さあ出かけよう、砂漠を抜けて

「お前ら、朝だぞ!」

「ん…ああ、おはようございます…」

「うーん…もう少し寝かせて…」


まだもう少し寝てていいでしょ…?


「お き ろ ォ ! !」

「ウワァァァァァ!?」


ツチノコの怒鳴り声でバッチリ目が覚めた。

なんちゅう目覚めだ。


「図書館に行くんだろ?すぐに支度するぞ。」

「としょかん、楽しみですねー。」


僕もツチノコに言われて出発する支度をした。

とは言っても研究施設でスナネコが見つけてきたカタカケカバンにジャパリまんや僕の大事なカードをしまっただけなんだけど。


「ヨウ!」


ツチノコが僕を呼んだ後、ペンダントのようなものを手渡してきた。

太陽のような形をしていて、真ん中には金色の宝石が埋め込まれていた。


「早めに起きてオレの住処に戻った時にオレのコレクションの中にあった奴だ、旅のお守りに着けてけ。」

「ありがとう!なんか綺麗だね!」

「なんですかそれ?」

「お守りだって、綺麗でしょー?」

「はい…」


冷めるの早すぎないかこの子!?


「相変わらず冷めるの早いなお前」

「スナネコって冷めるのこんな早いの!?」


でもまあそれはそこまで追求する程でもないとして…


「よし、準備できたな。」

「図書館までどうやって行くの?まさか徒歩?」

「安心しろ、ちゃんと乗り物が…おっ、丁度いいところに」


ツチノコが遠くを見ると、ぬいぐるみみたいな生き物?がピョコピョコと歩いていた。


「なんだこのぬいぐるみ?」

「ぬいぐるみじゃない、ラッキービーストだ。パークガイドロボットとか言ったな。」


へぇー、こんなかわいらしい見た目だけどロボットなんだぁ…

暴走しないよね…?


「はじめましテ、僕はラッキービーストダヨ。君の名前を教えてネ」

「暁陽、ヨウって呼んで!」

「わかったよ、ヨウ。君は何が見たイ?」

「図書館に行きたんだけどー…案内してくれる?」

「わかった、図書館だネ?図書館までのルートを検索中…」


やっぱロボットってスゴイな…

人類の夢…って感じがする。

そしてけっこうカワイイ!


「おおー、ボスが喋ってるぅ!」

「ボス?」


親分?それともコーヒーの話?


「一部のフレンズはスナネコみたいにその呼び方で呼ぶな。なぜかは知らないけど…」


へぇー…なんでなんだろうなぁ…?


「あったヨ、ここから少し離れたところにあるネ。徒歩で行くのはオススメできないヨ。」

「だよね…もしかして、乗り物とか呼べる?」

「近くの乗り物を検索中…」


待ってる間、スナネコとジャンケンをして遊んでたけど…

二回くらいやってお互いに飽きた。

途中からそもそもなんでジャンケンなのかって話になっていた。


「乗り物の近くにいる個体に接続…」


ラッキーって他にもいるのかな?


「接続完了、動けるスタッフカーがあったみたいダヨ。」

「「すたっふかぁ?」」


スナネコと僕の質問にはツチノコが答えた。


「昔使われていたパークスタッフ用の乗り物らしい…だが動ける奴があるなんて知らなかったな。」

「そうなの?誰かが修理したとか?」

「そんな器用な事が出来る奴なんてかばんくらいしかいない、多分動けるものがどこかにあったんだろ。」


おお、またその人物か…

乗り物待ってる間にちょっと聞いとくか。


「”かばん”って人は今どこにいるの?」

「ヒトの住んでいるところを探しに行く…って言って島の外に旅に出てるな。」

「『俺より賢い奴に会いに行く…』的な?」

「…?」

「ごめんやっぱ忘れて。」


僕がそんなくだらない事を言っていると遠くから車の音がしてきた。


「おっ、来たな」


走ってきたのは、窓ガラスのない青い車だった。

これがスタッフカーって奴か。


「あれ…?運転席誰も居なくない?」

「僕たちラッキービーストは乗り物にリンクすれバ自動運転ができるんダ。」


科学の力ってすげー…

なんて感心していると二匹のラッキーが互いに向き合ってピコピコ音を立てていた。


「ラッキーは何してるの?」

「多分運転を代わらせてもらうように言っているんじゃないか?」


音が止まり、さっきまで車にいたラッキーがピョコピョコと降りてどこかへ行った。


「さあ、出発するヨ。」


ラッキーが乗り込むと車は『ブロロロロ…』と音を立てた。

そんでもって僕たちも車に乗った。


「図書館目指して〜出発ゥ〜!!」

「お〜。」

「まったく、元気だなコイツら…」


こうして僕たちの旅が始まった…!!


➖➖➖➖➖10分後➖➖➖➖➖➖➖

「暇ぁぁぁ!!!」

「お前も飽きるの早いな!?」


だって…どっち向いても砂、砂、砂ァ…

そりゃ景色にも飽きてくるよぉ…


「もうすぐ隣のちほーだから我慢しろよ…」

「はーい。」


なんかツチノコって保護者感があると思った。


「あっ、二人とも見てください。さばくちのーの出口が見えましたよー。」

「あっ、ホントだ!…いやー良かったぁ。」


いよいよ新しいものが見られると思うとかなりワクワクしてきた…!!


➖➖➖➖➖こはんちほー➖➖➖➖➖

「おおー!すごーい!!ねえラッキー、ここはどういう場所?」

「ここは『湖畔地方』ダヨ。湖の近くに住んでいる動物のフレンズがたくさんいるヨ。」


なるほどー、流石はガイドロボ…


「この辺りは程よい暖かさデ、樹木も豊かダヨ。見晴らしも良くて、ドライブにもおすすめダヨ。」

「ドゥラーイブ…」

「なんだその発音…!?」

「あっ、いや何でもないよ…」


ドライブかー、僕も車運転できるようになればなぁ…

そうだ、いいこと思いついた!


「ラッキー、ちょっとだけ運転させて?」

「…わかったヨ、気をつけてネ。」


おおぉ…おそらく人生初ハンドル、なんかすっごい感度…!!


「な…なんか嫌な予感しかしないのは俺だけか…?」

「僕もですよ…」


めっちゃ楽しい…!!

これめちゃくちゃ楽しい…!!


「ノリノリでいっちゃうぜ〜!なんちゃって!たーのしー!」

「おい!ちゃんと前見ろ…!!」


この時、僕は楽しくなりすぎて前をちゃんと見ていなかった…


『ドシャーン!!!』


「「あっ…」」


ちゃんと前を見ていなかった僕は、不幸にも積み上げてあった木材に衝突してしまう…


〜次回に続く〜

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る