終わるといいな

SEN

終わるといいな

台本:SEN  声劇6人台本(男4・女1・不問1) 所要時間:約40分


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配役表

アルベルト:

カイン  :

デュラン :

ジス   :

ミティア :

N    :




キャラクター紹介


アルベルト  (男):ミリタリア帝国騎士団長、情に厚い男。部下の信頼も厚くく誰からも親しみやすい


カイン    (男):アイング帝国騎士団長、常に自らの死に場所を探している。冷静沈着・涙もろい


デュラン   (男):メドマイ帝国騎士団長、堅物。口数は少ないが優しい。


ジス     (男):マーチス帝国騎士団長、虚弱体質。戦いには向いていない。頭脳明晰。


ミティア   (女):元大帝国フォーテアイミアの姫。戦を鎮めるべくジスと共に居る。平和を愛する優しい姫


ナレーション(不問)








N

かつて一つの国だった、大陸フォーテアイミア…大陸総人口約8万5千人、この大陸を平和的に治めていた初代ガルオー皇帝。だが皇帝が老衰で倒れ、ガルオーの4人の息子達による覇権争いが続いた…次第にそれはエスカレートしていき、暴力・暗殺・内乱にまで発展していってしまった。4人の息子達はそれぞれ4つの国を作り上げ、かつて一つだった大陸フォーテアイミアは4人の新たな王によって分断されてしまった。4国による戦争が始まった…その戦争は数年、数十年に渡り続いた。



≪ これはその世界を変え、大戦争を終わらせた、4人の英雄の物語である ≫



アルベルト

「いったい、いつまで続くんだろうなこの戦争は…あいつら、元気かな…生きてるのかな、また馬鹿やって遊べる日は来るんだろうか…会いたいなぁ」


N

ミリタリア帝国…騎士団長、アルベルト 部下の信頼も厚く その戦い方はまるで炎が如く押し寄せる戦っぷりから【豪炎のアルベルト】と呼ばれていた


カイン

「この無意味な戦争を終わらせるにはどうすればいいんだ…毎夜無駄死にする仲間をもぅ見ていられない…これ以上部下を無駄死にさせるわけには」


N

アイング帝国…騎士団長、カイン 誰よりも先に先陣を切り、戦況を駆けまわるその姿を見た敵が付けた名は【雷光のカイン】彼の戦い方は死に急ぎだとも言われた


デュラン

「だめだなこのままでは、どの国も滅び憎悪のみが残る。かつて一つの国だったフォーテアイミアもここまでなのか。」


N

メドマイ帝国騎士団長、デュラン 彼が戦を仕切ると必ず追い風が起こり勝利をもたらすと言われている。【暴風のデュラン】風の中、いつも冷静沈着な戦をしかける


ジス

「争いたくなんてないんだ…皆怖いんだ…もういっそ我が国が滅び、均衡を破ろうか…しかし、民を裏切る訳にはいかない」


N

マーチス帝国騎士団長、ジス 虚弱体質で自らが戦で指揮を取ることはあまり無いがその策略、その頭脳は帝国一と噂されている【神水のジス】水を使った「水攻め」で兵を一人も傷つけず停戦させた事が彼をこう呼ばせている


ミティア

「私はこの戦いをこの眼で見なくてはならない…こんな最悪最低な兄弟喧嘩は早く終わらせなければならない…なんとかしなくては…何かないものでしょうか」


N

元大帝国フォーテアイミアの姫、ミティア。ガルオーの息子達の中唯一生まれた希望、パンドラの箱から最後に出てきた希望と言われ各帝国の市民から支持を得ている。現在はマーチス帝国に身を置いていた



ミティア

「すまないですね…こんなところに呼び出して」


ジス

「いえ、構いません。姫のお呼び出しとあればなんなりと…」


N

ミティア姫はこのくだらない戦争をなるべく穏便に、犠牲を少なく終わらせるにはどうするか、帝国一の頭脳を持つというジスを呼ぶ、策を練ってもらおうと呼び出した



ミティア

「ジス…どうすれば…戦争は終わるのでしょうか…」


ジス

「それが解っていれば…最初から戦争は起こっていません。…まぁ…あの内乱から戦争への勃発、あの混乱の状況で策なんて練れたわけがありませんでしたが…」


ミティア

「このまま戦争を続ければ…4国全て飢えと、病と憎悪に埋もれます…たとえ誰かが勝者となろうとも、最悪な大帝国の始まりになるでしょう」


ジス

「でしょうね…誰もが同じことを想像し見えていることでしょう…少し…考えさせて下さい…私も思うことがあります…最善とは思えませんが」


N

ジスはミティア姫に一礼し去っていった


ミティア

「あの方なら何か手を打ってくださる…狂気に触れた兄弟戦争を終結へ導いてくれる」



N

ミティア姫はジスに託し、寝室へと戻った。…ジスは妻と子供が待つ家に帰っていた



ジス

「ただい…ま、っと…寝てるか…起こさないようにしないとな…待たせてしまったんだな、すまない」


N

ジスは自分の帰りを待っていた妻と子供に毛布をかけ椅子に座った


ジス

「もぅ答えは出てるんだ…すまない…お前たち…あいつらもわかってくれる、必ず」


N

翌日、ジスはミティア姫の元を訪れた。





ジス

「ミティア姫、一つ策が御座います。犠牲も少なく、どの国が勝利を得るか…これは…賭けに近いことですが、妙案に御座います」


ミティア

「お聞かせいただけますか…ジス」


ジス

「……いいでしょう」





各帝国、各王に伝令が伝わる…その内容とは【フォーテアイミア闘技場での一騎打ち】であった。各帝国、騎士団長4人を出し、最後の一人になるまで戦わせ、残った騎士団長の帝国がフォーテアイミアを制する。というものであった


アルベルト

「…そうか…ジス…お前らしいよ、やろうじゃないか!はははっ!」


知らせを受けたアルベルトは陽気に笑った


カイン

「なるほど、さすが策士ジス、これなら、もしかしたら…よしっ!」


カインはジスの妙案に心が躍った


デュラン

「なるほど。あいつらしい…勝手な考えだな…まっ、嫌いじゃない、フフッ」


デュランは数か月ぶりに微笑んだ


ジス

「よし…各王の許可が下りた…終わらせる、この戦争…出陣だぁ!!!」


ジスはフォーテアイミア大陸の中心、丁度、四帝国の境目となるフォーテアイミア闘技場に向かった



ミティア

「しかし、ジス、これでよいのですか?あなたは勝つ自信がおありですか?あの豪炎のアルベルトに、雷光のカイン、暴風のデュランがいるのですよ?病弱で戦にさえ出たことのないあなたに…私は…勝てるとは思いません」



ジス

「はっきりいいますね…私が何の策も無くあの3人に挑むとお思いですか?まかせてください…大丈夫ですよ」



1日と半日かけ到着する、フォーテアイミア闘技場、かつて武闘大会、サーカスや闘牛など市民の娯楽の場所であったが今はまったく使われておらず老朽化が進んでいた



ジス

「では姫、行って参ります。姫はその階段から一番上に登ってご覧ください。私達の勝利を」



ミティア

「わかりました、あなたを信じます…どうか、死なないでください」



ジス

「自信はありませんが…この戦争だけは必ず、終わらせますよ」



ジスはそういうと闘技場へと繋がる門へ消えていった



ミティア

「私が見届けないと…どの騎士が残り、どの国が勝者か…ここで見定め報告しないと…」



ミティアは闘技場が一望できる最上階へと辿り着いた。じっと闘技場を見つめていた



(声を張って)

ミティア

「これより、4国による総大将代表戦を始めます!この戦いで残った者がこの国を征す!各国承認はすでに得ている!よろしいか!?」


各国の使者達は顔を見合わせ頷き、誓約書を掲げた


ミティア

「よろしい……では!各門、開門!騎士団長の、入場!!」


ミティア姫の声が響きわたると4方向の大きな門が音をたてて開いていった



アルベルト

「いよいよか…何も未練はない、やるぞ…この国の未来のため」



アルベルトは渡された剣を顔の前に構え目を閉じていた



カイン

「少し怖さがあるが…皆同じ気持ちか、よしっ」



カインは少し震えた両手をぐっと抑えて気合いを入れていた



デュラン

「この国がどうなるか見れないとなると未練は残るが…まぁ、姫様がなんとかしてくださるだろうな…フフッ…あ、なるほどな…ハハハッ」




デュランは自分がこの策を聴いてから、よく笑うことに気づき更に笑った



ジス

「いよいよ、か…私達のこの戦いで…世界が変わる…私達の手で変える!」



ジスは出したことがないような声を出し武闘場を睨んだ




4人は歩きはじめた、不公平が無いように装備は統一されていた、剣は一般的な長剣、鎧は胸を守る物のみ、盾の大きさも顔程の大きさしかないものだった




歩き続ける4人…同時に止まる、4人の距離が声の届く位置まできた




アルベルト

「久しぶりだな…お前ら、会えて嬉しいよ」



カイン

「ほんっと、腐れ縁ですね…私たち」



デュラン

「まったくだ…懐かしいな…ガキの頃が」



ジス

「…みんな…すまない」



カイン

「おいおい、何謝ってるんですか?ジスらしくもない…いつもの我儘ジスちゃんはどこにいったんですか?」



ジス

「…カイン」



デュラン

「まったくだ…お前への借り、いくつあると思ってるんだ?ざっと30は越えてる」



アルベルト

「おお?デュランが冗談言うなんて…槍でも降るんじゃないか?」



ジス

「デュラン…アルベルト…賛同してくれてありがとう……いいんだな、皆」



カイン

「当たり前だろ…ガキの頃も誓った」



アルベルト

「あぁ…俺たちは、どこに行っても一緒だ」



デュラン

「その証拠に、ほらみろ、皆同じ印だ」



デュランは左手を見せた、手首に巻かれた布は赤色。全員巻いていた



ジス

「……あぁ」



アルベルト

「お前まさか…怖がってるんじゃないだろうな?」



ジス

「違う!俺は…ただ」



カイン

「申し訳ない…こんな作戦、計画で。だろ?」



ジス

「…」



デュラン

「この代表戦を聞いてから、俺はこれしかないと思った。さすがジスだと思った。以上だ」



ジス

「デュラン…お前はいつもそうだ…いつも俺の事を信じてくれる」



アルベルト

「俺達はいつもお前を信じてる、この計画も、この先の未来の平和も」



ジス

「あぁ…すまない、ちょっと臆病になった…まったくお前達は変わらないな!」



カイン

「そういうお前も、な?……ふふっ、ふはっ、あはははは!」



アルベルト

「フッ…ククッ…はーっはっはっはっ!」



デュラン

「っ…ふふ、ふはははは!」



ジス

「っ…あはははははっ」



4人は笑いあった…涙を流しながら、お互いの成長と心強さに笑った



ミティア

「…何…なんで笑い合っているの…ジス」



アルベルト

「あー…久しぶりに腹の底から笑ったわ~」



カイン

「だな…笑いすぎて泣いてしまった」



デュラン

「ふー…何年ぶりかな、こんな笑ったのは」



ジス

「確かに…デュランは昔からカタブツでしたもんね」



デュラン

「カタブツ言うな、おとなしいと言え…口下手なんだよ」



アルベルト

「知ってるよ!みんな」



カイン

「あぁ知ってる、あれから20年はたっているがな、変わらないな、みんな」



ジス

「…みんな…残念ながら…そろそろのようだ」



アルベルト

「ん……おう!」



カイン

「いつでもいいぞ」



デュラン

「さぁ…かかってこい」



4人は…剣を構えた



ミティア

「っ…構えた…では…はじめぇ!!!」



SE:大きな鐘の音



大きな鐘の音と同時に4人は構えを解き、近づきはじめた



ミティア

「えっ…何…何をしているの」



ざわめく各国の使者達…ミティア姫も動揺を隠せない…

更に盾を落とし、鎧を脱ぎ、投げ捨てた



ミティア

「なに…何を考えているのみんな…わからない」



アルベルト

「よしっ、準備はできた」


カイン

「うん、覚悟はいいな?」


デュラル

「ああ…これで終わらせよう」


ジス

「いくぞ…お前ら」


4人は剣を構え互いの胸に当てた…アルベルトはカインの胸に、カインはデュラルの胸に、デュラルはジスの胸に、ジスはアルベルトの胸に剣を当てた



ミティア

「…まさか」



カイン

「聞けええええええ!! フォーテアイミアの民よ!!」


アルベルト

「俺達は戦いを望んではいない!!」


デュラル

「平和にするため!!こうする!!」


ジス

「俺達は!!ミティア姫にすべて!!託す!!」


ミティア

「…っ…うぁ…なんで…こんな」


カイン

「すべての」


アルベルト

「フォーテアイミアの民に」


デュラル

「幸せと」


ジス

「平和を」


4人は言い切ると同時に剣を押し互いの胸を刺しはじめた


カイン

「ぐぅぅっ!!うぅぅ…]


アルベルト

「がはっ!ぐっ」


デュラル

「っ!!…くっ」


ジス

「ぎっ…いぃぃ」


4人は痛みを噛み殺しながら剣を互いの胸に沈めていく


ミティア

「だめ…だめ!!やめて!!止めて!止めなさい!」


アルベルト

「これは!!…はぁ…止めれないはずだ…」


デュラル

「あぁ…誰かが死ぬ…までの…決着だ、ろう…」


カイン

「はぁ…はぁ…ごはっ」


ジス

「カ、カイン…はぁ…はぁ、耐えろ…意識を保て…」


カイン

「ぁ…あぁ…だ、大丈夫だ…まだ意識はある…」


ミティア

「そんな…こんなのだめっ!誰も勝者はいなくなります!無効になる!!」



更に剣を一気に押しこんでいく4人、次の瞬間、剣は同時に体を貫いた



アルベルト

「ごはっ…も、う、だめだな…ぐふっ」


カイン

「ごふっ…が、がはっ…こ、これで…」


デュラン

「っ!!!これで…戦争は、終わ…」


ジス

「ぐっ!!!…終わると…いい…な」



4人はその場に倒れこんだ…4人同時に息絶えた…ミティア姫は泣き崩れていた



ミティア

「そんな…全員相打ち…なんてことを…ジス…」



【フォーテアイミア闘技場での一騎打ち】は各帝国、騎士団長4人相打ちで終わったと大陸中に瞬く間に噂が流れた…

平和を叫び、4人は自害したと、各国の王にも知らされたがどの王も納得はしていなかった…まだ戦争をしようと指揮を取ろうとしていたが全ての兵は動かなかった…どうしたものかと王達が考えている矢先、ミティア姫が終戦協定を掲げた。各国の兵士、民達はそれに賛同した。あの4人の勇姿に心を打たれたのだ。


フォーテアイミア城にてミティア姫の演説が始まった


ミティア

「この無意味な戦争は終わりを告げます。この戦争は4人の平和を願う勇敢な戦士達によって幕を閉じようとしています。…私が…ここで…この4人がこの戦争をどう終わらせたかを語る、語り手になろうと思います。…聞いてください。4人の…無念を!願いを!」



(間)



ミティア

≪ これはその世界を変え、大戦争を終わらせた、4人の英雄の物語である ≫




FIN








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