第50話
遠い未来。宇宙に進出して久しい人類の科学技術は、とうとう太陽系第四惑星・火星のテラフォーミングを視野に入れる段階にまで到達しようとしていた。
西暦2132年5月14日。一機の有人ロケットが、初めて火星への着陸へと成功した。
「いよいよ来たな」
荒れた大陸の片隅で、人類で初めて火星の地を踏んだ宇宙飛行士が感慨深げに呟く。
「ここから、人類の新しい一歩が始まるんですね」
もう一人の宇宙飛行士が、荒野の向こうに聳えるオリンポス山を見上げる。
「ああ、さっそく地質調査といこう」
未だ『命』の芽吹かぬ星を、二人の宇宙飛行士は歩き始める。
「……おい、あれは何だ?」
調査をしながらしばらく歩き続けたころ、一人が声をあげた。
「何でしょう。大きな……石板?」
二人の前には、3m近くはありそうな、黒く輝く大きな石板が立っていた。
「正確な長方形をしていますね。とても自然物とは思えない」
「どうして、無人の惑星の真ん中にこんなものが」
「何でしょう。黒く輝く巨大な石板。昔、どこかで見たような……」
「奇遇だな、俺もだ。……えっ? ひょっとして、あの映画の……」
「えぇっ!? まっ、まさか!!」
二人は顔を見合わせた。
突如として月面に現れた、黒光りする石板。
恐る恐る触れ、たちまち進化する猿。
謎のモノリス。
二人とも、宇宙飛行士を目指すほど星空に魅せられた男。『2001年宇宙の旅』を知らないわけがない。
「し、信じられん。まさか、あの映画は史実だったというのか……」
「触ってみますか?」
「いや、さすがにマズいだろう。何が起こるか分からん。とりあえず写真に撮って地球に持ち帰り、技術者に鑑定してもらうべきだ」
「そうですね。……ん? よく見ると、表面に何かが彫られていますよ。……どうやら、何らかの文字が書かれているようです」
「なんだと。では、やはりこのモノリスは地球外の知的生命体が残したもの……」
「解読機にかけてみましょうか」
「うむ。読むだけならば、危険な現象は起こらないだろう」
二人は最先端の自動解読機を取り出し、恐る恐る謎のモノリスに近づける。
そこには、二人の予想を超える文章が書かれていた……。
『ここまで全てのお話を読んで頂いた方、あるいはとりあえず最新話であるここをフライングで読んで頂いている方。皆さまありがとうございます。
2019年11月1日より、一日一本のお話を毎日投稿、全100話を目指して始まったしょうもない企画ですが、この折り返しの50話をもって、ちょっと早めの年末年始休暇を頂戴したく思います。
理由は幾つかあります。
①ネタを出すのが苦しくなってきた
完全なネタ切れではないのですが、さすがに引き出しが少なくなってきました。
この50日間、ほとんど小説を読んでいません。アウトプットばかりしすぎてインプットが足りません。ネタ補充の期間が必要となりました。
②本業がクソ忙しい
年末年始が凄く忙しい業種に勤めております。
今から一月上旬にかけて、お話作りに充てられる時間が極端に少なくなります。
③実家で深刻な事件が起こった
連日、家族会議に呼びつけられています。お話を考える時間がますます足りません。
④会社で浮き始めた
忘年会のシーズンです。仕事終わり、よく上司や同僚から飲み会へのお誘いが来ますが、先月からずっと「あ、今日はちょっと用事が……」と断っています。
「あ、今日は帰ってしょうもないショートショート書かなきゃいけないんで」。
よく考えてみると、狂っています。
⑤たぶん寿命を縮めている
『最低でも10時間は働いたあと帰宅し、3~4時間かけてお話を一本投稿し、投稿直後のハイテンション状態ではすぐに寝付けないので睡眠薬がわりにビールと焼酎を一気飲みして最大5時間眠る』という生活を続けた結果、肌がガサガサになり口元にヘルペスができ仕事中に謎の動悸がする身体になりました。これはたぶん死ぬやつです。死ぬのは怖いのです。
⑥文章がどんどん雑になっていくのを自覚してしまった
これが一番キツイ理由です。どんなに帰宅が遅れても24時までには投稿しなければならないという焦りから、適当な文章を書き始めてしまいました。過去に書いた話を読み返して「ここはもっとしょうもない表現ができただろ! なに真面目な描写してんだ!」と自己嫌悪に陥ることが多くなりました。これはいけません。自分の中に生まれた『物語』に対して、たいへん失礼なことです。
以上が主な理由です。他にも『本業で凡ミスが増えてきた』『50日で13万字書けるなら長編一本いけたなーとか考えると時間の使い方に疑問を覚えてきた』『気分転換に他の企画を始めてみることにした』などなど小さな理由もたくさんあり、今日から来年の一月までお休みをいただき、再開後も一日一本ではなく数日に一本の不定期更新とさせていただく所存であります。毎日最新話を追ってくださっていた方々には大変申し訳ありませんがご了承ください。
長々と言い訳を連ねてきましたが、要は心が折れちゃったという話です。
「星新一が1000本ぐらい書いたんなら、僕でも100本ぐらいイケるんじゃね?」と考えた11月1日の自分を絞め殺してやりたい。
星先生クラスの天才が生涯を掛けてやっと1000本強なんだよ! お前みたいなしょうもない凡夫が3カ月ちょいで100本も書けるわけあるか!
というわけで、このしょうもない企画は来年まで一旦休業とさせて頂きます。
再開後も色々と寄り道するかもしれませんが、100話までは必ず続けますので、時間が空いた時に読んで頂ければ幸いです。
それでは皆さま、よいお年を。
天宮伊佐 拝』
「何これ」
「しょうもな」
二人の宇宙飛行士は謎のモノリスを蹴り飛ばした。
しょうもないモノリスは粉々に砕け散った。
2020年も宜しくお願い致します。
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