第8話 公式発表と記者
明朝、霧が立ち込める中黒い SUVと一緒に彼らは現れた。加藤さんと二人の米国人そして2匹の中型犬を連れて来た。アメリカ軍人と思われる一人がカメラを構えていたことから証拠としての撮影だと気がついた。
「川上さんおはようございます。それではこちらの2頭になりますのでお手数ですがお願いします」
加藤さんが挨拶とともに中型犬を俺に向かわせてきた。
「おはようございます。それじゃあ早速ですがやらさせてもらいますね」
中型犬2頭としばらくの間俺はにらめっこをしていた。2分ほど経過すると中型犬は仰向けになり腹をこちらに見せて従順な姿勢を示した
昔、嫁はこの能力のことを俺のオーラがどうのと言っていた。酪農家とは動物たちの親分でありリーダーなのだ。動物を従えることは酪農家にとってとても重要なのだ
「思ってたよりすごいですねこの映像も公表させて頂くことになると思いますのでよろしくお願いします」
加藤さんはさらっと言ってのけた。昨日の契約書の中に一部公人としての扱いが含まれるとの記載があった。プライバシーは尊重するが公人となるためマスコミ等に注意するように書かれていたのを思い出した
今日は帽子をかぶっていたので大丈夫だろうと思い問題ないと返答した
加藤さんのアドバイスによるとマスコミ対策は SNS で予め公表できる部分は公表しておくのが良いと言っていたので、早速作っておいた。
彼らが去って2時間後に政府官房長官は『ドラゴンと未来への会話作戦』 について公表した 。
「今作戦については対話-捕獲-攻撃の3段階からなる内の1段階目で最も重要な作戦であります。実行にあたりまして日本人有識者からの志願と米軍の協力により実施されます」
記者との質疑応答の中で
「議会にかけなくてもよろしいんでしょうか」
「自衛隊は参加していませんので必要ないと考えています」
「具体的にはどういった内容になるんでしょうか」
「実際には米軍が現地まで有識者を運び、その者が作戦を実行する予定になってます」
「有識者の生命の危険というものは政府は関与しないんでしょうか」
「えー有識者側からの志願という形を受けており、そのことについては書面として残してありますので問題ない認識です。この辺で記者会見は終了させていただきます。ありがとうございました」
そそくさと記者会見場を後にする官房長官に対しざわつきはあったが次第に各社は記事にすべく走り出したのだった
政府は興味の対象が俺に移るように今朝の映像と俺のプロフィールを公開したのだった。その映像が提供されたニュース掲示板はそれほど酷い扱いではなかった
---
ID:いわゆるニートさん |30分前・・・
民間人一人にやらせるのはちょっとひどくね?
生け贄なのかwww
ID:全てのなろうさん |25分前・・・
なぜどうして俺が選ばれないんだ。主人公は俺であるはずだ
売名行為しやがって許せん
ID:俺がカッコヨムです |20分前・・・
ケモナーな俺には全く関係ないな
あえて言うなら生け贄乙
ID:私はライトノベル |15分前・・・
テンプレだったらここは失敗するのよ。そして捕獲作戦が始まるわ
ID:通りすがりのニュースキャスター |10分前・・・
きっと米軍がフォローしてくれるはず。
ID:有名になりたい外国人 |5分前・・・
大丈夫アメリカ アズ ナンバーワン。
------
しかしSNSでは”生け贄頑張れ”とか”目立ってんじゃねーよ”とか結構酷い言葉が飛び交っていたのを見てノートパソコンをそっと閉じた。
翌朝オーストラリアへ移動のために三沢基地へ公用車で向かった。三沢基地から自衛隊の輸送用飛行機で沖縄に到着した時、従軍記者として CNNのジェーンを紹介された。CNNはアメリカの大手TV局で有名所だ。ジェーンはスカートではなくジーンズにTシャツと俺と同じような格好をしていたが、体格の差なのかガッシリした体格の彼女には似合っていた。それに比べ細身の俺は貧弱に見えただろう。
軍事行動なのかは疑問ではあるが、一応従軍記者という形を取らないと記者の生命についての問題があるのだそうだ。彼女も生け贄なのか? 可哀想に・・・
そして話は冒頭に戻る・・・・・・・・・
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます