そして、今の現状の夢

 そして、現在。傷を更に深めて高校二年になり、今に至ったのだが、


「──これ二科君に渡してくれない?」

「──えー・・・なんか二科って怖くないか?」

「──判る。なんか心此処にあらずっていうか」


 高校になってからのクラスメイトも、知花の話を聞いたときには悲しみ、悼みこそすれ鏡介に責を押し付けたり蔑む人などいなかった。

 だが、鏡介は兎に角と かく自己嫌悪から抜け切れていなくて塞ぎ込んでしまった。


 和輝達周囲の頑張りで不登校にはならなかったものの、元々鏡介は積極的な性格でもない上、物凄く人望があるわけでもないので、いつ爆発するか分からない鏡介を刺激しないようにとクラスメイトは離れていき、鏡介の過去が広まってから数日。鏡介はすっかり教室の空気になっていた。


 ほぼ唯一と言っていい話し相手の和輝も違うクラス。しかも一組と四組なのでなかなか会うことが出来ず、クラスメイトから事務連絡すら避けられる鏡介は、いつだって本当に一人だった。
















 侮蔑というよりは奇異な物を見るような周りの視線。悪口というよりは友を喪い放心気味のクラスメイトに対して同情するような陰口。















 聞こえていても何も聞こえてないかの様に、否、実際鏡介には聞こえてはいないのだろう。
















 ──授業も、陰口も、心配や、同情の言葉も、もう居ないと諭す様に言う先生、親の試みも。

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