第3話 深見くんとお出掛け
仲良し男女グループでお出掛けすることになりました。
最寄り駅が違うので、みんなが集まりやすい駅のホームで待ち合わせていました。
「まだかよ、深見は」
深見くん以外はとっくに来て集まっています。
待ち合わせ時刻ギリギリです。
「あっ来たんじゃね?」
私たちの目の前には深見くんの乗った電車が止まりました。
深見くんは洗練されたファッションセンスの持ち主だったようです。
まるでモデルみたい。
少しだけドキッとしました。
停車時間は短く、電車のベルがホームに鳴り響きます。
「何してんだよ? 深見ぃ?」
深見くんはなかなか降りて来ません。
どうしたんだろう?
涙目でこちらを見ている気がします。
ポーカーフェイスなので表情は分かりづらいですが、困っているようです。
プシューッ。
電車のドアが閉まりました。
ガタタン……ガタタン……。
深見くんは電車に乗ったまま。
「深見くん、どうしたのかな?」
過ぎ去る電車の窓から見えました。
深見くんの横に、赤ちゃんをおんぶしている
赤ちゃんはにこにこと可愛く笑いながら、深見くんの素敵なジャケットを掴んで引っ張って喜んでいるのが見えました。
そんな様子に前を向いているお父さんは気づいていないようでした。
「あの、ちょっとすいませんが」なんて、ヘタレな深見くんがあのお父さんに向かって言えそうにもありませんね。
深見くんは私たちの元に、いつになったら戻って来れるのでしょうか?
天使のような赤ちゃんは、握りしめる深見くんの服をいつ離してくれるのか。
私たちは一時間近く深見くんを待ち続けていました。
あー、深見くんはやっぱり(彼氏としては)ないわ。
待ち疲れました。
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