朝、登校する前の夢 【短め】
二分待ってレンジの扉を開けると、
「…熱っ……」
焼うどんを温め過ぎたことが判明した。今は焼きうどんが冷めるまでぼんやりとニュースを聞き流している。
虹架の焼きうどんも鏡介と同じくらい温めたので、同じく熱いはずなのだが、お腹が空きまくったとかで熱そうな焼うどん(レンチン)を頑張って食べている。
虹架を眺めて時間を浪費していると、額にタテ線を入れた様な表情のおじさんキャスターが、その不服そうな顔のままに読み上げる。
『───日曜の朝に放送しています、少女向けテレビアニメの主人公が可愛いと人気で、ネットでは、いい大人が少女向けのアニメグッズを買い占めている現状に物議を───』
確かに、朝から読む分には
その後は、その主人公の名前だか魅力だかを延々と紹介していた。内容は何となくでしか聞いていないが、代わりにこのキャスターさんはプロだと思った。
そうしてぼんやりとニュースを観ていると、ぼーっと観ていたのを凝視と捉えたのか虹架が、
「お兄ちゃんが幼女趣味になったら私引きこもるからね」
「お前元から引きこもりだろ」
「シスコンでロリコンとか、貞操の危機だし」
「いや幼女趣味だからって理由でテレビ見てたんじゃねぇから……」
鏡介としては、「なんならお前に手を出すヤツなんかいねぇよ」という心境だったのだが、多感なお年頃だし、貴重な話し相手に嫌われても仕方ないので自重する。
断っておくが、「虹架に嫌われたくなぁい!」なんてツンデレが発動した訳ではない。
その後に、ようやく冷めた鏡介の焼きうどんを横から冬華が掻っ攫ったり、じゃあ代わりにと虹架の焼きうどんが鏡介の腹に収まったりした。
そうやってなんやかんやありながら登校の準備を済ませ、さぁ出ようかと云うところで、冬華が呼び止めてきた。
呼び止めたその声は、冬華にしては珍しく重みがあり、軽く流して良い話ではないように思える。ただし、
「鏡介! ────────────車に、気を付けてね……」
いかな冬華の
「────あぁ。……俺はまだ大丈夫だ」
それっきり、今度こそ家を出る。
背中の冬華と虹架の視線には気付いていたが、鏡介は一瞥も寄越さずにそのままドアを閉めた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます