第4話 深見くんと犬

 ある日の学校の休み時間。


 深見くんが校庭を走っていました。


 速い!

 

 オリンピック選手を彷彿ほうふつとさせる速さと、美しいフォームの走り姿です。


 すぐ後ろから子犬が5匹、深見くんを追いかけ回しています。


 子犬はどこから来たのかな〜?


 時々追いついた子犬が深見くんのスネに噛みついたりじゃれついています。


 そのうち深見くんに子犬が次々と飛びついて、とうとう彼は走れなくなりました。


 校庭にうずくまる深見くんにさらなる子犬の攻撃が!


 5匹の子犬が深見くんを舐めたり甘噛みしたり、彼の頭に乗ったりして好き放題を始めました。


 私は教室の窓枠に肘をつきながら、呑気のんきに深見くんを見物しています。


「助けに行こうかな?」


 我ながら間延びした声が出ました。


「借りは返さないとね」


 この間、深見くんは私にパンを分けてくれたので助けに行くことにしました。


 一食の恩がありますから。


 あー、深見くんは(彼氏としては)ないわ〜。


 走ってる姿はカッコいいのに。


 やれやれ。





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