第15話 ドラゴンの鱗の値段
借金問題で悩んでいる俺にドラコが話しかけてきた。
『どうしたんじゃ? えらく悩んでいるようじゃの。そのお金という奴はワシの鱗を売ればなんとかなるかのぅ』
はっとした表情で俺はドラコに答えた
「鱗は売れると思うけどちょっと動画で撮ってから売りたいな。ところでこの念話って俺以外にも話せるの?」
「それはお主が--”$%#%$%--じゃから話せるんじゃ。他のものについては分からんな」
「ふーん。まあいいか」
鱗をもらうのは簡単だがその鱗は自主的にもらうのと、俺が強制的に剥がして取るのでは意味合いが全く違う。そのため俺は動画に録画してドラゴンからもらっている映像を取ることによって証拠にしようと考えた。偽物対策にもなるかもしれない。あと虐待してるとか市民団体に抗議活動されるのは困ってしまう
「そんじゃあ頼むよ」
俺がカメラを回している状態でドラゴンは口を使って古い鱗自分で剥がし始めた。10枚ほど剥がし終えた段階で俺はもう十分だとドラコに説明した。
黒いクリスタルのような鱗は手に持つとカチャカチャと音がして、無機物のようだった。鱗の成分や特性にはステルス性。対赤外線、硬度など秘密がたくさんある。国防上の秘密屋何かもあるかもしれないので柳沢さんに一応断りを入れておく。
「駄目ですよ売ってしまったら」
柳沢さんは憤慨するように俺にそう答えた
「いや、そう言われてもね売買するのは自由じゃない一応柳沢さんや米軍とオーストラリア軍には優先権をあげるけどイギリスのオークションに出したいな」
俺は縋るような気持ちであっさりとそう言い切った。
結局鱗は日本に3枚、米軍に3枚、オーストラリア軍に3枚をオークション価格の80%で売ることになった。最後の一枚だけをイギリスの有名なオークションに出品することになった。
ジェーンがオークションには伝手があったので任せることにした。動画も合わせてつけることによって、その鱗が間違いないことを証明していた。 一応CNNとN○K にはニュース扱いで情報を流しておいたところオークションにはたくさんの人が殺到した。
特に中国人が多く困難が予想されたが最終的にはドイツが競り落とした。先進国として技術的に負けられない想いがドイツにはあったのかもしれない。2億ユーロで競り落とされた一枚の鱗は無事ドイツのエージェントに渡った。 残りは1.6億ユーロx9枚となり14.4億+2億ユーロ。つまり日本円にして16.6億x100=1660億を入手したことになった。
この金額を受けてすぐに一旦基地工事は中止し大きく予算を見直しをかけ当初の1500億円の基地へ変更した。これには柳沢さんが大喜びしていたが、設計見直しで非常に文句を言っていたのは建築士達だった。
「本当にごめん」
必死に頭を下げて謝っていた俺だった。
このオークションの動画を見たネットはドラゴンの盾と剣について噂していた。
------
ID:いわゆるニートさん |30分前・・・
龍の鱗ゲットで最強素材なのです。
これで最強の剣と盾ができるはず
ID:全てのなろうさん |25分前・・・
ドラゴンスレイヤーには俺がなるんだ、そして貴族として受勲されるんだ
ID:俺がカッコヨムです |20分前・・・
盾はわかるけど剣は難しいと思うぞ
ID:私はライトノベル |15分前・・・
鱗素材で全防具を作るまでがテンプレ仲間装備も考えれば100枚は必要ね。
もちろん私の装備も必要よ
ID:通りすがりのニュースキャスター |10分前・・・
きっと弾丸の素材になるわよ
ID:有名になりたい外国人 |5分前・・・
素晴らしい。あの鱗がほしいいぃいいい
------
このネットの掲示板を見たとき最強のホコタテというものを思い出してしまった。いわゆる矛盾である。
「なぁドラコ、ウロコとウロコでぶつけたらどっちが強いんだ? 」
『そんなものは完成された新しい鱗に決まっとるじゃろ。古い鱗は使えなくなったから剥がすんじゃ』
「そうかなら安心だな」
早まってしまったかも知れないと思ったがどうやら大丈夫のようだった。これからはちょっと売買には気を付けた方が良いと思わせる事だった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます