第22話 探索開始
あれから数日が立った。あれとは言わずも、エヴァナスタとの一戦の事である。
件の勝敗は、エヴァナスタが動けなくなったからか、はたまたメレナがオレの勝ちだとのたまったからか、オレが勝ったと言うことで収拾されている。
しかし、オレには勝ったつもりがない。
あれはオレが彼女の切り札である、あの魔法を破っただけで、勝ったかどうかは話が別なのだ。確かに動けないのなら、オレが勝ちでいいだろう。
しかし、オレの勘ではアイツはまだ動けた。
つまり、的確に言うならば、反動によって体が鈍くなるだ。
まあ、それをわざわざ皆に直して貰うのも面倒くせえから特に何かを言うつもりもないけどね。
さて、そんなエヴァナスタなんだが………………
「何よ」
「何よ、じゃねえよ。サラッと一緒にいやがって」
「良いじゃない。クラスメイトと昼ご飯を食べるくらい良いでしょ」
「はぁ…」
あれ以来、死ぬほどオレにつきまとってくる。クラスにいるときも、いつの間にか席替えをしていないのに隣に座っていた。
何処か行くたびに毎回オレについてくるので、正直鬱陶しい。トイレに行くときにまでついてきたときには思わず頭に手刀を落とした。
ちなみに、今オレは学園の食堂でご飯を食べている。ここの食堂は美味しく、また安い。だからか多くの人が訪れている。オレが食べているのは焼き肉定食擬き。モンスターだからね。
「つーか!お前、しつこすぎるだろ!なんなの!?友達じゃないんですよね!じゃあ、オレについてくる必要ないんじゃないんですか!」
オレはこの食堂にまでついてきたエヴァナスタにそう言ってやる。あまりにもしつこいのでオレは友達として考えて「オレ達友達だよな」と言った。しかし、帰ってきた言葉は「そ、そんなわけないでしょ!」である。友達ならここまでしつこくても、許せるが友達じゃないのなら話は別だ。
オレの言う言葉に言い返す余地がないからか少しうっ!と唸りその後に言ってきた。
「私は貴方に負けたわ、だからよ。貴方の生活そのものに何か意味があるんじゃ?と考えて参考にしようと思っただけよ」
「はぁ、んで?何か参考になったのか?」
「………全く」
じゃあ、もう諦めてオレから離れやがれ!
心で叫んでいると、それはともかくと話を切り替える。
「アークヴァンロード、あなたこの後の授業の事、知ってる?」
「ん?ああ、ダンジョン探索だろ。学校の所有するダンジョンに入るだとか」
「ええ、メレナ先生に聞いたらペアで潜ると言っていたわ」
「まじか」
メレナの奴、ペア好きだよねー。
オレのこと、いじめたいのかな。友達いないんだよ、オレ。しかし、そんなオレに喜んで良いのか分からない誘いが。
「まあ、貴方の事だから組む人もいないんでしょ。だから、私が組んで上げる」
「………ありがたいんだけど、もの凄い上からだな…」
どうせそんなの建前でただオレの戦う様子見て参考になるかどうか見たいだけだろ。
まあ、ペアが出来ただけいいかとオレは甘んじて受け止めた。
※ ※ ※
お昼後、ダンジョンに集められた。
「うっし、おまえら集まってんなー。これからダンジョンに探索に言って貰う。時間制限をつけるからそれまでにモンスターを
まあ、ダンジョンに潜った事のあるオレは二回目だが、メレナ曰くこの年でダンジョンに入る人など滅多にいないんだとか。エヴァナスタも入ったことがないと言っていた。
ちなみに、このダンジョンはBランクのダンジョンだとのこと。随分とレベルが高いダンジョンと思ったが、まあ学園長メレナだしと考えて仕方なしと考えた。
「あ、言っておくがその取ってきたモンスターが少ないとお仕置き、多いならご褒美をやるぜ」
すると、男子が叫んだ。
よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ!!!!と。
うるせえ。
「ご褒美って………負けてられん」
「でも、お仕置きって………やべえ鼻血出てきた」
「どっちがいいんだぁぁぁぁぁ!!」
馬鹿な奴らだな。というか元気が良すぎる。
「ちなみにエロいことはしねーぞ」
『うっそだろぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!』
思春期男子とはここまで欲に満ちて散るんだな。もう怖くなってきたオレである。すると、向こうからペアだからかエヴァナスタがやってきた。
「男子達は馬鹿ね」
「オレは違うからな。あんな性欲達と一緒にされたくない」
「性欲達って……」
だって本当だろ。
と、メレナがそんじゃ用意しろーと言うのでオレはダンジョンの入り口に立つ。それに並ぶかの様にエヴァナスタが立ち、そして続々とペアが並んでいく。
ダンジョンの入り口は昔に入ったときの螺旋階段の様なものではなく、大きな洞窟の穴のようなモノが入り口だ。
「うし、そんじゃ始め!」
すると、皆一斉に走り出す。しかし、その中でも一際速い者が。
「さあ、行くわよ!さっさとついてきなさい、アークヴァンロード!」
エヴァナスタである。彼女は皆が走っている中、一人風の魔法で軽く飛びながらかなりのスピードで前に進んでいた。
まあ、ああいうキャラだから、どうせこういう事になるだろうとは思ってたけどな。
オレは彼女を追いかけるように更に走り出した。
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