ハッピー・クリスマス

これは、僕たちが図書館でしばらくお世話になっていた一週間のどこかであった出来事。


「ツクヤ、おはよ…」

「おはよう、いきなりで悪いが今日は何の日か知っているか?」


うーん…というか今日が何日かすらもわからない。


「何の日なの?」

「今日はクリスマスだ、クリスマスって知ってるな?」

「おおっ!?今日なの?」


クリスマスだったんだ、クリスマス大好きだよ!

地下室から上がると博士と助手がすでに起きていた。



「博士に助手、もう起きてたんだね」

「我々の朝は早いのです。」

「ヨウ、スナネコたちを起こしに行くのです。」


助手に頼まれて二人で起こしに行く事に。


「スナネコぉ〜、朝だよー!」

「にゃあぁあ…おはようございます、ヨウ。」


…あれ?ツチノコはどこ?

一緒に寝てるかと思ってたけど…


「ツチノコ探してますかぁ?ツチノコは外でお散歩してますねぇ…」


ツチノコは結構単独行動が好きなタイプだからねー?

で、一方ツクヤとナミちーは…


「起きろ、朝だぞ。」

「うぅんあと五分…」

「ダメだ、今日は特にダメだ。」

「えーなんでぇ…」


グダグダな起床をするナミちーと、なんとしてでも起こそうとするツクヤの攻防戦が繰り広げられていた。


「今日は特にダメって…なんでなの?」

「よく聞いてくれた、今日は『クリスマス』だ!」


「「『クリスマス』って何(ですかぁ)?」」

「クリスマスっていうのはだな、キリストっていうヒトの誕生日を祝う日だ。」


そうなの?

美味しいもの食べる日だと思ってた…

というか…


「キリストって誰?」

「ヨウ…!?あー、知らなかったのか。

キリストっていうのはだな…まあ簡単に言えば『とてもえらいヒト』だな。」


あぁー、なるほどね?

ってこれヒトなら知っておくべき事だった…?


「だから今日はクリスマスパーティーでもしようかと思っているんだ。」

「博士たちは知ってるの?」

「ああ、一昨日話した。」


〜一昨日〜

「…という事でクリスマスパーティーをしようと思ってな、博士たちはクリスマス知ってたよな?」

「えぅ…と、当然なのです!我々はかしこいので!」

「はかせ…焦ってますね。」

〜〜〜〜

「って感じだ。」

「本当に知ってたのそれ…!?」


まあいいや、準備は何すればいいんだろう?


「よし、行くか。」

「どこに?」

「平原地方だ、リース飾りを作るのを手伝って貰ったからな。」


という事なんで、僕たちはスタッフカーに乗り込んで平原地方へ向かった。


「ライオンさーん、ヘラジカさーん!」

「おおー、ヨウじゃん!」

「元気そうだなぁ!」


平原地方のフレンズたちのリーダー格である二人が出迎えてくれた。


「手伝わせて悪かった、リースの方はどうだ?」

「おー、結構出来てるよー。」

「もう出来上がったものは詰め込んで運べるようにしてあるぞぉ!!」


ヘラジカさんが指差した先には、箱にいっぱいに詰め込まれたリースがあった。


「すごーい!綺麗だね!」

「ありがとう、どれも上手に出来ているな。」

「まあねー、博士たちのおかげだよー。」


僕とツクヤでリースの入った箱をわっせわっせとスタッフカーに乗せて、またスタッフカーを走らせた。


「頼んだぞラッキー。」

「マカセテ。」


『ブロロロロロ…』


「クリスマス〜♪クリスマス〜♪みんなで楽しいクリスマス〜♪」

「楽しそうだな、ヨウ。こっちまでワクワクしてくるよ。」


二人で喋りながら図書館へと戻っていった。


「ただいまァ!!…ってなんだこの木!?」


図書館へ帰って来ると、僕の身長より少し高いかくらいの木が立ててあった。

そして僕の言葉には、戻って来ていたツチノコが答えた。


「クリスマスツリーに使うもみの木だ。オレはこれを湖畔まで取りに行ってたんだ、勝手に行ってすまんな。」

「大丈夫だよ、ありがとう!…それにしても大きいねーこの木!!」


って言ってると、もみの木の後ろから人影が出てきた。


「気に入ってもらえたみたいで何よりッス〜…」

「われわれも運んだ甲斐がありますなぁ!!」

「あっ!ビーバーさん、プレーリーさん!久しぶり!」


僕がスナネコとツチノコ以外で最初に出会ったフレンズのうちの二人だ。

ってあれ?


「ミーアさんは?」

「ミーア殿なら、としょかんの中でクリスマスについてホワイトライオン殿たちに教えてるであります!」


そっか、じゃあ様子を見に行ってこようかな!

と言うわけで図書館の中へGO。


「…なので、クリスマスとはとても特別な日なのですわよ。」

「はわわ〜…なるほどです〜」

「なるほど…私たちも参加したいな。」


図書館内では、ライオン族コンビとジャガーさん姉妹がミーアさんの話を聞いていた。


「一撃で…参加する!」

「姉さんが参加するなら、私も参加しようかな?いいよねツクヤ!」

「もちろんだ、メンバーは多い方が楽しいからな。」


パーティーはきっと楽しくなるだろうなー!

というかジャガーさんってツクヤとは面識あるんだなぁ…

って…そういえば…


「そうだジャガーさん、スナネコとナミちーってどこにいるか知らない?」

「スナネコたちね…そういえば見なかったなー…」


そうかぁ…じゃあツチノコのとこに戻って聞いてくるか。


「おーい、ツチノコォ!!スナネコたち見なかった?」

「あぁあ…スナネコたちかぁ…?どこにいるんだろうなぁ…

あっ、オレやらなきゃいけない事あるからごめんな?」


ツチノコは走って図書館の裏まで行っちゃった。

ツチノコも知らないのかぁ…

どうしたものか…


〜三人称視点 ツチノコの用事〜

「スナネコ、進み具合はどんな感じだ?」

「スポンジケーキはボスのお陰でなんとか…今はこのクリームがフワフワにならなくて苦戦中、ですねぇ…」

「しょーがねー、オレがやるよ。」

「ありがとツッチー、助かるよ!」

「ありがとうございます。」


ツチノコたちは何をしているかと言うと…

ツクヤにクリスマスケーキの事を教えてもらったスナネコは、ヨウをビックリさせようと思いケーキ作りに挑戦している…という事だ。


「これでよしっと…どうだ、これでフワフワのクリームに…」

「ボクたちはフルーツの準備をしましょう。」

「オッケー、やろやろ!」

「おーい!?!?」


と、ヒロインズ三人はケーキ作りを楽しんでいたのだった!


〜再びヨウ視点〜

「スナネコぉ〜、居ないの?」

「ま、まあスナネコたちなら何処かでクリスマスの準備をしているんだと思うぞ。」


そうかな、そうだと良いけど…


「それじゃあヨウ、俺たちもツリーの飾り付けを手伝いに行くか。」

「うん、わかった!」


ツクヤと一緒にもみの木がある所まで行った。


「おーい、プレーリーさん!ビーバーさーん!」

「うーん…おかしいッスねぇ…あっ、ヨウさんおかえりなさいッス!」

「ヨウ殿、おかえりであります!」


なにやら困った様子のビーバーさん、どうしたんだろ?

僕は状況を聞くことにした。


「なんか困ってるみたいだったけど、どうしたの?」

「えぇ、ツリーにつける飾りが少し減っているような気がするッスよ…」

「ツリー飾りだけじゃないであります!リースも箱一つ分くらいなくなってるであります!」


ええーー!?嘘だそんな事ォ!!


「飾りを盗む奴…か、俺が思うにはセルリアンの仕業だろうな。」

「なんだって!?それは本当!?」


本当にセルリアンの仕業だとしたら…多分マズイことになる。


「きっと奴らは、リースやツリー飾りから輝きを取ろうとしている…全く迷惑な話だ。」

「早く取り返さないとクリスマスが…」

「取り返すって言っても奴らがどこに…」


「「ガサガサッ…」」


ツクヤがそう言いかけたとき、茂みが揺れる音がした。


「誰だ!?」ブンッ


ツクヤは足元の石をとっさに拾うと、音のした方に投げた。

当たったらめっちゃ痛そう。


「ちっ、手応え無しか。」

「いや待って!?音の主がフレンズかもしれないのに石なんて投げたら…」

「そうか…俺としたことがつい焦っていたな、申し訳ない。」

「あー、いや気にしないで!多分セルリアンだと思うから!」


あそこまで真剣に謝られるとは思ってなかったから、ちょっとあたふたしちゃった…

やっぱツクヤは優しいんだね。


「ヨウさん、ツクヤさん!これリースじゃないッスか!?」

「ああ、間違いない。」


音の主が立ち去った後に落ちていたのは、盗まれたリースの一つだった。


「奴は森林の中に入ったのか!?」

「追いかけよう、ビーバーさんたちはここでまってて!」

「了解ッス…」「わかったであります!」


僕たちは、音の主を追って森林へ入っていった。

〜森の中のセルリアンたち〜

森の中、そこにはセルリアンたちの隠れ家だった。

彼らの中心には、黒い髪をした少年の姿をしたセルリアンがいた。


「まーだカな、まーダかな?」


無邪気な口調で何かを待っている様子だった。


「「ピョコンピョコン…」」


そこに、小さなセルリアンがリースが詰まった箱を持って現れた。


「あっ、おかエりなさーイ。遅かッたジゃん。」

「——!!」

「えー、見ツかりそうだっタの?もー!何やっテんの?」

「———!!(焦)」


小さなセルリアンは謝っているみたいに頷くような仕草をした。


「もう、シょうがないなぁー…こレ食べて元気出しナよ?」ポーイ


彼がツリー飾りを投げ渡すと、小さなセルリアンの姿がみるみる変わった。


「おオー、クリスマスバージョンって感ジだねー。かわいっ。」

「——♪」

「…君は浮かレられるヨうな立場じゃナいでしョ?」ギロ

「——!?(泣)」

「あハははっ、ちょっト脅かシすぎたカな?」


彼はセルリアンをからかいながら楽しそうに笑っていた。


「さテ…と、そろソろリースの輝キも頂くかぁ…そコの君、ちょっと来テ!」

「——?」


彼が別の人周り大きなセルリアンを呼び出すと、リースが入った箱を持って言った。


「君にハこれだけの輝きヲあげるよ、だからこれかラ来る奴らを追っパらっちゃって!」

「「ドサドサドサ…」」


そのセルリアンに、箱いっぱいのリースを流し込むと…


「——ッ!!!」


セルリアンはドンドン大きくなり、リースの様な形になった。

そして、まるで手のようになった星の触手も現れた。


「オおー、かっこイいねぇ…じゃアこれをオマケでぇ…」


彼が取り出したのはヨウが触ると記憶を取り戻すピース、『記憶のかけら』のそれだった。

そして、取り出したピースをリース型セルリアンに埋め込んだ。


「さあ…サあ!!これも吸収しテもっと強クなれ!全てハ上質なル戦いのたメに!!

ふフふふふ…はーッはっハっは!!!!」


彼は目を見開きながら、狂ったような笑い声をあげた。


「さアてぇ…ヨウ、クリスマスプレゼントだァ…」


彼が指示をすると、リース型セルリアンは森の中へ入っていった。

指示をし終えた彼は、飾りを取り込んでないセルリアンを引き連れて何処かへ消えていった。


〜そしてヨウたちに戻る〜

「こらー!リース返せー!」

「ヨウ、大声出したら逃げられるかもしれないぞ…!?」


僕たちはリースを盗んだ犯人を追って森の中まで追ってきた。

そして、気がついたらひらけた場所に来ていた。


「あれっ、この辺木がない?」

「まるで広場みたいだな。」


…と、その時。


「「ガサガサガサガサッ!!」」


さっきの茂みの音よりも激しく、ガサガサと音がした。


「なっ…なに!?」

「セルリアンの気配がする…くるぞヨウ!!」


そして、その音の主は木をなぎ倒しながら現れた。


『グィバァァァァァアァァァァ!!!』


「デカイの出たぁ!?…ってか鳴き声独特!!」


現れたのは、リースみたいな形をしたセルリアンだった。

独特な鳴き声は、よく聞くと『クリパ』って聞こえるような声だった。

こんなところで雰囲気演出しなくていいから!


「イルミネーションの電飾がリボンに巻きついて、腕のようになっているな…」

「あれで殴られたら痛そう…」


『ギィエェェェェエェェェェ!!!!』


耳障りな奇声をあげながら、長い腕を振り下ろしてきた。

今度は割と普通だね。


「来たぞ、構えろヨウ!」

「オッケー!」


ツクヤは裏表紙に『K・N』と書かれたスケッチブックを取り出すと、中の絵を見つめた。

裏表紙のアルファベットは直人さんのイニシャル…?


「でぇやぁ!!」


そして思いっきり力を出すと、銀色の剣が実体化した。

これがツクヤの『サンドスター・リアライズ』だね!


「よーし僕も…!!さあ、来て!」


僕が合図をするとお守りが光って、本型のカードケースからカードが飛び出してきた。

そして…


「やあぁぁっ!!…って、また鎌か!!」


前回、ゴブリン型セルリアンに効かなかったあの鎌がまた出てきた。

出てくる武器は運任せ、まるでカードゲームの山札みたいだね…


「本当に大丈夫かなぁ…?よーし、行くぞ!」シャキーン!


セルリアンの腕に斬りかかると、セルリアンの右腕がざっくりとカッティングされた。


「きっ…効いたァ!?やったー!」

「さすがだな、俺も負けていられ…ないっ!!」ズバッ


ツクヤが斬りかかると、もう片方の腕も斬り落とせた。


「やったー!イェーイ!」

「おいヨウ!?油断するな!?」

「ああ、ごめんツク…痛ッ!?」


僕が油断したその時、小さなセルリアンにドカっと小突かれた。


「やったなー!?」ズバァッ!!

「割とえげつない斬られ方してないかコイツら…」


振り向きざまに斬りかかった勢いで小型セルリアンはみんなスッパスパに斬られた。


「流石だな、おかげで小さなヤツらは一瞬で片付いた。」

「へへ、それほどでも…」


と、声を掛け合っていると…



『ァガアァァァァァァッ!!!!!』ニョキニョキ…


さっき斬り落としたはずの腕が、ニョキニョキと復活していた。


「そ…そんなぁ!?」

「ダメだな、武器を変えよう。」

「わかった!さあ、来て!」


僕がカードケースを開くと、カードが一枚光に包まれて出てくる。


「よっし!ってこれは弓矢!?」


今度のカードは、他のと違っておもて面のベースカラーが紫色のカードだった。

ちなみに、いつもの奴は緑色だよ。


「これは…『星弓せいきゅう…!?』


僕が大好きなゲームで『星の弓』の名を与えられた弓のカード。

きっと強いはず!


「よし、それであのセルリアンの注意を引いてくれ!はあぁぁぁぁぁっ!!」


ツクヤも力を込めて、絵に描かれたハンマーを具現化させた。


「いくよ!えいっ!!」シュンッ


矢はセルリアンの腕の付け根に命中!!


『ンギャオォォォォォウ!?』


セルリアンは奇声をあげながら僕の方を見た。

まさにチャンスタイムってやつだよ!


「今だよ、ツクヤ!」

「覚悟しろ!はぁ!!」


『カーーーン…』


ハンマーは鐘の部分に命中!…しかし、セルリアンはまだまだ平気そうだった。


「ダメか…やっぱり弱点である石を狙わないと。」

「石…どこにあるんだぁ!?」

「さっき見た時には…後ろにもなかったな。」


嘘でしょ!?


「どうやって倒せば…」


僕があたふたしているとセルリアンが鈴の音のような鳴き声を上げた。


『シャンシャンシャンシャン!!!!』

「な…なに!?」


そして両腕を構えると…


「「ピカーーーン!!!」」


眩しい光を放ってめくらましをしてきた。


「ううっ!?」

「なにも見えない…」


…と僕たちが怯んだ隙をついてセルリアンは両腕を振り下ろして、僕たちを潰そうとしてきた。


『ゴアァァァァァァァァ!!!!』


頭がクラクラする、足が動かない…

僕たちはここで終わるの…!?

…と思ったその時…!!










