Stars
月曜日が好きな奴なんかいるのだろうか?
少なくともサラリーマンであれば、月曜日は次の休日まで最も遠い曜日。余程の仕事好きでも無い限り、月曜日は億劫な日
しかし最近の僕は違う
仕事好きになったわけではないけど、職場好きにはなった
殆ど接点はないのだが、彼女が職場にいるだけでウキウキする
朝、外回りに出かける時、少し遠回りして彼女の通勤路を逆から辿ってみる
すると逢える時もある
待ち構えたりはしない。それはストーカーであり、僕のソレとは違う
僕はあくまで偶然を
偶然の起こる可能性を少し上げているだけ
そんな中学生のような、淡い気持ちがまだ残っていたとは自分でも驚きだが、それでも僕は今の職場環境が快適で心地よい
僕の席からは振り返らないと彼女は確認できない
彼女の退社時間が近づくと、惜しむように何回か振り返ってみる
いなくなった事を確認できた時に手が空いていれば
僕:お疲れ様
真:お先です
真:もう少しですから頑張ってくださいね
僕:うす
こんなやり取りだけで気分が高揚し、午後の仕事も頑張れる
そんな日常が流れていく
接点は少ないのだが、それでも日常の中にもチャンスは巡ってくる
印刷した書類を取りにコピー機の場所までいくと、偶然そこにいる彼女
これは本当に偶然
いくら僕が図々しくても、彼女がそこにいる時に印刷のタイミングを計ったりはしない
僕 今週の木曜か金曜飲みに行かない?
真 急ですね、何故ですか?
僕 飲みたいから。理由にならない?
真 木曜は斎藤さんとお茶する予定なので、金曜なら大丈夫です
僕 わかった。なら金曜日で
僕 またラインするわ
真 わかりました
デートOKだ
毎回同じ感情だが嬉しい
凄く嬉しい
いつでも嬉しい
早速、帰りの地下鉄で店を調べた
今回は花金でもあるので、会社の近くを避け彼女の通勤経路の通過駅である綱島駅近辺を選択
僕:今回は綱島17:00でいいかな?
真:時間的に厳しいんじゃないですか?
僕:直帰扱いにするから平気
真:そんな事して大丈夫なの?
僕:普段の行いがいいから疑われる余地はない
真:じゃあそれで
僕:綱島で時間早いからノープランでも平気だろうけど
僕:うろうろしたくないから一応予約しようと思うけど
僕:(店のサイト張り付け送信)
僕:居酒屋とイタリアンどちらが良い?
真:私もノープランでいいと思うけど、選ぶならイタリアンじゃない方かな
僕:では予約しておく
真:お願いします
僕:では金曜17時に綱島駅で
僕:着いたら連絡入れる
真:楽しみにしてます
僕はすぐに店に予約を入れた
綱島でデートをした事などないので、飲んだ後何をすれば良いのかわからないが、敢えてノープランを楽しもうと思い、今回は下調べを全くしなかった。僕にとってはこれは珍しい事
金曜17:00 綱島駅
天気は雨
予定通りに駅で待ち合わせ、大きな傘に二人で入り彼女と僕は予約していた居酒屋へ歩を進めた
これがいわゆるアイアイガサ
雨も悪くないものだ
いつも通りに彼女と僕は過ごした
僕 今日は通りかかったから宝くじ買ったよ
真 ハロウィンジャンボですか
僕 そうそう。なんか最終日らしい
真 一等いくらのやつなの?
僕 ミニの方だから3千万円
真 当たりが多い方ですね
僕 うん。もう当たったも同然w
真 何枚買ったの?
僕 10枚も買った。あとは引き換えるのみ
真 10枚じゃ当たらないですよ
僕 当たるよ絶対w
僕 だから換金したら何処でも連れてってあげる。海外でもいいよ
真 当たったらねw
はい
いただきました
当たれば旅行OKだそうです
そう、宝くじは必ず300円当たるのだ
僕は3千万円の縛りはつけてない
この理屈通るだろうか?
他愛の無い話をしながら、あっと言う間に時間は19時
居酒屋を後にし、彼女の勧めで僕たちはカラオケボックスへ
個室でのカラオケデートは初めてだったが、二人きりになれると言う意味に於いて、カラオケはデートに向く
入店手続きも含め、全ての仕切りを彼女に任せた
僕も少しは歌ったが、基本的な構図は歌う彼女と見惚れる僕
歌う彼女の横顔を、ただただ見ているだけで僕は幸せだった
21時少し前にカラオケ店を出て
彼女と僕はそのまま綱島駅に向かった
手を繋ぐ事も無く
そして一駅だけ無言で移動し
そのまま各々の帰路についた
職場の仲間として
ただ少し仲の良い仲間として
許される範囲のデートとは、こういうものだろう
今夜は僕から送信
僕:アリーナ席最高でした
僕:録音しとけば良かったw
僕:おやすみなさい
真:お恥ずかしい
真:もっと練習しなくちゃだわ
真:ごちそうさまでした。おやすみなさい
ごちそうさま?
カラオケの勘定は彼女にしてもらったので、出資割合に大差は無いはずだが
どうでもいい事を考えながら、僕は家路へ就いた
いつの間にか雨はあがっていたが、星は見えなかった
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます