第38話 初期メンバー集結
翌朝の朝早くから加藤さんとジェーンを呼んで襲撃があった事を相談する
「…というわけで死体の方はドラコに太平洋の海に捨ててもらった。襲撃者が持っていたものは、この身分証明書だったので加藤さんに調べてもらいたい」
割合と冷静に俺は淡々と喋っていた。調査を依頼したが、あれほどの大胆な犯行に出る男だきっと足はつかないだろう。
「できれば指紋は取りたかったから死体は残して欲しかったな」
やはりできる男加藤。冷静沈着にそこまで言えるとはさすがだと思わざる得ない。これに対してジェーンは俺のことをじっと見つめているだけだった。
「この件については D 対策本部にも話をしたいと思っているが、襲撃犯は西洋人でアメリカ人のようだった気がする。すでに本部がアメリカに取り込まれている可能性はあるのかな? 」
加藤さんはしばらく考え込んだ後、力なく語り出した。
「 今のD 対策本部はアメリカのジェームスが大部分を仕切り始めているが、柳沢さんは別なので信用してもいいと思う。告げるのならば彼がいいだろう」
「電話は盗聴が怖いので、直接こちらに来るように柳沢さんに電話してみよう。ジェーンは何かないか」
「私はびっくりしたっていうだけ。ここがアメリカだったら正当防衛でもう終わってるわ。これからの対策もちょっと考えておかないといけないわね」
昨日の襲撃犯はドラゴンの血液を欲しがっていた。なんでだろう。何かが引っかかる。見落としたことがないか思考の海に俺は沈んでいった。
詳細はあってからしか話せないと説明して柳沢さんに時間を取ってもらって種子島に来てもらった。
「一体何だというんだね。呼び出すほどの緊急ということはただ事ではあるまい」
意外に察しのいい柳沢さんに俺は驚きつつも事件の内容を話した
「なるほどそれはアメリカの線が強いかもしれない。確かにジェームスが糞の入手や血液の入手に血眼になっていたのは事実だ」
「そうなるとD対策本部はもうダメなのか」
「残念ながらそうなるな。新しい組織を立ち上げないと我々が危険になる」
柳沢さんは自身の危機についても察知しているようだった。
「ちょうど政界や経済会なんかにも融通が利く人材や団体が欲しかったんだ。柳沢さんの力で人を集めて何らかの委員会とかを作ってくんない」
政治家なんかはまるっきりわからないので丸投げすることにした
「川上さん私は高くつきますよ」
そう言ってニヤリと笑っている柳沢さんはちょっとだけかっこよかった。
「じゃあ俺は D 対策本部は辞職ということで処理してもらえるかな。相手はアメリカか面倒だからドラゴンと一緒にぶっ殺しに行くか」
そんなこと俺は呟いていた。それを聞いた柳沢さんはぎょっとした顔をして俺を見た。
「おいおい、随分物騒になってるじゃないか。最初にあった時の川上さんとは、まるで別人だね。まぁ辞職処理はやっとくよ」
そう言い残すと柳沢さんは去っていった。
その時の俺の表情は鬼のようだったと後で加藤さんが言っていた。
「悩みがあるんだったら、いつでも聞いてやる」
その時の俺は自分の変化についてきちんと把握などできていなかった
しばらく部屋で悩んでいるとジェーンが訪ねてきた。
「大丈夫?」
「ああ平気だ。何かを見落としてるような気がしてならない」
「そうなの。なら一緒に考えてみる? 」
「ああ、奴らの狙いはドラゴンの血液だった。なぜそんなものを欲しがるんだ」
「トオル。糞の時だってアメリカ軍は欲しがってたんじゃないの」
「いやそれはそうだが、そういえばあの時少量の血液を検査に出してなかったっけ」
「出したわよ。えーと、マサチューセッツ工科大学ね」
「古文書もそこだったんじゃないか」
「ええそうよ。古文書は2カ所でコロンビア大学とマサチューセッツ工科大学ね。いくら私だってそんなに知り合いはいないわ」
「そうなると Go○gle が量子コンピューターを使って解析したデータを横流ししてるんじゃないのか」
ジェーンは難しい顔をして頭を抱えていた。
「そうねマサチューセッツ大学と Go○gle は怪しすぎるわ」
そう言うとジェーンはキャリー付きのスーツケースを取り出し荷物詰め始めた
「私の友達も危ないかもしれない助けに行ってくるわ」
スーツケースを持ってジェーンは颯爽と飛行場に向かって行った
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