要は……
「要するにアレは、私が入った袋と今日の稼ぎが入った袋、間違えて持って逃げてたってわけ」
背中が見えなくなった後、静かに頭陀袋が喋り出した。
「なんじゃそりゃ」
ありのままを口に出されて改めて思った。
「あの首なし、何がしたいんだろう」
「しらないわよ‼︎あー腹立つ‼︎(たつ腹もないけど)」
「なんか言ったか?」
「なんも?」
しかし、
「アレはアレで放って置いて大丈夫そう……なのか?」
「そうね、なんだかんだ大丈夫そう」
マリー胴体は、放って置いてもたくましく生きて(?)いきそうだ。
また変に触って壁に刺さるのは嫌だし。
「……帰るか」
「ええ」
というわけで、
帰宅することにした。
「……それはそうと、マリー、どこであんな体術身につけたんだ?」
ダンスはともかく、あれは尋常じゃなかった。
マリーには悪いが、
運動に関しては「きゃーボール怖〜い〜」
とか、「速く走れな〜い」
とか言って50メートル10秒台とか平気でやってそうだからだ。(2回目)
「勝手に決めつけないでよね‼︎私だって頑張ってたんだから‼︎ダンスだって、なんで首がなくなってからの方が上手くなってるのかは私も疑問だけれどね、腹立つわ〜」
どうやら運動は想像通りだったらしい。
「ダンスに関しては練習だけはしてたから、体が覚えてて、考えることがなくなったことでなんかのリミッターが外れて上手くなったんだと思うけど、体術はしらないわよ?私だってあれ何が起きたのか分からなかったもの」
マリーも体術には覚えがないらしい。
「なら、首がなくなったショックで格闘術に目覚めたってことか?」
「じゃない?としか思えないし」
ほんの数日では、どんな修行をしてもあんな体術は身につかない、
とすると、考えられるのはこれくらいだった。
「だいたい自慢じゃないけど私は箱入りよ?格闘術もそれを扱う体力もありゃしないわ」
確かにそうなのだろうが、なんで自慢げなんだ?
「そうだな、とりあえずそう言うことにしておこう」
ボチボチうちの屋根が見えてきたところで、適当な結論をつける。
「今日はなんだか疲れたわ、お風呂入りたい」
「……すまん、そんな高級な設備内にはない」
「…………」
「…………」
「………ファッ‼︎(◎_◎;)⁉︎」
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