本編再開

輝くステージと進化する闘志

「アクション?」

「ええ、昨日の戦いを見て確信したんです!『デオキシ』と並ぶヒーローになれると!」


何が何だがぜんぜんわからない…

けどヒーロー…?という事は?

というかデオキシって何?


「あっ、でも詳しい事は移動中に…」


マーゲイさんが来た道を戻ろうとすると、ツクヤが呼び止めた。


「移動するならマーゲイもこれに乗るか?」

「いいんですか?ありがとうございます!ではお言葉に甘えてよいしょっと…」


ツクヤとマーゲイさんはスタッフカーに乗り込んでいった。

そしてツクヤは僕を呼んだ。


「おーい、早く乗らないと置いていくぞ。」

「まっ…待ってー!」


僕は大急ぎで車に乗り込んだ。

乗り込んだ後、スナネコが車に居ないことに気がついて…


「あれ?スナネコはどこ?」

「スナちゃん、ちょっとはかせに用事があるって言って図書館の中に行ったね。」

「すぐに戻るとは言ってたな。」


なーんだそういう事か、よかった…

…と話しているとスナネコが戻ってきた。


「お待たせしました〜。」

「あっ、スナネコ!何してたの?」

「ちょっと物を借りに行っていました。」


ほおー、たしかに鞄になんか入ってる…

というか可愛らしい鞄貰ったねぇ…ヒマワリのワッペンが付いてる…

そして、全員揃ったから出発ー!


「さあ行くぞ、頼むぞラッキー。」

「了解、出発するヨ。」


『ブロロロロロロロ…』


スタッフカーは音を立てながら道路の上を走っていった。

➖➖➖➖ここで簡単な座席表➖➖➖➖

ツクヤ ラッキー


マーゲイ ヨウ

スナネコ ツチノコ

ナミちー


そしていっぱいの荷物たち

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

移動中、マーゲイさんが思い出したように言った。


「ああ、そういえば私が何者か言ってませんでしたね…ごめんなさい!」

「あー、そういや僕も!結構突然だったからつい…」


という事でマーゲイさんと僕はお互い何者か話す事になった。


「えーっと、ツクヤさんが言った通りの名前私はマーゲイです!PPP《ペパプ》というアイドルのマネージャーをしています!」

「へえ…ペパプってどんな感じなんだろ…」


僕が独り言ぐらいの感覚でそういうとマーゲイさんが勢いよく説明した。


「PPPとは!コウテイペンギンさん、ロイヤルペンギンさん、ジェンツーペンギンさん、フンボルトペンギンさん、そしてイワトビペンギンさんの五人で形成されたアイドルなんです!!」


この勢いからしてよっぽどそれペパプが好きなんだなぁとわかるよ。


「えー、じゃあ次は僕の番かな。暁陽、みんなはヨウと呼んでるね!まだ昔の記憶がないけど、全部戻ると良いなと思ってる。」

「改めましてよろしくお願いしますね、ヨウさん。」


お互い改めましての自己紹介も終わったところで本題!


「で、僕は何をすれば良いの?」

「えー、私がプロデュースする事になった新しいアイドルの舞台デビューの前座として予定してある『ヒーローショー』のヒーローになって貰いたいんです!」


ヒーローショー…って…


「ええ!?」

「そんなに驚きます…!?」

「いや驚くよ!だってヒーローになるってことは…アレでしょアレ!?」

「アレ…うん、大体わかります。」


ヒーローのスーツを着てアクションするってことなの…!?

僕にできるかな…?


「で…そのヒーローって言うのは?」

「はい!そのヒーローと言うのは…あっ、その前にこっちのヒーローを見てください!」


マーゲイさんはそう言うと持っていた鞄からポスターを取り出して見せてくれた。

ポスターには、黄色いネコをイメージした感じのヒーローが写っていた。


「これは…?」

「よくぞ聞いてくれました!コホン…


フレンズとヒトの自由を守るため!

正義と闘志が進化する!!

仮面フレンズデオキシ!!


…です!」

「デオキシ…あっ、さっき言ってたアレね…」

「はい!デオキシは動物の力が込められたアイテム『ゲノムカプセル』を使って戦う、かつてパークを救ったと言われている伝説のヒーローなんです!」


ここから先、マーゲイさんの熱い語りタイムがかなり続く。

マーゲイさんは次に、スピーカーっぽい感じのベルトとブレスレットを見せてくれた。


「と…これが変身に必要なベルト『デオキシドライバー』と『ゲノムブレス』です!あっ、これはなりきり用のオモチャなので音が鳴るだけですが…」


そういうとマーゲイさんはベルトとゲノムブレスを体につけて、ノリノリでなりきりを始めた。


「サーバルカプセル、セット!」


『サーバル!』


カプセルをブレスにセットすると、ベルトが動物の名前をノリのいい声で言った。

そして…


『D・N・A!D・N・A!D・N・A!』


ベルトからは、かなり賑やかな音が流れ出した。

こういうのを『待機音』って言った気がする。


「変身!」


そして、かなり気合いの入った掛け声と同時にベルトのスイッチを押した。


『サーバル!サーバル!

S・E・R・V・A・L!

サーバル! GO!』


おお…賑やかなタイプのベルト…

僕こういうのよく知ってる…

鷹とか虎とか…


「そして、まだまだこんなものじゃないですよ!」


マーゲイさんは目をキラキラさせながら、そのままデオキシの説明を続けた。

とても楽しそうで見てるこっちも楽しくなってくる!


「デオキシは戦いの中でDNAが活性化して、さらに強い姿に『進化エヴォリューション』するんです!見ててくださいね…」


そういうと、さっきのスイッチとは逆方向のスイッチを押して言った。


「エヴォリューション!!」


『Awaken genes, evolve and fighting spirit!!』


今度は英語で何か喋り、ガシャンガシャンという音を立てた。

僕英語わからない…


「これなんて言ってるの?」

「たしか…『目覚めろ遺伝子、進化しろ闘志』だった気がします!」


へえー…って夢中になりすぎた、本題本題!


「で、僕がやるヒーローは…」

「ああっ!ごめんなさい!!つい夢中で…」

「いいのいいの!楽しそうだったよ!」


マーゲイさんは、ちょっと焦った感じでもう一枚ポスターを取り出した。

ポスターには鳥っぽい感じの黄色と赤のヒーローが写っていた。


「これは…?」


僕が聞くと、マーゲイさんは気合いたっぷりにセリフを言った。


「太陽が昇る時、この世の悪を照らし出す!降り注げ光よ!!

仮面フレンズソレイユ!!

…ですね!」

「おおー、カッコいい!」

「ふう…やりきった…」


マーゲイさんは満足げな顔をした後、ソレイユについて説明し始めた。


「ソレイユは未来から来た仮面フレンズで、その正体は不明…といわれています。」

「そうなんだ!どんな力があるの?」

「ソレイユは太陽の力をその身に宿して戦うんですよー!」


おおっ、まさに暁陽にピッタリのヒーローじゃないか!

楽しみになってきたなぁ…と思っていると…


『キキーッ!!』

「「うわあああああ!?」」


スタッフカーが急にブレーキをかけて止まった。

なになになに!?一体なんなんだ!?


「どうしたの?」

「見ろ、フレンズが倒れている。」


ツクヤが指を指す方を見ると、茶色い髪で、長い牙のような白っぽい髪が生えたフレンズが倒れていた。


「助けなきゃ、車に乗せれるかな?」

「よし、運んでくれ。」


その倒れているフレンズを車に乗せて、様子を見る事にした。


「おーい、大丈夫?」

「呼吸はある、生きているようだな。」


と顔を覗き込んでいると、そのフレンズが弱々しく喋り始めた。


「お…なか…ごは…ん…」

「食べ物か、頼んだぞヨウ。」

「わかった!」

「ジャパリまんならここにあるよ!」


僕はナミちーからジャパリまんを貰うと、少しずつそのフレンズの口に入れてあげた。


〜そして〜

「大丈夫?話せる?」

「はい…おかげさまで元気が出ました、ありがとうございます!」


そのフレンズはぺこりとお辞儀をすると、自己紹介をし始めた。


「えーっと…私、エカルタデタって言います…エカルって呼んでください。」

「僕はヨウ、よろしくねエカルさん!」

「エカルタデタは有袋類に属する絶滅動物ダヨ。後期漸新世から中新世までの間に存在していたみたいダネ。」


なるほど、わからないという事がわかった。

そういうのムキムキがどうとかって言った気がする!(無知の知)


「ツクヤ…ユータイルイって何…?(小声)」

「簡単に言えば、お腹にポケットがある生き物って事だ。」


たしかにエカルさんの服はポケット付きのエプロンだ…いきものの特徴はフレンズの服装にも出てくるんだね。


〜軽く自己紹介して〜


「それでエカル、なぜあそこで倒れていたんだ?」

「えーっと私、友達と一緒に新アイドルのステージデビューを見に行く約束をしていたんですけど…今日は道を間違えちゃって…

それで迷ってる間にお腹が空いて…」


あー、道にね…

乗せていってあげれるかな?


「ねえツクヤ、乗せて行ってあげようよ!僕たちもそこに行くところだったじゃない?」

「もちろん、俺もそうするつもりだったさ。」


さっすがツクヤだ!

という事なので、エカルさんはナミちーのとなりに座る事になった。


「あの…ありがとうございます!さっき会ったばっかの私なんかに…」

「いいよいいよ!フレンズは助け合いでしょ?」


なんて、何処かで聞いた感じのセリフを言ってみたり…

エカルさんを乗せてしばらく行くと、エカルさんが話し始めた。


「私…前からペパプが好きで…いつかボディーガードになりたいと思って特訓しているんですけど…いざセルリアンを前にすると足がすくんで…」

「へえ…でも努力できるってすごい事なんじゃないかな?エカルさんなら絶対なれるよ、応援してる!」

「ヨウさん…はい!私頑張ります!」


僕とエカルさんが話をしていると、マーゲイさんが建物を指差して言った。


「あっ、アレがライブステージです!」

「おおー、すごーい…!!」


指をさした先には立派なステージがあった。

すごいなぁ…

そして僕たちはステージの近くにスタッフカーを止めると、みんなでぞろぞろと降りた。

車を降りたエカルさんは周りをキョロキョロと見ると…


「えーっと…みんなはどこに…あっ!」


何かに気がついて走り出した。

エカルさんが行った先には二人フレンズがいた。


「あら、エカルさん…1000%遅刻ですよ?」

「エカル!良かったよー無事で!あれ、その人たちは?」


一人は、平原にいたヘラジカさんみたいにツノみたいな髪とツノみたいな武器を持ったフレンズ、一人はナミちーに似た青紫のコウモリのフレンズだった。


「えーっと、右からヨウさん ツクヤさん ツチノコさん スナネコさん ナミチスイコウモリさん…です。ここまで送っていただきました…」

「へえー、エカルをここまで送ってくれてありが…あっ!ナミちー!」

「おおっ!よく見たらオニちゃん!」


どうも二人は知り合いだったみたいだね!

ということで二人が自己紹介をした。


「私はアルシノイテリウム、アルシノとお呼びくださいまし。」

「私、オニコニクテリス!オニコって呼んでね!ナミちーとは昔からの親友だよ!」


アルシノさんにオニコさん…二人とも光が見えない目をしてるけど…

こういう時は、ツクヤ先生ーッ!!


「ツクヤ、二人とも目に光がない気がするけどなんでだろ?(小声)」

「知らなかったか、絶滅種のフレンズはみんなそうなんだ。平原のオーロックスもそうだ。」


へえ!そういやそうだったかも…ん?

という事はアルシノさんもオニコさんも絶滅した生き物なんだね。


「ヨウさん…でしたか、エカルさんの事…ありがとうございました。」

「後は私たちに任せて!」

「ありがとうございましたヨウさん、いつかまた…」


エカルさんは深くお辞儀をすると、アルシノさん達の後に続いて行った。


「では、楽屋に行きましょう!」

「うん、行こう!」


という事でマーゲイさんについて行って楽屋に行った。


「しつれいしま〜す…」

「皆さん、ソレイユ役を連れて来ました!」


マーゲイさんは、ちょっと似た見た目の五人組にそう話しかけた。


「マーゲイ、お疲れ様!」

「その子がソレイユ役…うん、なかなか良さそうだ。」

「協力してくださってありがとうございます!」

「おいおい、そいつヒトじゃないか!?」

「お腹すいたなぁ〜…」


一人だけなんか違うこと言ってる気がするけど…まいっか。


「えーヨウさん、この人たちがPPPです!」

「あなたが昨日マーゲイが言ってた子ね!私はロイヤルペンギンのプリンセス!」

「コウテイペンギンのコウテイだ。」

「ジェンツーペンギンのジェーンです!」

「イワトビペンギン、イワビーだぜ!」

「フルル〜」「何ペンギンか言うのよ!」

「フンボルトペンギン〜」


「五人合わせて!」

「「ぺ〜パ〜プ〜!!」」


やっぱ一人天然居るよね!?かわいいじゃないか…

これだけ個性的なメンツだけど最後の名乗りは息ぴったり…さすがチーム!


「それじゃあ、説明はマーゲイから聞いたわね?」

「もっちろん!」


そしてプリンセスさんは本を渡して…


「この台本に目を通してもらえる?」

「オッケー!」


僕はページを開き、まずは配役を確認した。


➖➖➖➖➖➖配役表➖➖➖➖➖➖

デオキシ リカオン CV マーゲイ

ソレイユ ヨウ(書き足した文字)

最初の敵→三人目の仮面フレンズ ツクヤ(書き足した文字)

怪人 未定

最後の敵 新アイドルの一人 CV秘密

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

ほおー、なんか始めて見る名前が…


「このデオキシ役のフレンズ?は…?」

「えーっと、今呼びますね。」


マーゲイさんが呼ぶと奥から犬っぽい感じのフレンズが出てきた。


「リカオンさんです、デオキシのスーツを担当してくれます。」

「はじめまして、普段はセルリアンハンターやってます。」


ハンターか…強そう!


「それと…怪人役はどうする?」

「怪人役はスナネコさんかツチノコさんかナミちーさんの誰かにお願いしようと思ってます…こういう怪人なんですけど…」


マーゲイさんはそういうと絵を見せてくれた。

絵には、猫型の怪人の絵が描かれていた。


「これは…?」

「『サンドキャット・イビルズ』って言って…ヒトが『ゲノムカプセル』の遺伝子を無理やり注入されて怪人化した『イビルズ』の一体…とされています。」


へえー…サンドキャット…?

砂の…猫?あっ!


「それ、ボクがやりましょうかぁ?」

「本当ですか?ありがとうございます!」


思った通り、だね…

ということで怪人役はスナネコに決定。


「それで…最後の敵役は?」

「ショースタッフは知っておいた方が良さそうね、マーゲイ?」

「はい!呼んできます!」


マーゲイさんが呼ぶと、奥の部屋から黒い羽のような服をきた双子っぽい感じのフレンズがやってきた。


「それでは、紹介お願いしますね。」

「えーっと…あっ、ワタシはカタカケフウチョウ。」

「ワタシはカンザシフウチョウ。」

「「フタりアワせて…」」


そして可愛らしい感じのポーズを取って…


「「Gothic×Luckゴシックラック!!」」


とグループの名前を言った。

なんだか初々しいなぁ…


「はい!ありがとうございます!」

「ありがとう、プロデューサー」


そしてカンザシさんの方が僕を見て言った。


「アナタがソレイユをやるヒト?」

「うん、よろしく!」

「よろしく、サイゴのテキはカタカケがやるみたいだけど…ワタシもオウエンしてる。」


よし、配役は大体わかったかな。


「それじゃあ…何をすればいいの?」

「まずは…アフレコからお願いします!」


アフレコ…声を入れるのかな?


「わかった!よし、行こう!」


ということで、僕たちはアフレコ部屋に行って台本の通りに声を入れる事になった。

アフレコって思ったより大変だなぁ…


「ヨウさん、あとこっちもお願いします!」

「どれどれ…うん!わかった!」



〜ヨウたちがアフレコをしている時〜

「へー、アイドルか…」


少年の見た目をしたセルリアン、またまたヨウをつけて行っていたのだ。


「ボクはあンまりそウいうの興味ないなぁ…ボクが大好キなのはワクワクすルような戦イだから…」


と退屈そうに言うと、小型のセルリアンを呼んで言った。


「よし君、ミんなで行ってあの会場ヲめちゃくちゃにしニ行こう!」

「———♪」


セルリアンは賛成するかのようにピョンピョンと跳ねた。


「よーし!…なンか、ヒーローショーとか言ウ奴をやるみタいだけど…そんな甘いものじゃなイ、本物のショーって奴を見セてやろうよ!」


そういうと、彼はカードを取り出してセルリアンに見せた。


「さあ、コれの輝キを食べて。」


すると、セルリアンの姿がみるみる変わり…

羽の生えた人のような姿になった。

その姿は、風を操るヒーローフェザーマンのようだった。

そして輝きを食べられたカードは、絵が見えなくなって真っ白になっていた。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


僕たちはアフレコを終えて、今度はアクションの練習をしていた。


「太陽が昇る時!」

「もっと手のひらをピンと立てて!太陽の光みたいに!」

「了解!」


かなり厳しく指導されている。


「ア"ィ〜ヤ"ァ〜!!」

「うまいですねスナネコさん!」


スナネコは完全に怪人になりきっていた…

この調子で、あしたまでに完成させよう!


➖➖三人称視点 ヒーローショー当日➖➖

「みなさん!こんにちは!」

「「こんにちは〜〜!!」」


プリンセスが挨拶をすると、ファンのフレンズたちが元気よく返した。


「今日は新しいアイドルのステージデビューの日、みんな応援してあげて!」

「「はーい!!」」


と舞台が盛り上がってきたその時…

照明が消え、悪そうな声が響いた。


「悪いが、ステージデビューは中止だぁ…」

「何ですって!?」


プリンセスが見る方には、黒と黄色の見た目で、紫色のアーマーを上からまとったヒーローのような男が立っていた。


「アナタは誰!?」

「なんだ、知らないのか…知らぬなら言って聞かせよう!!

闇に月満ちる時、悲しい叫びが聞こえ出す…絶望へと誘え!

悪の使者、幻月げんげつ!」


ツクヤが演じる悪の仮面フレンズ、幻月が姿を現した。

ちょっと背伸びしたような口上は彼が考えたとか。


「残念だったな、新しいアイドルは俺たちが預かった!」

「なんですって!?」

「返して欲しければ仮面フレンズを呼んでみろ、まあお前たちに出来るかはわからないがな!」


幻月がそう挑発すると、プリンセスが観客に向かって言った。


「みんな!私と一緒に仮面フレンズを呼ぼう!私が『せーの』って言ったらみんなは『デオキシ』って呼んであげて!」


一方、観客席では…


「げ…げげ…幻月…!?」

「落ち着いてエカル、これはお芝居だから!」

「あなた、前にも見たはずじゃ…?」

「そ…そうでした…」


エカルがテンパっておろおろしていて、それをオニコとアルシノがなだめていた。

そして…


「くそっ、俺が行けば一撃でアイツを懲らしめられるのに…!!」


エカルたちとは逆方向の客席でブラックジャガーがなんか悔しそうに見ていた…


「ブラックジャガーさ〜ん、これお芝居ですよぉ〜…」


そして、それをホワイトライオンがなだめていた。

そしてステージでは…


「それじゃあ行くわよ、せーの…」

「「デオキシーー!!」」


しかし、デオキシは現れなかった。


「ハッハッハ!なんだ、その程度か!」

「もう一度…行くわよ!せーの!」

「「デオキシーーッ!!」」


すると…どこからともなく声が響き…


「みんなの声、届いたぜ!」

『サーバル!

D・N・A!D・N・A!D・N・A!』


リズミカルな待機音が鳴り、声の主が変身の掛け声を叫ぶ。


「変身!!」

『サーバル!サーバル!

S・E・R・V・A・L!

サーバル! GO!』

「とうっ!!」


賑やかな変身音と共に、仮面フレンズデオキシが姿を現した!


「お前がデオキシか…」

「そうだ!

フレンズとヒトの自由を守るため!

正義と闘志が進化する!!

仮面フレンズデオキシ!!参上!

俺の進化を見せてやる!!」

「「おおーー!!」」


デオキシ(CVマーゲイ)が名乗りセリフをいうと、観客のフレンズたちは大いに盛り上がった。


「お前ごとき、俺が相手をするまでもない。よし、アイツをイビルズにしてやるか。

サンドキャットカプセル、セット…!!」

『サンドキャット…』


幻月は持っていた銃にゲノムカプセルをセットすると、舞台袖に向かって撃った。


「注…入!!」

「う"あ"あ"ぁぁぁ!!!」


苦しそうな叫び声が聞こえ、後ろから猫のような見た目の怪人が現れた。


「ア"ィ〜ヤ"ァ〜!!」

「罪のない人を怪人にするなんて…許せん!」

「お前の相手はコイツで十分だ。」


幻月はそういうと、デオキシにサンドキャットイビルズをけしかけて去った。


「あっ、待て!くっ…えい!」

「ア"イ"ィィィィ!!」


イビルズは、奇声を上げめちゃくちゃに暴れまわりながらデオキシに襲いかかった。


「これはっ…はあっ!」

「ミ"!!!」


しかし仮面フレンズはパークのヒーロー、こんな事では負けなかった!


「負けるか、ええい!」

『サーバル!』


デオキシはブレスのボタンを押すと、イビルズに向かって思いっきりキックをした。

もちろんショーなので本当に蹴ったわけではないけど…


「ア"ィィィィィヤ"ァァァァァ!!!!」


イビルズは叫びながら大きく吹っ飛ぶと舞台から退場した。


一方、舞台裏では…


「お疲れ様スナネコ〜!」

「ありがとうです、結構楽しいですね〜♪頑張ってくださいね、ヨウ。」

「もちろん!」


そしてステージ上では…

「どうだ!これがヒーローの力だ!」

「はっ、猪口才ちょこざいな!怪人一体倒したくらいで調子に乗るなよ!」


幻月とデオキシが睨み合っていた。


「面倒くさいが仕方ない、俺の力を見ろ!」


幻月が攻撃を仕掛けると、デオキシは間一髪で避けた。


「くう…エヴォリューションさえできれば!」

「ハハハハッ!どうした、そんなものか?」


幻月はデオキシを追い詰めると、必殺技の構えをした。



『ムーンライト・フィニッシュ!』

「喰らえェェェェ!!」

「ウワーーッ!!」


悪側とは思えない雰囲気の必殺音と同時に、三日月型のエネルギーカッターが出てきてデオキシを襲う。


「くう…まだ…負けない…」

「ハハハハ!希望もここまでのようだな、お前を助けてくれる奴なんて居ない…」


と誇らしげに高笑いすると、どこからか…


「いるさ!ここに一人なぁ!変身!」


と声が聞こえると…

『灼熱バーニング!激熱ファイティング!

ヘイヨー!太陽!

仮面フレンズソレイユ!!』


ノリノリな変身音と共に黄色と赤を基調とした鳥のような見た目のヒーローが助太刀にやってきた。


「誰だお前は!」

「太陽が昇る時、この世の悪を照らし出す!降り注げ光よ!!

仮面フレンズソレイユ!見参!!」

「「わあーー!!!」」


観客からは大歓声が鳴り響いた。


「君は…?」

「僕はソレイユ、未来からキミを助けに来たんだ!」

「そうか、心強い!!」


そして二人のヒーローは並び立ち、幻月に立ち向かった。


「クソッ…だがいくら集まったところで無駄だ!行けお前ら!」



幻月が呼ぶと、戦闘員らしきイビルズがわらわらと出てきた。

それにしてもすごいクオリティだ。


「はっ!よっと、えい!」

「ほっ、とうっ!!」


そして、デオキシはスイッチを押して叫んだ。


「エヴォリューション!!」

『Awaken genes, evolve and fighting spirit!!』


ベルトから音が鳴るとデオキシは一旦舞台裏に引っ込み、進化した姿になって再び出てきた。


「なんだそれは!」

「俺はDNAを活性化させて進化することができるんだ!とうっ!」

「さすがだねデオキシ、行こう!」


そして二人は必殺技の構えを取ると…


『ギガンティック・サンシャイン!!』

『エヴォリューション・サーバル!!』

「「はあぁぁぁぁぁ!!!!」」

「ぐわぁぁぁぁぁ!!ありえない…あり…え…」


幻月は叫びながら舞台裏に吹っ飛んでいった。


「やったー!」

「ありがとう、ソレイユ!」


デオキシはソレイユの方にサムズアップをすると、ソレイユもサムズアップをして返した。

そして、プリンセスが出てきて二人にお礼を言った。


「ありがとう、デオキシとソレイユ!これで新しいアイドルのステージデビューも…」


しかし、幻月とは違う男の声の誰かが割り込んできた。


「そうはさせないぞ…」

「誰!?」


みんながステージ傍を見ると、マントを着て仮面をつけた人物がゆっくりと歩いてきた。


「私は…そうだなぁ、『ドクター』とでも呼んでくれ。」


その場のノリで決めたような名前(辛辣)のドクターと名乗る人物(演:カタカケフウチョウ CV不明)はウロウロと歩き回った。


「ドクター!お前の目的は何だ!」

「このパークの外にいるヒト全員を怪人化させ、争いのない世界にする事だ…ハハハハ!!」


とかなり自慢げに言いながら高笑いした。


「そんな事をしたって、醜い怪物が世界を埋め尽くすだけだ!」

「お前は僕たちが止める!」

「やれるものなら…やってみろォ!!」


ドクターは片手を突き出すと、デオキシとソレイユを吹っ飛ばした。


「つ…強い…」

「くう…一筋縄じゃ行かなさそう…」


〜〜一方 舞台裏では〜〜


「ドクターって名前、誰が決めたの?」

「ヨウですねぇ、一時間くらい迷って決めたらしいですけど。」

「嘘でしょ」


プリンセスとスナネコが『ドクター』のネーミングについて話していた。

そして話題は変わって、ドクターの声の主についての話題に。


「このドクターって奴、すごい声に迫力があるな…マーゲイがアフレコしたのか?」

「いえ?私はデオキシしか…」

「「えっ?」」


みんなが同時に驚いた。

そしてナミちーが聞いた。


「じゃあ…誰が入れてるの?」

「え?ヨウさんですよ!」

「「ええええーーー!?」」


みんなさらに驚いていった。


「嘘だろ、これヨウの声なのか…?」

「演技力ぅ…ですかね…」

「ヨウさんすごかったですよ!台本見せてちょっと練習しただけで凄みのある声が出てくるんですもの!」

「ヨウ、声優向いてるんじゃない?」

「そうです!本当それですよね〜!」


マーゲイとプリンセスが盛り上がっていった。

…とそこに戦闘員たちが戻ってきた。


「お疲れ様!みんな!」

