料理のお味
僕は図書館にたどり着き、そこに居た博士と助手の頼みで料理をすることになった。
そしてカレーは完成、いざ実食というところなんだ。
「「ぱくっ…」」
どうかな…?
料理って多分始めてだったけど…
「ヨ…ヨウ…?」
「これは…カレー…なのですか…?」
二人がプルプル震えながらそう聞いてきた。
「そうだけど…どうしたの?」
「あの…これなのですが…」
「正直言って…」
な…なに…?
なんかいやーな予感がするんだけど…
「「食べ物の味をしてないのです…!!」」
なっ、なんでぇ!?
おかしいな、なにが間違ってたんだろ?
「この…お米…洗ってますか?」
「そりゃもう念入りに洗ったよ!!洗剤で!!」
「「ブーッ!?!?」」
あれ…?なんかまずかった?
いや不味いのは僕の料理か!
「ヨウ…洗剤は食べ物を洗うものではないのです…」
「食器を洗うものなのです…」
そ…そうだったの!?
これはいけない…
「あと…煮るときにちゃんと混ぜていましたか…?」
「混ぜて…ないです。」
「やっぱり…底が焦げているのです。」
うわぁぁぁぁぁ!!大失敗だぁ!!
料理やったことないとはいえ…ツライです…
「がっくり…」
「まあ、そんなにショボくれる事はないのです…」
「料理ができないヒトもいるって事がわかったのでよしとするのです…」
よしとして良いのかこれ…
と、僕が落ち込んでいるとツクヤが図書館から出てきた。
「ヨウ、お前の遺伝子の解析が終わっ…て…どうしたんだそんな落ち込んで?」
「このカレー…」
「ああ…これは…マズイな、色んな意味で。」
上手いこと言ってんじゃないよぉ!?
「これ…どうしよう…」
「…と、言うと?」
「このまま誰も食べなかったら…食材が無駄になっちゃう…」
「そうか、ヨウは優しいな…さすがだぞ。」
このまま捨てるのはもったいない、僕のせいなんだけど…
「これは…サンドスターをふりかけてやればセルリアンをおびき寄せる餌になるな。」
「なるの?」
「あー、なると思うぞ!」
…と言うことなんで、カレー問題は解決した!(多分)
「まあ、何だ…料理は今度俺が教えてやるから安心しろ。
それはそうと、解析の結果も話さなきゃいけないし図書館に入るか?」
「うん、そうする。」
そして、僕はツクヤに連れられて図書館に入っていった。
〜図書館の中〜
「ここが…図書館…!!」
「あっヨウ、料理はどうだったのですかぁ?」
「大失敗だったよ…」
「ふふっ、ヨウはやっぱりドジっ子ですね。」
スナネコにドジっ子と言われたが、不思議なことに貶されてるような気はしなかった。
「あっ、ツチノコは?」
「あっちで『かへい』の本を読んでますよ。」
スナネコが指差した先には、貨幣の資料を読んで非常にエキサイティングしているツチノコがいた。
「おおぉぉぉぉ!?こんな貨幣見たことないぞぉぉぉ!?」
「ツッチー、図書館で騒いじゃダメだよ!」
「あっ…いやー、すまん…」
ナミちーにめちゃ注意されていた、図書館では静かにしましょう。
「ヨウ、こっちだ。」
ツクヤが、下り階段の前で待っていた。
「こっちには何があるの?」
「図書館の地下室だ。俺の研究室で、俺が居候してる部屋でもあるんだ。」ガチャ
ドアを開けると…なんか凄そうな機械が置いてあったり、よくわからない式が書いてある紙なんかがあった。
「で、これが遺伝子を解析する機械だ。」
「うわぁ〜、何書いてあるのかわかんない!」
かなりストレートに言った。
「大丈夫だ、俺が説明する。」
ツクヤは機械を操作しながらそう言った。
モニターの表示が変わった。
「まず、これが普通のヒトの遺伝子の作り…そしてこれがフレンズの遺伝子の作りだ。
フレンズとヒトのハーフである俺の遺伝子は、この二種類の遺伝子の特徴のどちらもあって…」
「ほほぉ、なんとなくわかる…」
またモニターの表示が変わり、ツクヤが説明する。
「そしてこれがヨウ、お前の遺伝子の作りだ。まあ簡単に言うと…
お前の中にもフレンズの遺伝子が入っている。」
え…!?マジで…?
こりゃまたビックリターミネーター…
「だが…まだ資料が少なすぎてなんのフレンズとのハーフかはわからないんだ。」
「僕が…ハーフだったんだ…」
だから僕は体の中にサンドスターを蓄えておけるんだね、納得…
「まあ、俺はお仲間が居てくれて嬉しいぞ?」
間違いない、ジャパリパークの住人はみんな優しい。
優しさの塊じゃあ…
「そうだヨウ、せっかく図書館にきたことだし本でも読むか?」
「そうだね、僕も読みたい!」
そして僕たちは地下室から上へ上がっていった。
「どうだ、気になる本とかあるか?」
「うーん…みんな難しい本ばっかだなぁ…」
「それならあっちに漫画もあるぞ?」
漫画もあるのか、さすがだぞ!
「すごい、ジャパリパークを題材にした漫画がいっぱい…」
どの漫画の主人公もフレンズと仲良くなったり敵と戦ったり、悩んだりしながら成長していく…いい作品だった。
「ん…この漫画は?」
僕が手にとったのは、ほかの漫画よりも紙質が新しい感じがする漫画だった。
その漫画は、文字は一切ないけど登場人物が何を言っているか想像するのが楽しい漫画だった。
「ツクヤ、これなんて漫画?」
「これか、『ホラー探偵ギロギロ』だな。ロッジにいるタイリク姉さんが描いてる漫画で…」
「ツクヤってお姉さんいるの?」
「まあ…厳密には血の繋がりは無いが同族だから俺がそう呼ばせてもらってるだけ、だな。」
この漫画の作者…か、気になるね!
「えーっと、そのロッジっていうのはどこに?」
「森林地方から雪山地方に行って…雪山地方を降りたらロッジがある。
雪山地方をすっ飛ばして行くルートもあるが、Jホイール以外では難しいだろうな。」
そうかぁ…
「結構キツめの旅になるかもしれないし一週間くらい準備した方がいいかも…?」
「そうだな、そうした方がいいかもしれない。」
ロッジへ行くまでの計画を2人で話し合っていると、博士と助手が来て言った。
「2人とも、もうすぐ夜なのです。」
「夜ご飯にするのです。」
えっ!?もうそんな時間…?
図書館じゅうの漫画を読んでいたら夜になっちゃったようだ。
「そうか、じゃあ夜ご飯は俺が…」
「待って…僕も行く!」
あんな酷いものを作って、それで終わりというのは満足出来ない…
「…わかった、俺がしっかり教えてやるよ。ヨウは意外と努力家なんだな、流石だぞ。」
「よろしくお願いします、ツクヤ先生!!なんちゃって…」
冗談も交えつつ、2人で料理場までやってきた。
料理場には、スナネコとツチノコとナミちーが待ち構えていた。
「博士から聞きました、ボクたちもりょうりの練習に付き合います。」
「お前はやり方を知らないだけだと思う、頑張ろうな!」
「ヨウ、自分から練習したいって?えらいねぇ…シシッ…」
みんなァ…
本当に僕のパーク暮らしはフレンズたちの優しさによって救われてるよね、間違いない。
「よし、今回はクリームシチューでも作るか。」
ツクヤの提案でクリームシチューを作ることになった!
「いいか、野菜の切り方はこうだ。指を切らないように手を丸くして…」
「おお、猫の手みたい」
「そうだ猫の手だ、いいぞもっと切れ…」
ツクヤ、教え方上手いなぁ…
医者より家庭科の先生の方があったりして…いや、医者の方が合うか…?
「米はこうやって洗うんだ、洗剤はいらないぞ…」
「やってみますね〜」ジャバジャバ
「スナネコ上手いなぁ、料理向いてるかも?」
「ヨッ…ヨウ、指の間から米が流れてるぞ…」
「うわぁ!?ツチノコ助けて!?」
こうしてお米も洗って…
「と…あっ、しまったミルクがない。」
「おーい、ラッキー?」
僕がラッキーを呼ぶと、ピョコンピョコンとやってきた。
「どうしたんダイ?ヨウ、ツクヤ。」
「とりあえず…ミルクでも貰おうか。」
「わかっタ、ちょっと待ってネ。」
ラッキーにミルクを取りに行ってもらってる間、具材を丁寧に煮込んでいた。
「いいか、火は強ければいいという訳ではなくて…って聞いてるのか?」
「ああ、ごめん!向こうの二人が気になって…」
僕が気になっていたのは、鍋からめっちゃ離れたところでこっちを見てるスナネコとナミちーだった。
「二人ともどうしたの…?」
「なんかよくわからないけど…その火が危ない気がして…」
「本能が近づくなと言っているんです。」
あっ、聞いたことある。
動物って火が苦手なんだっけ…?
「ツチノコは平気なの?」
「俺か?まあ…別になんともないな。」
ツチノコはUMAだからそこまで苦手って訳でもないのかな?
…と、思っていたら向こうからラッキーが来た。
「ミルク、持ってきたヨ。」
「ありがとう、ラッキー。」
僕はミルクを受け取り、鍋に注いだ。
「大丈夫そうかぁ…?」
「上手いぞヨウ、注いだらゆっくりと混ぜるんだ。」
そして丁寧にぐるぐる混ぜて…完成ぃ!!
「おまたせ!」
「ほ…本当に大丈夫なのですか…?」
「ど…どうなのですか…?」
「大丈夫だ、俺たちがみっちり教えたからな。」
さあ、今度こそ満足できるはずだ!
博士たちはおそるおそる口に運んだ。
「「ぱくっ…」」
どうだ…?どうなんだ…?
「お…美味しいのです…」
「これがシチューですか、味は違いますが少しカレーに似ていますね…」
「こっちに米もあるぞ。」
ツクヤがお米をよそって来た。
僕はシチューライスにするのが好き。
「お米も今回はちゃんと洗ってありますね。」
まあ、ツクヤ直伝で洗ったからね。
ツクヤ先生さまさまなのです。
「ボクたちもお腹空きましたね〜」
「お前たちの分も持ってきたぞ。」
「あっ、手伝うよツッチー。」
フレンズ三人組もやってきて、みんなで晩御飯にした。
「「いただきまーす!!」」
みんなで作ったご飯はとても美味しかった。
満足…
「ヨウ、練習すればこんなに上手になるんだな…」
「ヨウの事、見直しましたよ〜。」
「やるじゃーん、ヨウ!」
「ありがとう、三人とも…」
美味しいシチューはすぐに無くなっていた。
大盛況でめっちゃ嬉しいよ…
「ふう、美味しかったのです。」
「そういえばヨウ、この後はどうするのです?」
「ロッジに行きたいから一週間くらい準備を…でも寝るところが問題だね。」
そう、スタッフカーの中で寝るわけにもいかないし…
「俺の部屋にもう一つ布団があったはずだからそれを使うと良い。」
「ほんと!?ありがとう!」
やっぱこの人聖人すぎるよ!
優しさの塊どころか石垣。
ちょっと自分でも何言ってるかわからないけど、
「ボクたちはどこで寝ましょうかぁ…(あくび)」
「スナちゃんたちは私が寝てるスペースで寝よう。」
「世話になるな…」
寝る場所問題もこれで解決、めでたしめでたし…
「ではお前たち…そろそろ寝るのです。」
「我々はもう少し起きているので。」
「はーい。」
〜地下室〜
綺麗に片付いた研究室の奥に、申し訳程度の小部屋があった。
そして布団はそこにあった。
「おー、この布団ヒマワリ柄だ。」
「ヨウに似合いそうだな。」
そしてツクヤは星柄だった。
元はフレンズ用だったのかどちらも可愛らしいデザインだった。
「布団の間隔はこれくらいでいいか?」
「そうだねー」
布団は人一人分くらいの間隔になっている。
なんか兄弟の部屋みたいだね。
「うぉあ…あったかぁ…」
「それは良かった…」
布団に潜って、しばらく寝つけなかったからツクヤと布団に潜ったまま話をしていた。
「ツクヤってさ…すごいなんでも出来るよね…」
「そう言って貰えて嬉しいな。だけど俺だって出来ないことはあるぞ?
例えば…俺は空は飛べない。」
「はははっ!それ僕もできないよ!」
ツクヤってクールに見えるけど、意外と面白いジョークを言うよねー。
「悪い悪い…そうだな、真面目に言うと俺はダンスは苦手だな。」
「ええっ、そうなんだ?僕出来るよー!ほら!」バタバタ
「おぉい、布団の中で暴れるなよ?ホコリがすごい…」
そんなような事を話していたら、いつのまにか寝付いていた…
〜次回に続く〜
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