憩いの宿屋
昨日は大変だったー、セルリアンのドットに出くわしたり雪山を転げ落ちてみんなとはぐれたり…
いやはやよく生きてるよね、僕。
「ん?起きてたのか、ヨウ。」
「おはよーツクヤ、昨日はありがとう…」
ツクヤたちにも迷惑かけたよね…
みんなで探しに来てくれたんだもん。
「なに、お礼ならマンモスに言ってくれ…お前が無事でよかった…」
「ごめんね、心配かけたね…」
「構わないさ、無事に帰って来てくれたんだからな。」
ツクヤは優しい声でそう言って、僕のねぐせをちょいっと直した。
あら優しい。
「さて、そろそろ出発するか?」
「そうだねー!」
僕は出発の準備をしてツクヤについていった。
〜外〜
「おまたせ〜♪」
「おっ、来たわね?」
外ではギンギツネさんがスタッフカーにくっついた氷…霜って言ったかな、それを溶かしてくれていた。
「わあ、ありがとう!」
「前が見えなくちゃ進めないわよね!」フキフキ
ギンギツネさんは、かけた後のお湯を拭いて笑顔で答えた。
「これでよしっ、もう乗って良いわよ!」
「よいしょっ!おー、見やすい!」
しかも、車の中にはフカフカの毛布も用意してあった…
なんという優しさ…
「ふかふか〜♪」
毛布をもふもふして遊んでいると、ツクヤたちが温泉宿から出てきた。
「おお、早いなヨウ。」
「それにしても寒いですね〜外…」
「ん?何抱いたんだヨウ?」
ツチノコに聞かれて、毛布をばさっと広げて見せてみた。
「おー!ふかふかしてそう!」
「ボクにもくださーい♪」
「はいはい、みんなであったまろうね〜♪」
そしてみんなで車に乗り込んで、ギンギツネさんたちに挨拶をした。
「それじゃあ…三人とも、ありがとう!」
「気をつけて行くのよ?」
「また…げぇむしよ…?」
「また会いましょう!」
それじゃあ…レッツ出発!!
〜雪山移動中〜
「おほ〜、毛布と防寒着のお陰であったかい!」
「ああ、これで暖かくしながら山を降りられる…」
毛布をもふもふしていると、ツクヤが振り向いて僕に話しかけた。
「そうだ、ヨウ…雪山を降りたらロッジまでもうすぐだぞ!」
「ホント!?いやー、よかった!」
一時はどうなるかと思ったけど、無事に行けてるみたいでよかったよー!
ホントにドットとか何とかで疲れが…んっ?
「あー、ドットに出会って疲れがどっと来たよ!」
我ながらなかなかのものじゃないかなぁ?
結構面白くない?
「急に何言い出すんですかぁ?」
「えっ?何だって?」
「また寒さでおかしくなった…!?」
フレンズ三人衆、厳しい!
なんか悲しくなってきた。
「ドット…どっと…?」プルプル
なんかツクヤ、震えてるし…
もしかして怒ってる…!?
「ごめん…!怒らせるつもりは…」
「いや…違う…そういうことじゃ…」プルプル
…ウケてる?
なんか知らないけどよかった〜
なんて話していたら、雪山地方の出口…らしいものが見えてきた。
「えー、げふんっ…もうすぐ雪山に出るから、みんな防寒着とか脱げるやつにしておいてくれ。」
「「はーい」」
これを抜けたらもうすぐロッジ、楽しみだなぁ!
〜下山後〜
たくさん木が並んだ道に車を走らせていると、ツクヤが前を指差して話した。
「ほら、アレ見えるか?アレがロッジだ。」
指差した先には、とても大きな木の建物が建っていた。
これがロッジ…!!
「私たち、ここで会ったんだよね!」
「そうだな…懐かしいな。」
「大しテ日にち経ってないんだけどネ…」
ラッキーによるするどすぎるツッコミが炸裂したところで、僕たちは車を降りた。
「よっと…足下気をつけろよスナネコ…」
「しょおっ…ありがとうです、ツチノコ…」
砂漠の仲良しコンビも、僕たちに続いて降りてきた。
そしてツクヤがロッジのドアを開く…
「おーい、居るかー?」
ツクヤが呼びかけると、奥からフレンズが出てきて答えた。
「はーい?あっ、ツクヤさんにナミちーさん!しばらくぶりですね!」
「今度は五人だけど…大丈夫そうか?」
「はい!もちろん大丈夫ですよっ!」
そのフレンズは、ニコニコとした笑顔ではっきりと答えた。
こういう明るい雰囲気の受付の人っていいよね?
「あっ、申し遅れました…私はアリツカゲラといいます!」
「僕はヨウ、よろしくアリツさん!」
ところで『アリツ』の言い方って『アリス』と同じなのか、それとも『果実』と同じなのか…
いやめっちゃどうでもいい。
「スナネコさんにツチノコさんもお久しぶりですね!」
「ああ、久しぶりだ。」
スナネコとツチノコはアリツさんの事知ってたんだね?
もしかしてあの『かばん』関係?
まあそのうちわかるか…
「あっ、皆さんお部屋案内しますね?」
というわけでアリツさんに連れられてお部屋へGO
「では、ここからあそこまでの五部屋になります!」
「ほおー、すごいなぁ…!」
部屋は普通に人が寝る感じになってるものや、スナネコの家みたいに洞窟になっている部屋…
極め付けは部屋の中に木が生えてる部屋もあった…ちなみにここナミちー用ね。
「うわめっちゃふっかふかやん見てツクヤこれふっかふか…」
「驚きすぎじゃないかヨウ…?」
あー、このまま寝れそう…
おやすみなさ…あっ!
「いっけない、ここに来た理由忘れるところだった!!」ガバァ
「うおっいきなり飛び起きるな!?」
そうです、僕がここに来た理由…
それは『ギロギロ』の作者であるオオカミさん…いや、オオカミ先生に会うことだったのだァーっ!!
「よしっ、探しに行こう!」
「おい待てっ!?廊下走るなよ!?」
「大丈夫大丈夫、これくらいのリズムで行くから!」ズンチャズンチャ
「なんだその踊り!?」
と僕とツクヤで日月漫才をやりながら歩いていると、向こうから来たフレンズとゴツーンとぶつかった。
「いてて…気をつけなさいよ…!?」
「ごめんなさーい…」
そのフレンズは黄色と黒の見た目をしていた。
これは僕でもわかる、キリンのフレンズだね?
「えーっと…あなた…それにツクヤ、何してるの?」
「久しぶりだなアミメ、俺たち今姉さんを探しててな…」
「あら、あの人ならあっちにいるわよ?」
ツクヤに聞かれたアミメさんは、奥の方を指差して教えてくれた。
「ありがとうアミメさん!あっ、そうだ…僕はy…」
「待って!私が推理してあげる!」
す…推理!?
いやー、推理も何も僕はただの(?)ハーフフレンズなんだけど…
「そのピョコピョコとした振る舞い…あなた…サバクトビバッタね!?」
「バッタ!?」
フレンズ的に鳥でも獣でもなく…
砂漠…何だって?
「ツクヤ、砂漠なんとかバッタってなに?」
「サバクトビバッタだ。いわゆる
うーん、その群生バッタもピンとこないけど…だいたいわかった。
「いやいやいや、全然違うって!」
「うぐっ!?…この名探偵であるアミメキリンが間違えるはずないわ!」
「いやー、少なくともバッタではないと思うよ…!?バイク乗ってるヒーローじゃないんだし…」
でも僕自分がなんのフレンズとのハーフか知らないからマジでバッタだったらどうしよ…
空中一回転からの飛び蹴りとかする?
「その必死さがますます怪しいわ!吐きなさいっ!」
「おえーって?」
「その吐くじゃないだろ!?」
あっ、違うのね。
じゃあどういう意味?
「本当のことを話せって意味の吐くだと思うぞ…そんなことよりアミメ、彼はヨウだ。」
「ヨウ?そんな動物見たことないわね…」
「ヒトだ。」「ヒト!?」
あ、びっくりされた。
このパークの中ではヒトってかなりレアものなんだね?
「ヒトねー?…それにしてはフレンズっぽい顔ね?」
「まあヨウはハーフだからな…俺と同じだ。」
たしかに髪の色もツクヤと比べるとかなり派手だよねぇ…
「ところで、どうして先生を探しているの?」
「先生?アミメさんも先生って呼ぶんだ!?」
「えっ…ということはあなたも先生のファン?」
「うんっ。」
まあそんな感じ…
というかアミメさんもファンなんだね?
