第54話 風魔法の障壁と福祉

正直に言ってよくわからなくなってきたので、ドラコに乗って一人でお空を飛びながら頭の中を空っぽにしてクリアな状態になりたかった。


要約するとこんな感じだ


1)最初に人材集めを行ったがうまくいかず柳沢さんには逃げられた。代わりに来たのが文化庁の前田さんと D 対策本部の一部の人員。


2)選挙立候補者の擁立はできた。ドラゴンが応援に行くのでうまくいっている。立候補者のほとんどが D 対策本部から引っ張ってきた人たちだ


3)新ネットワークは銀行部分しかできていない。ブラウザとネットワークのプログラムを作っている最中だ。どこまで安全が確保できるかは不明だ。


4)新ロジスティック構想はドライバー会社が不安がって進めていない。法律を改訂して方向性を作ってから参入する予定に変更してある。


焦ってもしょうがない今はできることだけを進めていくことが大事だ。


そんなドラコの上だが、風が異常に少ないことに気づいた。

「ドラコのスピードでなんで俺に風当たんないの」

「死なれちゃ困るからわしがわざわざ風を避けてるんじゃ」

「避けるってどうやって」

「風魔法の障壁を作って風が当たらないようにしてるんだよ」

「なるほどね」


結構な速さで飛んでいるのに今まで気づかなかったのは単に俺が間抜けなんだろう。 そうか風の障壁か

「ドラコ俺も練習できるかな?」

「練習すれば大丈夫だじょ」


そんなくだらない会話をしながら散歩を終え基地に戻っていった。 戻った先には種子島の権力者であるが市長が待ち構えていた。


「どうしたんですか。こんなところで」

「君が帰って来るのを待っていたんだ相談したいことがあってね」

「島の仕事を増やしたい件でしたら、今やってますのでもう少しお待ちいただけないでしょうか」

「今回は別件なんだ。島にだんだん若い人が増えてきたのは良いんだけれども年配の人たちの生活が困っているんだ」

「どういうこと?」

「種子島では年配の人達は少し離れたところに住んでいることが多い近所付き合いもだんだん少なくなってきていて孤立化しているんだ」

「じゃあ便利の良さそうなところにマンション建てて人を集めればいいじゃないか」

「マンションを建てるなんてそんなお金はないよ」

「今は結構な数の旅館とかホテルとか立ててるから、ついでに立ててあげてもいいですよ。その代わりに古い建物と土地はこちらに頂ければ、何かの役に立つかもしれない」

「助かるよ。それじゃあ、よろしく頼む」


そう言って市長は去っていった。その後いつもの三馬鹿トリオで話し合いをしていた。

「・・・みたいな話があったんだよ」

「それってトオルちゃんが介護施設作った方が早かったんじゃないの」

「介護って若い人の人手が必要じゃん。そんなの無理無理」

「まあそりゃそうだけど、大丈夫なんかいそれで」

「1階にでかいスーパーつけときゃいいだろ。あとホームセンターとか」

1階にスーパーとホームセンターがあれば年寄りの買い物はほとんど終わる。贅沢しなければ十分だった。


正直に言って医者や介護については自分一人ではどうしようもできないので国の偉い人に頼むしかない。俺にできるのは箱物を作って便利なので住んでもらう。そんなことくらいしかできない。


そう思って建物づくりを進めたが意外に好評だった。地方にマンションなんて馬鹿じゃないかと思われがちだが、建物の中で買い物が全て終わるので便利はいいし、同年代のコミュニティもできやすく介護の場所としては問題がなかった。 店子がいなくなった大型ショッピングモールは1Fをスーパーとホームセンターにして後は住める住居にして売りに出してやればいいのにと思う俺は素人なのだろう。


「ありがとう。ありがとう」老人に声をかけられるとなんとなく照れくさい俺だった。

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