第55話 勢力との闘い
意外なことに銀行関係は非常にうまくいった。新ネットワークとして第一弾として出したスマホは売れに売れた。空前のヒット作だった。小さく財布サイズに作ったのが良かったのかもしれない。指紋センサーで口座へアクセスし指紋のみでお金がおろせるというのも魅力だったようだ。端末費用は少なくしていたので利益としては少ないが爆発的に売れたので製造会社とソフトを作っていた会社は過去最高益を上げていた。
またキャッシュディスペンサーを作っていた 会社も順調に利益を上げていた。作ってくれるのであれば大手でも中小でもどこでもよかった。
次にすべきは広告をブロックする事その仕様を持ったブラウザを作ることだ。ググってもカスとなってしまう現状を何とかしなければインターネットは崩壊する。新ネットワークとして IP アドレスを使わない方式のネットワークも考えたがあまりにも高いコストのため見合わせた。
現場をたまに見に行くのが好きだったが、現場に行くと9次受けといった幾重にも重なる下請け工場が出来上がっていた。 俺の仕事は請け負った会社以外はできないと言う新たなルールを作った。他社の人間が作っているのを見つけた場合は即刻に契約解除となった。また下請け従業員で頑張っている人はどんどん俺が直接雇った。
だんだんと風通しが良くなった時にやっとソフトが出来上がってきた。ググっても出てくる表示の期待値は98%程度で信頼性が高く広告が少ない。個人設定でブロックすることも可能にしソフト価格は異例の200円で売った。計算上は200円で売った場合3億人ぐらいに売らないと赤字になる予定だった。でもしょうがないし、邪魔なものは邪魔なんだ。
徐々にだが使う人増えてきているので認められているのだろう。ソフトは一度作ってしまえばしばらくはもつので5年ぐらいで回収できれば御の字である。これで税金も減るというものだ。
そんな変なこと考えていたらジェーンから電話がかかってきた
「トオル久しぶりね」
「おうジェーンか。そっちはどうだ」
「大丈夫よそれで、調べたわ。小島さんを襲ったのは軍の暴走のようね」
「じゃあジェームスってやつか」
「残念だけどジェームスは関わってないわ。他の黒幕がいるみたい。その調査はジェームスにやらせてるので結果待ちよ」
「そうかあいつアメリカ居たのか。道理で探しても見つからない訳だ。悔しいな」
「でも血液を欲した企業は分かったわ。その企業と知り合いのエリザベスに解析調査を依頼したわ」
「なるほどな。じゃあ大体終わったんだな。戻ってくるのか」
ジェーンは天井を見上げて深いため息をついた
「残念だけどまた無理ね。もう少し黒幕を調べたいし、解析結果が出たら一番に見たいもの」
「分かった。体に気をつけてな」
「あなたもね。それじゃ」
そうかジェームスが犯人じゃなかったのか。そうなると残るのは日本とアメリカのトップだ。アメリカだとは思うが日本のトップも危ない。調べておく必要があった。日本のトップは柳沢さんに調べてもらえないか電話をしたところ了承を得た。
矢部総理は個人的には好きではない。だが与党以外の政党は全部ダメダメでうちが中間層としてやっていくしかない。
「此処は俺に任せろ」
「誰だお前は」
「文化庁の前田だっていい加減名前覚えてよ」
「すまんすまん、それでどうしたんだ」
「選挙戦が始まるけど出口調査で今のところ1/3がせいぜいだな」
「与党はどれ位なんだ」
「自由党は1/3だ。残りを野党と例の宗教の政党が取っている」
「もうちょっとだけ欲しいな1/3あればキャスティングボードは握れるとは思うが多ければ多いほど政策は通しやすい」
「ジェーンさんのおかげですごい応援も呼べるかもしれないから期待して待ってようぜ」
そう言って、選挙任せた人は去っていった。
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