第19話 ドラゴンとの飛行

ドラゴンに取り付けるための布と金具ができた。 晴天の日の今日が実行する日に決まった。朝から取り付けやフルフェイスのヘルメットそしてカメラ無線関係など色々なものを準備していた。GPS の代わりにスマホとマップを渡された。 本来の GPS はチップが小さいので気づかれずにつけられることがある。ましてやドラゴンのような大きな体の背中に付けられてしまったら気づくことはできないのかもしれない。一度探知機のようなものを買うことも検討した方が良いと思った。


飛行に際して風切音がうるさいのでマイクはつけないことにした。それに合わせて自撮りカメラも勘弁してもらった。


ドラゴンの背中に四つん這いになって乗ることになった。

「頼むぞドラコ」

「ワシをもうちょっと信用しても大丈夫じゃ」


バサバサと翼を動かし上昇していくドラゴン。 上昇していくと太陽の光の中真っ青に広がる青い太平洋がとても綺麗だった。 スマホで現在位置を確認しながらグアムへの進行方向をドラコへと伝えていく。


あまり羽ばたきをしなくてもぐんぐんと進んでいく。思った以上に早いスピードで飛んでいた。この少ない羽ばたきで、なぜ飛べるのか疑問に思ったが答えられる人間はいないだろう。


グアム上空に入る前に無線で日本語でこれからグアムに入る旨を自衛隊に伝えた。自衛隊経由でグアム当局へ連絡がいくことになるだろう。 グアム島では一度米軍の空軍基地着陸する予定である。グアム上空を飛んでいると市民がみんな手を振ってくれた。それに答えるように右手をぶんぶんと振っていた。 着くと米軍関係者が挨拶に来てくれたが英語がわからないため早く切り上げた。


グアムからの帰り際、ドラコが突然言い出した

「昔はこの辺に島があったはずじゃ」

「地図には何もないよ」

「私の勘違いかなもうちょっと探してみる」

そう言いながらドラコはゆっくり食べながら沖縄の東側の海を探していた。

「水中を探してもいいじゃろか」

「水中は息ができないからだめだよ。また次の機会にしようよ」


ドラコは難しい顔をしながらも納得してくれたようだ。ゆっくりと種子島に帰投していく。早速録画されたビデオをジェーンに渡す 。今回の放送は飛んだドラゴンの映像に曲と説明を入れた映像になる予定だ手振れ補正がついていたのできちんと録画されていれば良いなと思った。


その頃ネットではドラゴンに乗った人間の初飛行ということで騒ぎ立てていた


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ID:いわゆるニートさん |30分前・・・

この間作っていたナイフを視聴者プレゼントしてお礼にください


ID:全てのなろうさん |25分前・・・

竜騎士になるのは俺だったはずだ。これはきっとざまぁ展開だ。いつか逆転できる。


ID:俺がカッコヨムです |20分前・・・

映像を見ると竜騎士なんて無理だな。とんでもない長さの槍が必要だ。


ID:私はライトノベル |15分前・・・

鞍じゃないのね。イメージと違うわ


ID:通りすがりのニュースキャスター |10分前・・・

ドラゴン500円ぐらいで乗せてくれないかしら


ID:有名になりたい外国人 |5分前・・・

グアムはアメリカの領土です。なのでドラゴンもアメリカのものです


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そんなくだらないネット見ながら、今日思いついた金属探知機を注文予約してノートパソコンを閉じた俺だった。 後で受け取る予定だ


そんな俺の部屋にコンコンとノックの音が響いた。


「はい、どちらさんですか」

「すみません加藤です。実は今日の飛行見た政府関係者が一度東京に来れないか打診をしたいとの話でして・・・」

「東京にですか、どうしてまた急な話ですね」

「例の叙勲の話と近々ある選挙の対策のためにどうも与党関係者が動いてるらしくお手数ですが検討していただけないでしょうか」

「考えておきます」

「日程的には週末になりますので明日までに返事いただければ助かります」


そう言って加藤さんは敬礼を行った後に足早に去っていった。

どうやら東京に行かないといけないようだ…

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