「させないです…よっと!」

「一撃で…止めるッ!!」


僕たちの前に現れたのは、ホワイトライオンさんとブラックジャガーさんの白黒ネココンビだった…


「ホワイトライオンさんにブラックジャガーさん!?どうしてここがわかったの?」

「プレーリーたちから全て聞いた。俺たちの為にありがとうな…」

「はわわぁ…ここからは私たちも助太刀しますよぉ〜…」


二人が力を貸してくれれば百人力…いや、千人力くらいかも!

ようやく体制を立て直せた僕たちも二人にいてセルリアンに向かっていった。


「この一撃を…くらえ!!」「いきますよぉ〜!!」

「うおぉぉぉぉおお!!」


[け も コ ー ラ ス ♪]


そして僕も弓を思いっきり引いて…身体中のサンドスターを絞り出すように矢を放った!


「当たれーーーッ!!!」バシュッ


『ギャオォォォォォ!!!!!』


セルリアンが悲痛な声を上げると、鐘の形になった部分の中から石が垂れ下がってきた。

普通の鐘で言うと中に入ってるアレだね!


「見ろ、石があったぞ!」

「鐘の中に隠してたんですね〜」


トドメを刺したいところだけど…強力な武器だったからかちょっと力が入らなくなってきた…


「はあ…ちょっと疲れたかも…」

「なら…トドメは俺に任せろ!」


だから、トドメの一撃はツクヤに任せることにした。


「覚悟しろ、この鐘野郎!!」


ツクヤはハンマーを手放し、今度は刀を具現化した。


「行くぞ!!」


そしてセルリアンをズバババッと斬り刻んだ。

ツクヤ、すごーい…!!


『ガァァァァァァ!!!』


セルリアンはキラキラと砕け散り、リースやツリー飾りをたくさん落としていった。



「おお、リースだ…」

「こっちに箱もありますよ〜」

「よし、それに入れよう。」


そして四人で箱に詰めて、わっせわっせと図書館まで運んでいった。







〜図書館へ戻る〜

「ただいまー!」

「おや、戻ったのですか。」

「飾り付けは殆ど出来ているのですよ。」


僕は、リースの箱を助手に手渡して


「スナネコ…どこに居るか知らない?」


って聞いた。

そして、その答えを聞く前に声がした。


「ボクならここに居ますよ。」

「あっ、スナネコ!どこいってたの?」

「ひみつです…♪」


スナネコはどこに行ってたかは教えてくれなかったけど、なんだか嬉しそうにしていた。


「私たちもいるぞぉ!!」

「おっ、その勇ましい声は!!」


ヘラジカさん達平原のみんなもパーティに来た!

これは楽しそうだ!


「お前たち、最後の準備も手伝うのです。」

「長に準備をやらせるとはなんたる事、なのです!」


そう言う事で、僕たちも最後の準備を手伝って…

いよいよパーティが始まる!


「えー、待たせたな…いよいよパーティの始まりだ。」

「みんな!今日はめいっぱい楽しもう!!それじゃ行くよ?せーの…」


「「メリークリスマス!!!」」


クリスマスパーティはとても盛り上がった!

ラッキーたちが美味しいジャパリまんを沢山持ってきてくれたおかげで、お腹も大満足だった。


「ヨウ…」

「んっ、どうしたのスナネ…うおおっ!?」


呼ばれて振り返ると、サンタ風のコスタチュームに着替えたスナネコがいた。

めっちゃ似合ってる!


「すごーい!似合ってるよ!」

「ツチノコも着てるんですよ〜…ツチノコ、出てきてくださ〜い?」

「は…恥ずかしくて出て行けれるかァ!!!」


ツチノコは尻尾だけを出して物陰に隠れていた…んだけどー…


「ほらツッチー!恥ずかしがらずに…えいっ!!」ドンッ

「ア"ア"ァァァァ!!!!」


ツチノコとナミちーもサンタ風のコスチュームに着替えていた。

三人ともきれいだね…!!


「どうツクヤ、似合う?キシシッ…」

「もちろん…似合っているぞ。」


言い方は冷静だったけど、嬉しそうな様子で返していた。


「この服、どこにあったの?」

「ミーアキャットが水辺地方の建物から見つけてきた…という話だ。

ちなみにロッジに続く道の途中にあるぞ。」


へぇ…行ってみたときにほかにも無いか探してみようかな?


「スナネコ…そろそろ"アレ"の準備を…」

「わかりました。」


ん?ツチノコたち、"アレ"ってなんの話だろ?

と考えていると…


「ヨウ、ちょっとこっちへ。」

「ん?どうしたのツクヤ?」


ツクヤに連れられて、図書館前平場の真ん中に来た。


「ヨウ、これを目隠しで着けてくれ。」

「なにこれ、タオル?」

「いいと言うまで外すなよ?」


と言われたので、タオルで目隠しをして待っていることにした。

そして足音が聞こえてくると…


「よし、いいぞ。」

「よいしょっと…おお!?」


目隠しを取った僕の前にあったのは、手作り感が満載の美味しそうなケーキだった。

チョコプレート(多分ラッキーたちが持ってきた)にはちょっと頑張った感じの字で

『め り ー く り す ま す』と書かれていた。


「ヨウをビックリさせたくて、三人で作ったんです。」

「どーかな?ほんとはツクヤにもサプライズしたかったんだけどー…」

「まあそこは仕方ない、オレたちだけでは作れないからな。」


最高だよ…ホントに最高だよ!!

人生で一番嬉しいよ!!


そして、その人生最高の手作りケーキは五人で分け合って食べた…

とても美味しかった。



〜夜 地下室にて〜

「楽しかったねー!」

「そうだな、ヨウが嬉しそうで何よりだ。」


僕は布団の上でツクヤと今日の事を話していた。


「そういえばヨウ、お前飾りやリースに夢中でコレに気がつかなかったんじゃないか?」


ツクヤが見せてきたのは、パズルのピースのような…『記憶のかけら』だった。


「あーっ!?それ!」

「やっぱりな、これが記憶の『輝き』を固めた奴だろうと思ったよ。」


僕は、ツクヤからそれをもらって体に取り込んだ。


「ううっ…!!」

「大丈夫か…?」

「大丈夫…いつもの…事だから…!!」


そして意識を失った。


———————ヨウの記憶——————

『ここは…?』


ヨウは、平原のような広い場所に立っていた。

視線を遠くにやると、沢山の人が集まって楽しそうにパーティをしていた。


「「メリークリスマス!!」」


その人たちの中には、今より一回り小さな自分の姿もあった。


『行こう…』


ヨウもパーティ会場に足を運んだ。


「先生おそいなぁ…」

「大丈夫だよ、来るって言ってたじゃないか。」


昔のヨウとその父親が話をしていると、向こうから赤毛のフレンズが走ってきた。


「ごめんなさーい!おくれました!」

「あっ、先生!」

「ヨウさん、お待たせです!」


『先生…?なんのフレンズなんだろ…』




そう呟いた後、ヨウは周りを見渡した。

そうすると、向こうの方に寂しそうな様子の男の子が力なく佇んでいた。


「あら、元気ないの?お腹痛いのかしら…」


母親と思わしき黒髪の女性が心配そうにその子に話しかけていた。


「おとうさんが居ない…」

「そうだったの…ごめんね?お父さんはお仕事が忙しくて…」

「つまらない…」

「あっ!?待って!」


すごく冷めた目をして、そう呟くとどこかへ行こうとした。

そうすると…


「待ってよ(ノイズがかかる)、僕が一緒にいるから!!」


と昔のヨウがその子を呼び止めた。

しかし名前はノイズが入ってよく聞こえなかった。


「ヨウ…くん…」


『あの子…誰だろう…』


記憶の映像はここで終わった。

————————————————————

「う…うーん、終わった…?」

「気づいたかヨウ、五分くらい気を失ってたけど…」


地下室の…布団の上…

そして目の前にはツクヤがいた。


「あれを取るといつもこうなるんだよね。」

「そうか、何だか大変だな。」


うーん、気失ったらなんか疲れちゃった…


「んんー…眠い…」

「今日は色々あったしな、今日はもう寝ようぜ?」

「うん、おやすみ〜」



そして僕は眠りについた…

メリークリスマス…


〜次回へ続く〜

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