「それなら…あなたをこれからオオカミ先生ファンクラブ会員の二号にしてあげるわ!」
「なんだそれ!?アミメ、そんなものいつから…」
「はい喜んで!先輩!!」
「お前も乗るのかよ!?」
そんな会話をしながら廊下を歩いて行くと、椅子や机が並べてある部屋に出た。
その椅子には、ツクヤにちょっと似たフレンズが座っていた。
そしてスナネコとナミちーも一緒だった…いつのまに…!?
「おや、帰っていたんだねツクヤ。」
「ただいま、姉さん。」
姉さんってことは…この人がオオカミ先生…!!
ついに会えたのか…!
「その子…新しいヒト?」
「ああ、ヨウって言うんだ。明るくて結構楽しい奴だと思うぞ。」
「初めまして!図書館でオオカミ先生の漫画を見て、会ってみたいなって…」
「ふふ、嬉しいよ。ありがとう…♪」
オオカミ先生はしばらく僕の顔を見ると、何かを思いついたような顔をして話し始めた。
「じゃあ…ヨウとスナネコはこんな話は知っているかい?」
「うん?」「なんですかぁ?」
おっ?何が始まるの?
僕もスナネコも、先生の話に興味津々だった。
「このロッジ…昔は死んだフレンズを蘇らせる実験場だったらしいんだ…」
「「ヒエッ…!?」」
マジで…?
「そして…今でも夜中になると出るんだよ…」
「出るって…何が…?」
「そりゃ決まっているよ…動く屍と化したフレンズのゾンビさ…!!」
「ヒエェェェェ!?」
やめてくれー!ここで寝るの怖くなってきた!!
ゾンビが出るとかデンジャラスすぎるじゃん!
「ふふふふっ…冗談だよ…いい顔頂きました♪」
「嘘かーい!!」
「……()」ブルブル
なんかスナネコ固まってる…おーい生きてるー?
「姉さん、また怖い話で怖がらせて…」
「おっと…またやってしまったね♪」
「フレンズは死んだら元の動物に戻るからね、ゾンビになりようがないよ。」
「いやー、怖かった!また聞かせて!」
「おっ、珍しいなぁ?私の怪談を気に入って聞いてくれる人なんて初めてだ。」
冗談のレベルすごいよ、やっぱツクヤとそっくり!
いや、ツクヤが先生に似てるのかな…?
「まあヨウが楽しいなら…いいのか!?」
「いいんじゃない?」
「うん、良い!」
「んー、まあとにかく…俺は晩御飯の準備をしてくる。」
「おっ…もしかして料理って奴かな?楽しみだなぁ…」
「じゃあ僕、スナネコ連れて部屋に帰るね?」
僕は、怖い話を聞いて固まったスナネコを連れて部屋のある場所まで戻っていった。
「おーい、大丈夫?」
「…はっ!?…大丈夫ですよ、大したことなかったですね?」
大したことはあったと思うよー(棒)
いやでも、かわいいよね?
…って何いってんの僕?
「とりあえず、夕飯まで待ってようか。」
「ですね…」
その間に、スナネコに文字について教えることにした。
「で、これが『わ』で、これが『い』だね。」
「わ…い…」
スナネコは小さな鞄に入れてあった文字の本を指差しながら、僕の言葉に合わせて発音した。
「そしてこれが『と』だよ。」
「と…意外と簡単ですね?」
スナネコは呑み込みが早いから、すぐに漢字とかも覚えられそうだね!
…教えるのは間違いなくツクヤの方が上手いけど。
「…さて、そろそろ出来てるかな?」
「見に行きましょー」
スナネコを連れて、ロッジのキッチンまでアリツさんに案内してもらった。
なんでも今まで使い方がわからずにほったらかしにされていたみたい。
「ツクヤ、ご飯の準備って出来てるー?」
「ああ、出来てるぞ!」
そういって、ツクヤはトマトやキャベツを煮込んだスープを盛り付けた。
「えーっと、これなんて言ったっけ?」
「ミネストローネだ。ヨウ、トマト平気か?」
「んっ、めっちゃ好きだよ?」
そう、僕が二番目に好きな野菜はトマトなんだよね?
