第43話 国際IT企業

シリコンバレーはIT企業や最先端分野の科学研究するベンチャー企業などが集まる場所だ。噂によるとシリコンバレーでは”おーい○お茶”が流行っていると聞いたことがある。


ジェームスの運転でリサと私が後ろに乗った。ボディガードお二人は車で各自が前と後ろを塞いでいる。リサと他愛もない昔話をしながら女子会みたいな状況について来れなかったのか、ジェームスは一言も喋らなかった。巨大 IT企業に着くとジェームスは身分証明書を示しゲストのセキュリティーカードを5枚、各自に渡してくれた。


着いたのはでかい吹き出しがついた高い天井の成金趣味のビルだった。 G〇〇gle という企業はインターネットのボットと呼ばれる検索を助けるプログラムを開発した企業だ。元々インターネットの前にビル〇〇○が M〇-DOS というプログラムを開発した。その M〇- DOS を売り出す手法が無料で各企業に配るという作戦だった。それは各ベンダーに受け入れられ、その無料の OS からかなりの数のプログラムが生まれた。それにより Mi〇〇〇soft は多額の利益を得た。 IT 業界において、この手法は割合と真似されることが多くなっている。 G〇〇gle についてもそのひとつだといえよう。 検索ソフトは無料だが広告により収入を得ている。トオルはこの仕組みを何とかしようと考えてはいるようだがインターネットにおいてこの bot の仕組みを覆すのはかなり難しいと言える。


受付を抜けるとそこにはジーンズに T シャツを着た若い男性がいた。ベンチャー系の企業などでは服装が自由なことが多い。でもこの見た目に騙されてはいけない。彼らは高学歴で頭が良く抜け目はないのだ。


「初めましてミッシェルです。今回の案内をさせていただきます。応接室はこちらになりますので着いて来ていただけますか」

「了解したわ」

ボディガードに前後を挟まれ私たちは彼についていった。通された会議室を見るとそこにはエリザベートがいた。


「エリザベートどこ行ってたのよ。連絡もしないで」

「例の分析をこちらにお願いしたんだけど私もやってたら帰る暇がなくて・・・・・・・・・」

「あんたね、じゃあこれ誘拐じゃないの?」

「それについては私が謝らさせていただきます」

ミッシェルが間をつなぐように話してきた。


「ドラゴンのゲノムの解析や DNA の解析は非常に難しくて専門家の知識がないと量子コンピューターといえども結果を出すのは難しいんです」

「そしてもう一つ頼まれていた古代文字の解析も世界中にある言語と対応する文字を一つずつ調べそこから元となった言語を抽出するような作業をしてみましたがかなり難航しました」

まるでこちらの勘違いとでも言いたそうなエリザベートとミッシェルの会話だった。日本で人の生死が関わっていたのに、ちょっと呆れてしまった。私はジェームスをにらみながらこう語った。


「ジェームスこれはどういうことかしら。単に血液が欲しい軍が暴走をしたっていうこと?」

「いや血液を欲しがったのはこの企業で間違いないよ。その結果が軍という暴力組織に依頼をしたというだけのことで・・・」


非常に頭にきた私は全員を怒鳴り始めた

「いい、これから私の言うことを契約にしてそれをちゃんと守るように」

「軍が間違って暴走したということは日本側にアメリカ軍として公式に説明すること」

「エリザベートが陣頭指揮をとって、血液の解析と、 DNA の解析、古文書の解析これらをやる事よ。その為の人員は G〇〇gle が出すこと」

「リサはこれらの文言をまとめて契約書にしてちょうだい」


全員を睨むようにして私はそういった。

「ちょっとこれだけの人員の作業量を無料というのは勘弁して頂きたいんですが」

ミッシェルが口火を切ってそう話した。


ミッシェルにドラゴンの血液のサンプルを渡した。そのサンプルの値段を聞いたミッシェルはどうやら納得したようだ。但し外部へのデータ流出は厳禁だ。研究で出た利益等については都度契約することで合意する必要がある


「細かい契約は今後、詰めていくとして結局データを流したところは軍だったのね。その辺の情報がまだ足りないわ。解析はこのまま続けていくにしてもデータを要求した人間には仕返しをしないとね。それの調査はジェームスに任せるわ。」


「ふぅ」


一気に喋りまくったのかぜーぜーと深い呼吸をしながら椅子に深く腰掛けた。一部の軍の暴走だけで事は済んでいるようだ。このまま調査を進めて行く過程でドラゴンに対応するために何らかの手段を持っているのは、良い事なのかもしれない。どんな猛獣使いでも飼い慣らすためにはムチは必要だと思う。トオルは優しい人だからあまりそういうことまで気にしていないが、秘密裏に進める必要があるかもしれない・・・・・・・・

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