官能少年

【青売春】

求めているのは自由を12時ホテル前自販機に立つ15

親はとうに捨てた人形に興味はない弱気野獣を

ヘッドライト光る夜を影が投影しやって来る皇女

「よろしくね」と突き刺さる嘲笑、うなずく失笑

ベッドメイク施された化粧と芽吹き始める落羽松

シルク気流に乗る胡蝶重なる輪郭で口紅の口写されていく


蕾を殺して 嫌う官能少年

治安を妨げ悲しみを体で支払ってる

魂を汚して 消える官能少年

人と違って死んでくれと思い願っている

彼女の首元を噛んだせめて社会の抵抗だった


【思買春】

教室の窓辺一番黒い青年は白い笑顔を被っている

純白なんて夢物語反吐吐く哀主義者は夜、教室へと白猫を誘う

君の本能に恋をしたって嘘ついて体を求め

性感帯を液だらけの中でずっと探してる

いい人呼ばわりされた罰だって喘ぐ声に

涙があっても、純白を信じている馬鹿に言う筋合いはない

棘ささる子宮、叫ぶ口に乾いたハンカチを詰め込み

哀楽の境目ジェットコースター駆け抜けていく


滑ってねぇ 動いてねぇ

返品不可のダッチワイフ

いつもの授業場所が感情の交差点へと変わっていく

許してねぇ 愛してねぇ

諸行無常のバックライフ

人生の心に傷をつけた

僕と一緒が欲しかった

汚点同士恋人になってよ


【愛哀春】

駅南口雑居ビルに一室構えた秘密基地

後輩達と俺への当てつける場所だった

ラッキースターに火をつけて前かがみに窓に顔をそらす

ふと、かわいい後輩が連れてきた女が俺に言った

「私を女にしてください」ってあまりにもくだらねぇな

帰りたくない男どもを退けて、二人になった5畳半

2年前中古で買ったアウトベッドに華奢な体を放り投げ

前髪上ゲてニコチン口の乾きを唇で潤した


ベッドは今取り込み中

アロマオイルのバニラが鼻をうるさくして

高速道路の制限表示無視すれば

速度を落として走る120km

ランランランって童話で学ぶサイコパス的感情

絵本にスプレーで落書きした気分だ

そんな気分だろう、初めてっていうのは

生きている証を摘み取って

嬉しがるだけだ

官能少年、現代青年、官能少年、現代新参者、官能少年、現代の若者よ

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