第58話 ジェーンの帰還
今日ジェーンが帰ってくる。そのことに心を躍らせて喜んでいた。もう完全に惚れている。その事については認めよう。 俺も独身だし悪いわけではない。沖縄を経由して帰ってきた。
「ジェーン」
「トオル」
久しぶりに会った俺たちは抱き合いしばらくの間余韻を楽しんでいた。詳しい話は部屋でしようとジェーンが言い出したので彼女の部屋に向かった。
部屋に入るなり彼女の顔は緊張に満ちた表情に変わった。
「トオルは大丈夫だったの」
「大丈夫って何が?」
全く意味の分からない俺はそう呟いてしまった。
「そう、ドラコは何も喋っていないのね」
「ジェーン意味がわからないよ。詳しく説明してくれ」
そうね…という事なのよ。彼女は遺跡で見つけた碑文の秘密やドラゴンの血液について事細かくデータを見せながら説明してくれた。 精霊についてはある程度の予想は立てられていた。だがドラコが裏切っていたかもしれないというのは考えられないものだった。間違いないのかと彼女に聞くと彼女は残念そうに首を左右に振るだけだった。黒幕は2種類いたのだ一つはドラコそしてもう一つは矢部総理大臣かアメリカ大統領だろうこの二人が組んでいる可能性もある。
「その大きい銃は何だい」
「これは残念だけどドラゴン用の対戦車ライフルよ。弾丸についてはドラゴンの鱗を使っているわ。GPS も内蔵されているのでドラゴンの中に打ち込めれば、それを照準に F 35が止めを刺してくれる計画よ」
「それじゃだめだ。ドラコの風の障壁を破れない」
「障壁って?」
「ドラコは障壁を纏っているからミサイルが効かないんだ。それを解除しない限り難しいよ」
「じゃあ私達の子供はどうするつもりなのドラコに与える気?」
「いやそんなつもりはないよ。唯ドラコにも言い分があると思うんだ。いきなり疑わしいから殺すというのは無茶じゃないかな」
「明日ドラコを発射場跡地に呼び出そう。そこで真意を確かめたいんだ」
「もしそこでジェーンの言うようなことが正しかったら障壁は僕が壊す」
「どうやって壊すの」
「相手が魔法を発動してしまうとキャンセルすることは難しいが、その魔法に対して物理的に同程度の衝撃を与えれば魔法は消失する」
「つまり?」
「障壁に魔法をぶつけて障壁を消す。その後銃を撃って GPS を発信させミサイルをぶつける。これしかないね」
「ひょっとしたらミサイルが当たる瞬間にもう一度風魔法が必要になるかもしれない」
もしドラコと対峙することになっても一時的なものであれ対処するための道は見えてきた
「矢部総理とアメリカ大統領はその後に考えよう」
俺がそう言うとジェーンは大きく頷いた
「ドラゴンがいなくなれば政府が強権を出してくるかもしれない。そうなれば不利なので、どこか海外に逃げる必要性があるかもしれない」
「ドラゴンの殺人者として追われるわけね」
「そうだ、残念ながら政党が取れなかった。海外に逃げるしかないと思う。ドラゴンを容疑だけで殺す訳だから」
「ここまでやってきたのに残念ね」
「まあお金が少し残れば大丈夫さ」
そう笑って彼女にキスをした。俺たちは正念場を迎えていた。
俺は柳田さんに電話した。そして作戦の詳細を伝える。
1)ドラコの障壁を俺が破る
2)GPS付きの弾丸を打ち込む
3)人工ダイヤ付きミサイル
4)竜の鱗で作ったミサイル
『トライデントの槍作戦』と名を付けた。柳田さんはパスポートを今日中に加藤に渡すと伝えてくれた。
そして最後に重要な事、俺達が負ければ後はどうなるか分からない・・・
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