第25話 アークVSミラ&レース

オレは刈り取った悪魔の首を左手に持ちながら彼女らに口を開いた。


「よう、さっきぶりだな」

「貴様…あの女を助けに来たのか?」

「当たり前だろ」

「へー。けどあなた、私に歯が立たなかったのを忘れたかしら」

「ハハハ。随分と自惚れがすぎるな」


たかがオレを蹴り飛ばしただけで歯が立たなかったとのたまうだなんて、自意識過剰だとしか言いようがないだろう。


「じゃあ、その分──」


オレは瞬きよりも速くに動き、オレのことを蹴った、その女の腹に蹴りを入れる。


「お返しするぞ」

「っ!…はぁ!」


蹴り飛ばし、出入口となる大きな扉を破壊しながらそのまま場内に飛んだ。その後、ドゴォォン!と音が鳴り響く。


今度は、隣から剣が振られる。硬化魔法を発動し腕を硬くすると、その剣を裏拳を使い手の甲で破壊した。


「なにっ!?」


同時にオレはそのまま彼女の腹に拳を入れる。そのまま殴り飛ばそうとするが、オレの腕を掴んでいた。 


「はっ!」


掴んだ腕を使ってオレは体を城内に投げ飛ばされ、雑に着地をすると今度は違う方からまた拳が飛んでくる。それを右手で受け止めると先程の彼女は腹に拳を入れたにも関わらず、蹴りを入れる。

それを左腕でガードする。 


「……ごめん。語り手として大変だからさ、名前教えてくんない?」

「何を言ってるのかっ!」

「分からないわよっ!」


分かってよ。

今度は両方から蹴りが飛んでくるので、地面に手をつけ逆立ちをする。その状態から足を百八十度に開き、手を使って体を螺旋させ両方の蹴りをそれで弾く。

二人は華奢な体を上手く使って後ろに下がる。


「貴方、本当に若いのかしら?私達二人を相手にやりあえるなんて」

「そうだけど」

「……貴様はさっき名前を知りたがっていたな。強きお前に特別に教えてやろう。私はレース。この魔王軍が幹部だ」

「…ミラよ。同じく幹部。貴方は?」

「オレはアークヴァンロード。アークで結構だ」

「アークヴァンロードよ。ここで死ね!」


いやぁー酷い。

レースと名乗ったその女は手を広げて魔方陣を描く。


魔雷ダークライ


すると、紫の雷が無数にオレを襲い、バリィ!と雷の音を響かせる。何とか避けていくが、少しだけ擦ってしまう。


体の痺れに耐えつつなんとか避けきると今度は紫炎の火球が飛んでくる。殴り蹴りでいなしていくと、彼女は大きな魔方陣を描いていく。

 

魔炎獄球グレグゼードン


すると、先程とは比べものにはならない程の大きさの灼熱の紫炎がオレに向かって放たれた。周りを溶かすのではと思われるほどに熱を帯びたそれに手を向ける。そして、最大級に魔法を発動する。


氷獄インフェアス


氷魔法の中でも最大にして最高の威力を持つこの魔法。相手のその魔法を侮らないようにと使ったのだが、その威力はとてつもなかった。

魔法を凍らせるは勿論、まるで氷山とでも言おうとゆうほどそれは創られた。


「………こんな威力でんのかよ……」


白い息を吐きながらそう言っていると、オレの目の前にはいつの間にかミラとレースがいた。互いに拳を握っており、オレにトドメを刺すつもりなのだろう。

というか皆武闘派なのね。


オレは立ち上がり、そして素早く彼女らの腹に手を置くと魔法を発動する。


衝撃インパクト


この魔法は空気魔法の応用番である衝撃魔法の技の一つである。相手に衝撃を与えるという単純明快な魔法である。


実は、この魔法は実際には

この魔法は

かなり前の話になるが、オレは創成魔法の深淵を探すが故に研究をしていた。その見つけた創成魔法の真髄、それは物、そしてを創れると言うことだ。


しかし、物を創るのに比べこの魔法を創成するというのは中々難しかった。明確なイメージとその発動されるものを想像出来なければそれを創る事は出来なかった。


実際この魔法は魔方陣から衝撃を起こすのだが、オレは魔方陣を略せるので手から衝撃を発動したのだ。


彼女らはその衝撃により吐血すると、吹き飛ばされ壁に打ち付けられた。壁から崩れ落ち地面に大の字に着く。


「かなり、強いけど、まだまだだな」


そう言うと二人は手を握り地面を殴ると、拳をつけたまま必死に立ち上がろうとする。なんか、これオレが悪者みたいだな。


「どうした?終わりか?」

「……くぅっ!」


二人は何とかして立ち上がる。五体満足状態で立っているとレースが口を開く。


「ならば、見せてやる。魔王直属である我らにしか出来ないこの力を!」


すると、二人の足下に紫の魔方陣が浮かび上がる。すると、魔方陣から光の塔ができ二人を呑み込んでいく。すると、その紫の光の塔から赤い二つの双眸が二つ、オレのことを睨む。


そして、光が治まるとそこから現れたのは、目の赤みが更に増し、溢れ出るオーラの邪悪さが更に増した二人だった。そこからは先程とは違い、溢れ出る実力を感じた。これは魔族、それも魔王の配下にしか手に入れられない固有の魔法、『超魔化ルーズガル』。身体能力から、魔法の力まで全てを強力にする力だ。


「さて、本当の……私達の実力を……」

「見せてあげるわ」


………おいおい。

まさか、まだ本気ではないのがお前だけかと思ったか?

オレはまだ本気で戦ってない。

だから、今度は本気で………


「ぶっ潰す」


第二ラウンドが始まった。

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