第57話 政治というもの

さていよいよ選挙である。今回は衆参同時選挙となるそのため立候補に必要な人員が多く必要だった。

約150名の立候補者を揃え全国各地に立候補させたのだ。


党名については最初「黒龍」決まっていたが、あまりにも恥ずかしいのでドラゴン党にした 。


政党としては中間層を狙った中道保守と呼べば良いのだろうか革新でも保守でもない政党である。我が国の選挙の争点は古い法律の改正及び憲法の改正が目的である。ダブルスタンダードをなくしGAFAに対応するべく、 新しいネットワークと新ロジスティック構想が目玉の政策である。私財をなげうって作ったものだがある程度進んだら国営化に切り替えていきたいと思う。


昨日までの出口調査では1/3の有権者は我が党を選択しているそうだ。与党も1/3で野党連合が1/3で三すくみ状態で都合がいい。1/3取れればキャスティングボードが握るだろう。


サイレント選挙とドラコの応援が効いたのだろうか反応は上々である。次から次へと当確のマークが張り出される。選挙の結果は手に汗握る接戦となったが、1/3を確保することができキャスティングボードを手にした。


これからは連立して与党になるのか?それとも野党と協議するのか?

俺は記者会見で何も変わらないと言った。

「取引などはしない。ダブルスタンダードの法律は変える予定であるし、憲法九条等についても改正する。与党である自由党の政策がおかしければ反対に回るし、正しければ支援するだろう」


実は連日連夜、報道で賑わっていた。与党へ参加するように呼びかけがあったがバーター取引はしないとことはあくまでも法律の改正と改憲について進めていくと発表している。影響を受けるであろう派遣業界とパチンコ業界は猛反発で必死だ。株式は恐ろしいほどに下落していた。与党自由党もカジノ構想を持っているため簡単には賛成には回らない。 おそらく1年ぐらいの長丁場になるだろう。では後は頼んだよと選挙の対策委員にお願いした 。


「前田だ。いい加減覚えろ」

怒り心頭の顔で俺に飛びかかるように叫んでいた。

「あー前田さんに後は任せますんで大丈夫ですよね」

「ダブルスタンダードな法律は明確な根拠があるしはっきりしてるから行けるだろう。ネットワークについては今作っているものを進めていくしかない。総務省を通じて規制を緩和していく。トラック協会を使ったロジスティックの方はどうなるかわからないが圧力はかけていく。自由党との取引が必要になるかもしれないそれは覚悟しておいてくれ」


前田さんは思ったよりもできる人間のようだ。こちらが意図していることをしっかりと汲み取っている。もう党代表でもいいんじゃないのだろうか。種子島の人との約束があるのでまだ続けているが正直任せてしまいたいというのが本音だ。もともと農家なので家で野菜を作って酪農してドラコと遊んでいたいというのが本音だ。


こんな俺が何故政治に手をつけているのか全く分からない。まるで悪魔のような手口で誰かが俺を誘い込んで政治をやらせているに違いない。


「あーめんどくさい」


鏡割りをして喜ぶ議員らを目の前にめんどくさいとしゃべっている俺がいた。

野党の総理大臣が挨拶に来ていた。面倒な事はさっさと終わらせたいのでやだ総理大臣と会うことに決めた。

「お久しぶりですね 矢田総理大臣」

「受勲式以来だね元気そうで何よりですよ」

そう言いながら右手を差し出し握手を求めてくるので応えるように握手した。

「お互い忙しい身なので単純に明快に行きましょう。まず総務省関連でドラゴンネットワークというものを認めてもらって既存のネットワークとは違う新しいネットワークの立ち上げに対して協力していただきたい」

「そこの部分については自由党としても異論がないよ」

「では次にダブルスタンダードになっている法律については全て廃止し一本化にする方向で考えています」


「それなんだが派遣法は無理かな。パチンコはカジノ構想で公認以外は禁止する方向にしたいので認めたいと思う。農地法関係も現在では無理だね」

「派遣法と農地法は意地にかけて廃案にしたいと思ってます。与党が協力関係を取らないと言うのであれば、誰が取っていないのかを明確にしていただきたい」


「我々は本気度が違いますので一人一人分かっていただく必要があるかもしれませんね」


そう一方的にまくしたてたと前田さんに任せて外に出た。


やはり政治は俺には向いていないと思った。あまり嘘がつけない性格なのだ。簡単に嘘がつければもっと楽な生活が来る様な気がするが、それができないから農家になっているのだ。吐く息が白くなってきた夜空を見上げジェーンのことを思い出していた。アメリカではどうなったのだろうか。矢田総理大臣とアメリカのつながりが見えないと手をつけにくいところではあった

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