全員何かの天才

「「美味しかったー!」」


建築作業も大体終わり、僕たちはみんなでごはん!を食べている。


「それにしてもさ、ビーバーさんは釘を完璧に使いこなしてるし…」

「えへへ…ミーアさんのおかげッスよ…」

「プレーリーさんとスナネコはナイス連携で砂場を整備したり、遊具を立てるための整地とかも完璧だしすごいよね!」

「お褒めの言葉、感謝であります!」

「そうですかぁ?ちょっと嬉しいですね。」


二人とも本当に建築の天才って感じで尊敬するよホント…


「そして…ミーア監督やツチノコは一人一人に合った指示をすぐに出せて、道具の使い方まですごく詳しいし…本当に凄いと思う。」

「照れますわね、ありがとうございます!」

「悪い気はしないな。」


僕も何か活躍出来たのだろうか?

何も出来てないんじゃ…?


「あっ、でもヨウさんもあの複雑なジャングルジムをあんな綺麗に組み立てられたのってすごいと思うッス!」

「そうでありますな!考えて動けるヒトだからこその技でありますな!」


この二人心読めるんじゃないかと思うほどのちょうどいいタイミング…今日僕嬉しさの感動しかしてない気がする。


「フレンズもあなたも、それぞれに得意な事がありますの!つまり全員が何かの天才なんですのよ。」


全員が何かの天才…か、すっごい心に響く言葉だ。

座右の銘にしちゃおうかな?


「へへっ…じゃあもう一個くらい作っちゃおうかな?うおぉぉぉぉ!!」


褒められて舞い上がった僕はさらに気合を入れ、もっと良いものを作っちゃおうって気分になったんだけど…


〜数十分後〜

「はぎゃあぁぁぁぁぁ!!!!木材が崩れてくるゥゥ!!!」


こうなりました。

ハッハッハ笑うしかない。


「何やってんだアイツ…褒められて舞い上がったか?」

「なんか…かわいいですね。」

「か…かわいい…か?」


〜ヨウ救出〜

「大丈夫ですの?無理してはいけませんわよ。」

「図書館にあった『よんこままんが』みたいな綺麗なオチだったであります!」

「ホメラレテルキガシナイ(棒)」


しばらくは痛かったけど、割と早く痛みは引いた。

そういやジャパリパークにも漫画はあるのかな。


「やれやれ、本当に危なっかしいなお前は。」

「常に面白いから飽きないですねー」

「ごめん、調子に乗って…」


迷惑かけちゃったかな…?

トラブルメーカーな僕についてきてくれる二人には感謝しかない。


「うんうん…よし!オッケーッスね!」


ビーバーさんが遊具をチェックし始めた。


「みなさん、手伝ってくれて感謝ッス!お陰でなかなかいい公園ができそうッス!」

「やったでありますなぁ!!我々のチームワークの勝利であります!」

「ヨウさんたち、後は私たちに任せてほしいですの!今日は本当に助かったですわ!」


役に立てたのなら光栄だよ、監督。

ミーア監督が感謝の言葉を言った後、キラキラしたものを二個手渡してくれた。


「手伝ってくれた感謝の気持ち、ですの!何に使うかはわからないけど…きっと珍しいものですわ!」

「お礼なんてそんな、僕は木材を…んん?」


よく見たらそれは『パズルのピース』のような形をしていた。

もしや…!?


「ちょっと聞いていい?」

「なんですの?」

「これってどこで手に入れたの…?」

「珍しく中型のセルリアンが出て…それを倒した時に出てきましたの…もしかして、気に入りませんでした…?」

「とんでもない!これはきっと僕にとって大切なものだよ!」


間違いない、これも『記憶のカケラ』だ…


「そういえば、それを持っていたセルリアンは強かったッスね…」

「先っぽが尖ったバスみたいな形だったでありますなぁ!三人がかりでやっと倒せたものでありますし…」


なぜかはわからないけど、強いセルリアンはこのカケラを持っているのかな?


「じゃあ…もらうね?」


僕が手に取った瞬間、カケラは光になって僕の中へ吸い込まれていった。


「ヴッ…!!また…か…!!」

「またアレですかぁ…?」

「どうしたんですの!?」


フレンズたちの騒ぎ声がだんだん遠のいていく…

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

ヨウの前に、この前見たよりも一回り大きな子供がいた。

少し大きくなった昔のヨウだろう。

昔のヨウは唐突に駆け出すと、自分よりも背の高い人影に話しかけていた。


「ねえ!お姉さんって強い?」

「ふふ、どうかな?」


その人影には、耳と尻尾が付いていた。

フレンズだ。


「じゃあ僕とちからくらべしよー!」

「ええ!?危ないよ?いくらバリアがあっても…」

「平気だよ!だって僕は世界一強いパパの子供だから!」


そんなことを言っていた。


(昔の…僕…)


ヨウ本人も、この身の程しらずにはちょっとちょっと呆れていた。自分なのに。


「こら陽!フレンズさんに迷惑かけちゃダメって言っただろう!」

「あっ…パパ…」

「言うこと聞かないわるーい子はおやつ抜きにしちゃうぞ?」

「はわぁ…」


父親に引っ張られて昔のヨウは連行されていった。


『ピタッ…』


突然時が止まり、さながら録画映像の早送りのように場面が移った。


(ここは…僕の家…?)


ヨウが歩みを進めると、昔のヨウが扉の隙間から何かを覗いていた。


(僕も一緒に見ていい?…って聞こえないか。)


ヨウも一緒になって覗くと、二人の大人が話していた。


「はー、やれやれ。あの血の気?の濃さは一体誰に似たんだろうな?」

「ふふ、昔のあなたにそっくりだよ?」

「えっ、そうかぁ?ハッハッハ…」


片方はヨウの父親らしき人物…

もう片方は…


(お母さん…?)


顔はわからないものの、ヨウにも簡単に想像がついた。

母親はヨウと同じ金髪の髪色をしていた。


(外国人…?それともハーフ?)


ヨウなりに必死に考察したが、答えは結局出ずじまいだった。


「でな、ヨウを誰か強いフレンズに弟子入りさせて『力を持つと言うこと』を教えてもらおうと思うんだ、キミはどう思う?」

「それなら私ぴったりなフレンズ知ってるよ、チームをまとめる才能も戦闘スキルも高い…まさにいい先生になるんじゃないかな?」


(弟子入り…?先生…?)


「おお、教えてくれ!どんなフレンズだ?明日お願いに行ってくるからさ。」

「わかった、その子の名前は…」


声はここで途切れた。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

「ヨ…!」


今度はなに…?


「ヨウ!起きろォ!!」

「はわぁ!?」

「大丈夫ッスか?しばらく気絶してたッスけど…」


また記憶の映像を見ていた…

直前の頭痛は以前より弱くなっていた。

多分だけど、流れ込んでくる記憶に対して脳ミソが少しだけ耐性をつけたのかも。


「昨日と比べると少し短かったですね。」

「ええっ?そうなの?」


あんな長い記憶を見てるんだから、大分経ってるんじゃとは思ってたけどむしろ短くなっていたのか。


「大丈夫でありますかァ!?この指何本に見えるでありますかァ!?」指ブンブン

「一本だね、ありがとう…」


今日会ったばっかの僕に対してこんなに心配してくれるなんてね、フレンズっていうのは優しいんだな…


「それより…図書館行かなくちゃ…」

「図書館ッスか?なら途中でへいげんに行くと良いッスよ!なんだか面白そうな遊びをしていたッス!」


へえ!それは是非とも参加したい!


「教えてくれてありがとう!寄って行く!」

「寄り道していて良いのか?」

「旅は寄り道した方が楽しいですよ〜」

「わかるぅ〜!」


さてと…それじゃあ!


「三人ともありがとう!やる事が終わったら遊びに来るよ!」

「またッス!」

「またであります!」

「また何かあったら相談してほしいですの!」


三人の見送りを聞いた後、僕はラッキーに指示を出した。


「ラッキー、平原に寄ってもいい?」

「いいヨ。ルートを作成中…」

「(やっぱりヒトなんだな…絶滅していなかったのか。)」

「ルート作成完了、出発するヨ。」



『ブロロロロロロ…』


スタッフカーは勢いよく発進した、今度はどんなフレンズに会えるのかな?

すごく楽しみだ!


➖➖➖湖畔を見下ろせる高台➖➖➖➖

そんなヨウたちの様子を眺めている人影がいた。


「へエー、へいゲんに行くンだ…」


その声は、『幼くもどこか大人びた感じの男の子』のような声だった。


「それじゃあ…ボクのオトモダチを先回りさせよっと!」


それが『オトモダチ』と呼ぶのは…


「ねえ、へイげんに行ってテくれなイ?」

『ウルルルル…』


それが話しかけたのはセルリアンだった。

セルリアンたちは独特の声を発しながら、近道を通って平原に向かった。


「ふフふっ…あの子はボクのオトモダチとどっチが強いのカなぁ…」


それは不気味な笑顔を浮かべながら去っていった。

➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖➖

「すごいぞォォォッ!!あれ見ろ、城だァ!!」

「うん、城だね。」

「あれはへいげんちほーのシンボル的なアトラクションで、昔はヒトを楽しませるためにわざわざ建てられたんだ!多分だが正式に…ハッ…!?」


ツチノコって、好きなものの話になると雄弁になるタイプ?

かわいいかよ。


「ん…ゲフン、とにかく…正式に使われる前にヒトが居なくなってフレンズの住処になったんだろうな…」


『ブロロロロロ…』


そんな話をよそに音を立てて走るスタッフカー。


『キュルルウッ!!』


スタッフカーが唐突に急ブレーキをかけた!?

何があったんだ!?


「お前たち、どこから来た?」

「砂漠。」「砂漠です。」「砂漠だ。」


スタッフカーを止めさせのは、角が生えた二人組のフレンズだった。

片方は物凄い筋肉をしていた。

肩にちっちゃいスタッフカー乗せてんのかい!!


「そうか…ふんふん、なるほど…」


そう言いながら僕たちをまじまじと見る二人…

そしてこう切り出した。


「お前、私たちの軍の臨時メンバーにならないか?」


「「ええ!?」」


〜次回へ続く〜

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