「いやー、疲れたぜ!」

「ヒーローに吹っ飛ばされる役も大変だな…」

「イワビー!?コウテイ!?」


戦闘員の正体にナミちーはめっちゃくちゃビックリした。


「戦闘員って二人だったんだ…」

「マーゲイはあんまり気乗りしてなかったけど…みんなを楽しませれるならドンと来い!ってな!」

「そう…だな…緊張した…」


二人とも、みんなを楽しませるために体をはるいい人である。


〜〜そしてステージ〜〜

「ハッハッハ!どうした仮面フレンズ!とんだ拍子抜けだな!」


ドクター(CVヨウ)が二人のヒーローを蹴散らして高々と笑っていた。

だがその時、勇ましい声が聞こえてきた。


「させるか!変身!」

『暗闇ミッドナイト!キラキラムーンライト!

結構!発光!

仮面フレンズ月光!!』


「その声は…!」


ドクターが振り向いた先には、紫のアーマーが取れた幻月が立っていた。


「「幻月!?」」

「いや、今の俺は幻月じゃない…アイツの洗脳から解放され、正義の心を取り戻したんだ!」


そして、元幻月はポーズを取ると名乗り口上を叫んだ。

「夜に月満ちる時!人の願いが星へと届く!希望へと導け!

仮面フレンズ月光!復活!」

「「おおーっ!!」」


観客からはさらに歓声が上がった。

盛り上がりは最高潮!!


「デオキシ、ソレイユ…俺を助け出してくれてありがとう…この恩はここで返す!」


月光はドクターに突っ込んでいくと、刀のような武器を振りドクターを後退させた。


「く…お前ごときが…」

「体制が崩れた…今がチャンスだ!」

「わかった!行こう!」


ヒーロー三人が一斉に攻撃を仕掛け、そして必殺技の構えをする。


『エヴォリューション・サーバル・フィニッシュ!!』

『ギガンティック・サンシャイン!!』

『ムーンライト・フィニッシュ!!』

「「はあああぁぁぁぁぁ!!」」


必殺技は見事に命中!

もちろん演技だけど。


「なぜだ…科学の力により最強になったはずなのに…」

「教えてやる、誰の心にだって『誰かを守りたい』という気持ちがある。」

「その気持ちがあるから、僕たちは戦える。」

「そしてその気持ちは、そんな科学力なんかよりずっと上だったんだ。」

「そんな…そんなものが…無念…」


ドクターは大きな音と共に吹っ飛んでいった。


「「わあーー!!」」


観客はみんな大喜び、ヒーローショーは大成功に終わった!!


〜〜観客席〜〜

「誰かを守りたい…気持ち…」

「どうしたのエカル?」

「あっ、いえ、なんでもないです…」


そして、エカルは周りをキョロキョロ見渡した。


(ヨウさん、どこかでショーを見てたのかな?)

〜〜ステージ上〜〜

「ありがとう、仮面フレンズ!おかげで新しいアイドルのステージデビューも無事にできそうだわ!」

「一時はどうなることかと…!」

「新アイドルの方も無事に戻ったみたいですね!」

「あー、よかったぜ!」

「それよりお腹空かな〜い?」


ステージの上には、ペパプ の五人が立っていた。


「お腹…はまだ空かないけど、いよいよ新しいアイドルのステージデビューが…いたっ!?」


突然、ステージに何かが投げ込まれてきた。

プリンセスもほかのメンバーもビックリ。


「誰だよー、ステージに石なんて投げたの!」

「あの…これ石じゃなくないですか…?」

「こ…これは…」


石と思われたそれは、目玉をギョロつかせてペパプを見た。

投げ込まれたものの正体は…


「「セルリアンだーーーッ!!」」


その声を合図にするかのように、セルリアンがぞろぞろと集まってきた。

そのセルリアンを率いるのは風を操るヒーローフェザーマン炎を操る女性ヒーローバーストレディの姿をコピーしたセルリアンだった。


〜次回へ続く〜


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る