第9話 ミス・バーガーにて
俺は神坂駿、成績は上の下、スポーツかなりの自信がある、自慢になるかもしれないが中学の頃はサッカーでインターハイまで上り詰めたチームの
アイツさえいなければ完璧だったのに…
ダチの半澤克義(普段はかっつんと呼んでる)が言っていたのだがどうやら俺の想い人の元彼がこのクラスにいるらしい。それが普段から目つきの悪い後藤雅だと言う。顔はどうやら中性的な顔つきで童顔なのでどうやら他の女子からも意外と人気がある。本人は全く気づいてない様子だがな。
根は悪い奴ではないんだろうが俺は大嫌いだ。何をされた訳でもない、なぜならアイツが俺の大事なダチ達と仲良くしているのが気に入らない、そして何よりも…こうしてみると自分はなんて滑稽で性格が歪んでいるんだろう、そう思う。俺は学年のイケメンランキング1位らしいがそんな事どうでもいい。生まれつきたまたま容姿に恵まれただけだ。それに容姿が良いだけで自分の恋愛がうまくいっているかと言われるとそうでもない。
少し話は逸れるが中学に上がってすぐの頃に出会った初恋の人も歳の少し離れたうちの兄貴の婚約者になった事もあって…まぁ歳が6つも離れていたから相手にされないのも無理はない。その後に出会った中学3年から同じクラスになった1人の少女の桜井沙織も…まぁ諦めるのはまだ早いと自分に言い聞かせる。逆転の札はまだたくさんある。とにかく自分の恋愛事情はまったくもってベリーハードなのは間違い無いが。
そんな事を思い直しながら今大量のハンバーガー用のパンとハンバーグを焼いている。
「駿くん、照り焼きバーガー3個とフライドポテトのM2つ、チキンナゲット7個お願い!」
沙織が笑顔で俺に声をかける。こんな時でもスマイルを忘れない、俺にとっての最高の癒しだ。
「了解!森本、今手が離せないからポテトは頼んだ!」
「そうだ、チキンナゲットも私がやっておくよ!」
「ありがとう、助かる」
彼女はクラスメートの森本由香、沙織に負けずの可愛い女の子である。だが自分の容姿に自信がないと言いながらキッチンを担当している。本来女の子はホールを担当するが森本本人からキッチンを志願したそうだ。1番の理由は可愛い沙織と並ぶと比べられて心が折れるからと店長に直談判したらしい。別に2人は仲が悪い訳じゃない。むしろ森本と沙織はすごく仲が良く中学時代から一緒に2人て遊んだりご飯も何回か食べに行っているらしい。ちなみに森本は中学3年からのクラスメートであるからその頃からの付き合いだ。それと実家が居酒屋を経営していてたまに調理場を手伝っている事もあってという理由も兼ねているらしい。沙織曰く森本が家の手伝いをしているとお客さんに鬼絡みされるらしい。彼女目当て飲みに来る大学生や、さらに森本のお母さんも昔モデルをやっていたほどの美人でスナック感覚で久美さんに会いに来るおじさんもいるらしい。森本のお父さんもかっこいいらしいので奥様方からも人気がありママ会の場所にもされているみたいだ。それに料理もうまく特にお父さんが元人気ラーメン屋だった事もあり隠しメニューにラーメンを数食限定で提供しているらしい。それもあっていろんな層から人気のある店だから娘の森本が調理場を手伝わないと手が回らないらしい。こうしてみると森本も人気はあるが多分人前が苦手なのだろう。こうしてのびのびとしてやれるのは裏方にいるからと本人が豪語しているからだ。
ひと段落し、手元にあるスポーツドリンクをお客様に見られないようにしゃがんで飲む。店長からも水分補給はしっかり行うように指示されている。
ひと段落して入れ替えのバイトの人達が来たので引き継ぎをして上がる。この時夕方5時、沙織と森本も一緒にバイトをあがる。
「ねぇ神坂君、このあと暇?」
「ああ、暇だけど」
「じゃあウチの居酒屋に来なよ。沙織と一緒にお客さんで」
「え?」
「実はさ、ウチらの再会記念にぱぁっと飲み会みたいな?まぁジュースとノンアルコールカクテルだけだけど。」
「え?メンツは?」
「ウチと沙織と神坂君、それと半澤君。それと半澤君の彼女の矢井田さん。」
「沙織は知ってたの?」
「いや、さっき初耳だったよ」
「まぁ(沙織も行くなら)いいか。一回家帰ってから向かうわ。だから少し遅くなるけどそれでもよければ。」
「うん、大丈夫。集合はウチの
「まぁギリギリかな?とりあえず向かうわ。また後で」
沙織だけじゃなく克義もくるから楽しみだ。ただアイツの彼女は苦手だけどな。まぁいいか、楽しもう。
だが集合ギリギリに着いた時、俺はこの飲み会に来た事を後悔することになる。
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