特にプチトマトのあの酸っぱくて甘い感じがめっちゃ好き!
ちなみに一番はキュウリ。
「そうか、よかった!…それじゃあ、これを運ぶの手伝ってくれるか?」
「任せて任せてー♪やろ、スナネコ!」
「わかりました、やってみますねー?」
僕とツクヤとスナネコ、そしてアリツさんでミネス何とかをみんなのところに運んでいった。
「はい、おまたせ!」
「今回は俺の自信作だ…!」
四人のフレンズも、興味しんしんでスープを見つめていた。
「おお、これが料理…」
「この色…リンゴね!」
「オレはトマトだと思うが…」
「なんかこのトマトって奴好きかも!色がアレに似てて…キシシシ…」
なんかナミちーがさらっと恐ろしい事を言っているような気がするけどあえて触れないでおこう。
そうだそれがいい。
「ジャパリまんもありますよー、それじゃ…」
「「いただきまーす!」」
一口食べだけで、口の中に美味しさが広がる…やっぱツクヤはプロ並み…
プロの味知らないけど…
「美味しいですね、このミネストローネ」
あっ、そうそうミネストローネだった。
こういうの覚えるの苦手なの良くない。
「美味しい…!こんな美味しいのは初めてだよ。」
「そうですね先生!私、おかわりいいですか?」
みんな美味しそうに食べてる、料理っていいなぁ…
「みんなが気に入ってくれてよかった、俺は嬉しいよ…」
ツクヤもめっちゃ嬉しそう、よかったねツクヤ!
〜食事終了後〜
美味しいご飯を食べた後、僕は自分の部屋でゆったりとくつろいでいた。
「ふぅ〜、満足満足…」
ジャケットを脱いで、パジャマ…といっても古着っぽいものに着替えた。
ツクヤはあの後、ロッジのお風呂の修理をしに行った。
「ツクヤってすごいよね、フレンズのケガや病気にも詳しいし…機械だって直せるし…」
そんな事を一人で言いながら、天井をボーッと見つめていた。
独り言はあんまり良くない。
「でも僕は…何もできてない…僕って邪魔になってたりして…?」
そうボソッと言うと、部屋のドアが『ギイ〜』とゆっくり開いて、スナネコが顔を出してきた。
「そんな事ないですよ、ヨウ。」
「スナネコ…?」
「誰でも出来ないことがあるのは当たり前です、それを埋めるために仲間がいるんですよ〜」
スナネコ…そうか、そうだった…
「それにヨウ、あなたはエカルを助けた時になんて言ったか覚えてますか?」
「フレンズは…助け合い?」
「そうですよー?だから悩むことなんてないです。」
ありがとう、スナネコ…
こんな事で悩んでるのが馬鹿馬鹿しく思えてきた。
…ところで…
「スナネコ、なんで僕の部屋に来たのー?」
「えっと…ヨウが一人で怖がってないかな…と。」
…と、言いますと?
「さっきの怖い話、ヨウはすっごく叫んでましたからね…」
「んんー?僕は別に平気だよ?」
もしかして…いや、絶対怖がってるよねさっきの怖い話…
素直じゃないんだから〜
このこのー♪
「とにかく…ボクが見ててあげますからヨウは安心して寝てください…」
「ふふっ…」
「何がおかしいんですかぁー?」
「何でもないよ…♪」
というわけで、今日の夜はスナネコに見張って貰うことにした。
めっちゃ視線感じて逆に寝付けなかったけど気づいたら寝てた。
〜朝〜
「んんー、よく寝た。」
あれ?なんかお腹のあたりが重い気が…
「よいしょ…ん?」
「すう…すう…」
あ…ありのまま、今起こった事を話すぜ!
スナネコが僕のお腹を枕にして座ったまま寝ているではないか!
ちょっと重い…けど重いとか言ったら後で殴られそうなので黙っておく。
「うーん…どうすっかこれ。」
「むにゃ…ヨウ…そっちは崖ですよ…」
どんな夢見てるんだ…!?
「まあ起こしちゃ悪いしなぁ…」
とりあえずー…
動けないし、二度寝するか!
おやすみ!!!
〜次回に続く〜
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