと、食料庫の見学を続けた。
ツチノコがそう言うなら…そうするか…?
「わかった、行ってくるね。」
「楽しんでこいよ。」
「もちろん、帰りに迎えにくるからね。」
「そうして貰わねーと困る…」
ツチノコに見送られて、食料庫を出て行った。
ツクヤには事情を説明しておこう。
「かくかくへらじか…」
「なるほど…わかった。」
「用意はいいカナ?出発するヨ。」
そして僕たちは、遊園地目指して出発した。
〜移動〜
遠くに観覧車っぽいものが見えてきた。
結構大きいなぁ…
「超ワクワクしてきたー!」
「そうだな…!」
観覧車が見えてくると、あっという間に遊園地に到着した。
「到着ー、足元に気をつけてネ。」
「ありがとうラッキー!」
僕たちは、車から降りて遊園地へと入っていった。
「ほおー…結構古くなった感じがするなぁ…」
「サンドスターの効果である程度劣化からは守られてると思うが…」
ツクヤは、ちょっと不安そうに遊園地の乗り物を見回していた。
「心配なの?」
「まあ…少しな。」
そう言ってちょっと考え込んだ様子で唸ると、なにかを思いついた仕草をして言った。
「そうだ、ここからは2組に分かれて見て回らないか?
ヨウとスナネコ、俺とナミちーでさ。」
「いいね!二人とも、どう?」
「賛成〜…♫」「いいですね〜」
と言う事で、僕はスナネコと一緒に遊園地を回ることに!
…なんかちょっと照れくさいけど。
「見てスナネコ、あれってジェットコースターのレールじゃない?」
「ほんとですね〜、登ってみますかぁ?」
「あっ…危なくない?」
スナネコはネコ特有の身軽さでひょいひょいっと登っていった。
落ちそうで怖いけど
「まんぞくぅ…」スルスル ストン
「もう飽きてる!?」
10分くらいはあたりを見回りたりしていたけども、すぐにやめて柱を使って降りてきた。
はやっ…
「相変わらず早いね〜…」
「まあ、一緒に登らないんじゃつまらないですし…」
ん、僕が登らなかったから寂しがってるの…?
そりゃすまない…
「それじゃああっち行こう、あれなら一緒にできるんじゃない?」
僕がそう言って指さしたのは、足こぎ型の乗り物だった。
「おおー、フェネックたちが乗ってた『ばすてき』なものですね。」
「そうなの?」
「よし、乗ろう!」
「はぁい。」
二人で乗り物に乗り、タイミングを合わせて足でペダルをこいだ。
「わっせ わっせ わっせ」
「ん?なんだって?」
「フェネックたちはこう言ってこいでました。」
「そうなの?じゃあ僕も!」
僕とスナネコは、わっせわっせと言いながらペダルをこいで遊園地をまわった。
「「わっせ わっせ わっせ わっせ!!」」
結構楽しいねぇこれ…
ちょっと足が疲れるけど。
——————— 一方ツクヤ達は——————
俺はヨウと分かれてナミちーと一緒に遊園地をまわっている。
そして今俺たちは土産物売り場にいるところだ。
「わー、かわいい!フレンズのぬいぐるみだ!」
「サーバル、アライグマ、フェネックのものがあるな。
実物を見たことはないがよくできている。」
奥にはマグカップやキッチン用品もあって、なかなか種類は豊富だと思った。
「キキ…♪見てて楽しいね…
あっ見てツクヤ、アクセサリーが売ってる!」
会計カウンターの近くには、首にかけるアクセサリーがいくつか売っていた。
『サバンナのバオハブ』『ジャングルの小船』など、その地方を連想させるものをモチーフにしたアクセサリーだった。
「ん…これは…?」
その中に、とても見覚えのあるデザインのアクセサリーも混ざっていた。
「『砂漠の太陽』…!?」
そうタグに書かれたアクセサリーは、ヨウがいつも首に下げているアレと同じものだった。
「あっ、これヨウが持ってるよね!」
「だな…」
そういえば、どこで手に入れたか聞いていなかったが…
砂漠地方の土産物売り場から持ってきたのか?
「だけど…ヨウが持っていたものは何か違ったような気がするんだ。」
「と言うと?」
「ヨウは時々、あの首飾りに話しかけているように見える時があるんだ…」
ヨウのものには、ここのものには無い何か不思議なものが宿っているのではないか…?
「うーむ…だけどそんな漫画のような話があるのか…?」
まあその辺は後でゆっくり考えておくか。
「それよりツクヤ、早く次に行こうよ!」
「ん、そうだな…」
さてと…次はどこに行こうか…なんてことを思いながら、俺たちは外に出た。
「ナミちー、次はどこに…ん?あれは…」
店の外に出ると、ヨウとスナネコがペダル式の乗り物に乗っていた。
「「わっせ わっせ わっせ わっせ!!」」
…あいつら、何やってるんだ…?
〜次回に続く〜
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